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Free job online ~祝育士としての日常~  作者: 八神 憂
初めの街とシスターさん
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第30話 4日目 昼2-3

 新しいスキルだよ!

 「では、子供たちの世話をする前に2つほどスキルを取って欲しいのです」


 子供たちとの自己紹介を終えてこれから世話に入るかと思ったが取らなければいけないスキルがあるらしい。


「取るスキルというのは何でしょう?」

「それは『解読』と『楽器』です。解読は絵本とかを読み聞かせるために必要で楽器は子供と歌を歌うために必要ですので。……本来なら子供たちとの距離を縮めるために楽器が必要だったのですが、アリアさんは料理によって大分心を開いておりますが」

「は、はぁ」

「それでも楽器スキルはあって困るものでもありませんので……どうします?」

「取りますよ。子供たちとはもっと仲良くなりたいですから」

「そうですか良かったです。では先ずは解読からやっていきましょうか」


 レーゲは子供用の絵本を2冊取り出ページを開く。1ページ目にはいわゆるあいうえお表と思われる物が載っていた。それを元にもう1つの絵本を読んでいく。


「えーと……むかし……むかし……ある、ところに……」


 絵本の内容は王道の物語といった感じであった。ある国の姫がドラゴンに連れ去られて王子様が助け出し2人は幸せに暮らしたという大まかに言うとこんなものである。もう1つの本も読んでいくと「スキル《解読》を習得しました。」といつものメッセージが現れる。


「習得できました」

「確認しました。解読はレベルが上がれば読める文字が増えていきます。そのうちメディカさんの所にある本も読めるようになるでしょう。さて、次は楽器にいきたいのですが大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ」


 絵本を本棚に戻し、次は楽器……置いてあるピアノの演奏を教えてもらうことにする。アリア自身は楽器の経験は無いため少し不安そうにしていると、それを察したのかレーゲが「簡単ですので安心してください」と前置きを入れ説明を始める。


「楽器は最初に曲を選択します。そして後は指を指定された場所に置けば体が勝手に演奏してくれます。人によっては曲の選択を行わずに直接弾く人もいますが……演奏の良し悪しは器用の値によって決まります。ではこちらで曲の選択をしますので実際に弾いてみてください」


 レーゲがピアノに触れて曲を選択すると鍵盤にいくつか赤い部分が現れた。アリアはレーゲに促されてピアノの椅子に座り赤い部分に指を置くと体が動き出し演奏を開始する。綺麗なメロディーラインで奏でられるのはこのゲームのメインテーマである。レーゲだけでなく他の保母さんや子供たちも耳をすませて聴いている。その視線を感じても悪い気分はしないアリアは最初の緊張はどこへやら笑顔でピアノを弾く。

 演奏が終わり指が離れたところで周りから拍手が溢れる。その拍手に答えるように椅子から立ち上がり周りを見渡した後スカートを摘んで一礼する。


「お見事ですアリアさん」

「ありがとうございます。けど体が勝手に動くのは慣れませんね」

「練習して自力で弾けるように頑張りましょう。こう体に覚えさせる感じでですね」

「……そうですね」

「ええ、楽器のスキルはその名の通り楽器全部に適用されますので、やりたい楽器を楽しんでください。孤児院と教会にはピアノしかないんですがね」


 メッセージが現れなかったのでステータスを確認すると《楽器》スキルがしっかりあり安心した。スキルの習得も終わったので改めて子供の面倒を見ることにする。


「どの子の面倒を見ればいいんでしょうか?」

「そうですねぇ……子供たちに決めてもらいましょうか。アリアお姉ちゃんと一緒に過ごしたい子ー!」


 ベートに尋ねると一緒に過ごしたい子を募ることになった。声をかけられた子供のうち近づいてきたのは料理に興味があるセレネとイオである。他の子達は各々したいことをしている。


「決まりですね。ではお願いします」

「はい。じゃあセレネさんにイオさんよろしくね」

「わーい!アリアお姉ちゃんよろしくねー!」

「さん付けは……慣れないです」


 恐らく女の子中で一番上そうなセレネは自分に姉が出来たことを喜び、一番下のイオはさん付けが馴染まないようであるが女性扱いされていることに少し誇らしげだ。その様子を見て安心したベートはアリア達から離れていく。


「アリアお姉ちゃんは料理作るんだよね。そのときに手伝わせてよ!冒険者が作る料理に興味あるの!」

「わ……私もお手伝いしたいです」

「良いですよ。10人分ほど作るのでハードになると思いますが大丈夫ですか?」

「そんな量いつも作ってるの見るから余裕余裕!」

「大丈夫です」

「お、これは心強いですね。食材が届くのがまだ先ですので……先にレシピを教えましょうかね」

「レシピ!少し待ってて!メモするから!」


 そう言ってレシピが書かれているのであろうマイメモ帳とペンを取り出し、いつでもどうぞという体制である。イオも同じような姿勢である辺りセレネに似たのだろうと微笑ましく思う。孤児院という設定な以上元は赤の他人なのだろうがこうして接してみると本当の姉妹のように見える。


「まず準備するものは……」


 そうしてとりあえず口伝でレシピを伝える。ふむふむとかふんふんと相槌を打ちながらもこちらの話を真剣に聞いているのは同じ料理をする人として好ましく思えた。一通りレシピを伝えて納得したのかメモを終える。興味が出たので次はアリアから質問をする。


「セレネさんとイオさんはどうして料理を?」

「それは……女子としては料理だけじゃなくて最低限家事をこなしたいんですよ。いやぁ淑女のたしなみってやつ?それです」

「セレネ嘘ばっかり……親の代わりのベートとマリーに面倒かけたくないって言って最低限じゃなくて誰にも負けない位がんばってるのに」

「ちょっとイオ!?何を言ってってアリアお姉ちゃんもそんな温かい目で見ないでよー!」

「いえいえ立派なことですよ。今までの苦労は先程のメモ帳を見ればわかります。ですが頼るところは頼ってくださいね、そのために来たのですから」

「うぅ……はーいアリアお姉ちゃん」

「はーい」


 良い子良い子と頭をなでる。そのまま雑談をしながら食材が届くのを待つアリア達であった。


 スキル

 《解読Lv.1》New 《楽器Lv.1》New

 解読(絵本)と楽器ピアノは実際の保育士さんの必須スキルらしいので覚えさせてみた。なお、覚えさせたのは良いが今後使うかどうかは未定です。

 作る料理は決まっているのですが詳しくは次回です。

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