第03話 1日目 昼1-1
スキルやステータスの説明・・・のはず
「おお……ここがゲームの中なのかぁ」
まず目に入ったのは中世のヨーロッパのようなレンガ作りの家や壁、タイルがある町の広場と沢山の人であった。そして少し目線を動かすとデカデカとこの町のマップらしき物が設置されていたので近づいて見てみた。
「町の名前はスタタの町か、ここはβと変わらないんだね。ええと待ち合わせ場所の教会は……ん?」
マップで教会の場所を確認していると周りから視線を感じ、振り返ってみると一斉に顔を背けた。何があったのかと自身のアバターを確認するとスラっとした手と足、腰まである長い茶髪、さらには初期の服が上は男女共用の服だが下が少し長めのスカートなのである。ちなみに胸は無い。
「これは……メニュー」
ステータス画面を開いて性別欄を確認するとそこには「性別:女性」と書かれていた。
「チュートリアルまでは普通のアバターだったのに。容姿を自動設定に任せたのが間違いだったかなぁ。性別の変更は出来ないみたいだし……まあ、なってしまったのはしょうがない」
「ねぇ、君」
ぼやいていたが開き直り、いざ教会へ行こうとすると声をかけられた。顔を向けるとそこには笑顔の二人組の男性がいた。片方は金髪の自分と背が同じくらいの男性でもう片方は自分より少し背が高い黒髪の男性がである。
「なんでしょうか?」
「君、今一人?良かったら一緒にパーテイ組まない?オレたちβテスターだからさこの町を色々案内できるぜ?」
「すいません、待ち合わせをしている人がいて案内とかはその人にお願いしてあります」
初対面の人だからつい敬語になってしまったが、どうやらパーティへのお誘いらしいが姉を待たせているため今回は見送りである。「では、これで」と告げ早々に立ち去る。後ろの方からナンパ失敗とかの声が聞こえるが気にしないようにした。
「さてと教会は北門の近くだったよな……この広場は中央から見て東側だったからこっちかな?」
頭の中で先程見た地図を思い出し教会に向けて歩いている。スタタの町は東西南北と中央それぞれに広場があり、チュートリアルが終わるとそのうちのどれかにランダムで転送される。βの時は中央だけに広場がありそこに転送されたらしいが皆が一斉にログインしたため中央広場にプレイヤーが溢れてしまい特定の人物を見つけるのが困難だったらしい。そのため本実装では町を広くし広場を増やしマップを設置したほうが良いと、あるプレイヤーの提案が反映されこの形になったと公式サイトの運営の報告欄に載っていた。
しばらく歩いていると北の広場に到着し、少し離れた所にある門の近くの教会らしき場所を見つけ近づいてみると一人の人影があった。
「お、来たなアリア」
「フユね・・・ミカ姉待った?というか良くわかったね」
「当たり前だ。自分の家族の顔を忘れるほどボケる年でもない。背が少し縮んで髪が伸びたようだが顔つきにそこまで変化は無い。うむ機械も女認定するとはやるな」
「ミカ姉、それ僕が女顔だと言ってるようなものだよね?まあ慣れたからいいけどさ」
「ああ、掲示板を眺めていたら東の広場で茶髪の美少女発見とかいうのを見つけてな。さっそくナンパされてたみたいだな」
「その話は後でいいでしょ。それよりも町案内してよ」
「ではご要望にお答えしてエスコートさせてもらうとするか」
「はいはいエスコートされますよ」
冬音のアバター名はミカンというのは事前に教えてもらった。由来は冬といったらミカンだろ!とのことらしい。容姿はアリアよりも5センチほど背が高く髪は赤色で短いポニーテール、スタイルはかなり良く教会の前を通っていく人は一度胸を見るほどに豊満である。ジョブはβ時代から使っていた槍使いとのこと。この男らしい口調と目の鋭さから「姉御」と呼ばれていたのは余談だ。
「まずは冒険者のギルドに行くか。そこで冒険者としての手続きをする。場所は中央広場のど真ん中だ」
「わかったよ」
「多くのプレイヤーが並んでいるからその間にスキルやステータスの見方を説明するか」
フレンド登録を済ませた後に中央広場に向かうとそこでは多くのプレイヤーでひしめきあっていた。そこでギルドへ並ぶ列を見つけ最後尾につく。目算で30分はかかるとのこと。
「じゃあ早速ステータスの見方を教える。攻略掲示板にも書いてあるが若干仕様変更されてるみたいだ。ステータスを開いてみてくれ」
「わかった」
ステータス画面を映し出しそれを姉と共有する
ステータス
名前:アリア Lv.1 性別:女 種族:人類
ジョブ:祝育士 Lv.1
HP:100/100
MP:150/150
攻撃:10
防御:10+5(+6)
魔攻:10
魔防:25+5
器用:20 (+6)
俊敏:10
振り分けポイント:0
防具追加効果:なし
スキル:《杖Lv.1》《調薬Lv.1》《採取Lv.1》《料理Lv.1》《裁縫Lv.1》
アーツ:
魔法:癒しの加護 力の加護
「基本的にプレイヤーの言うステータスは大体攻撃等の数値を指す。数値の説明だが左から順に基礎値、装備値、補助値だ。基礎値はその名の通り基礎を現す。振り分けポイントで振るのもこの基礎値の部分だ。まあ基礎と言うだけあって種族やジョブによって値は異なる。アリアのジョブなら魔防と器用が高いようだ。ここまではいいな?」
「大丈夫だよ」
ちなみに槍使いは攻撃と俊敏が高いと姉からの補足が入る。
「次は装備値だがこれはそのままの意味だな。防具や武器、アクセサリーに書いてある数値の合計が表示される。次の補助値なんだが、これは一番高い基礎値と装備値の合計の20%が特定のステータスに割り振られる。ジョブにもよるが魔防だったら防御と器用に振られるみたいだ。ちなみに最高合計の値が二つ並んだ時はジョブによって決まる。わかったな?」
「わかったよ」
β版では補助値が30%だったのだがそれでは高すぎるとテスト時に運営が思い修正されたようだ。
「HPとMPはジョブや種族によって異なるが基本的にレベルが上がっていけば勝手に上がる、が上がり方はそれぞれだ。次はステータスとそれに対応する効果だが・・・」
姉の言った事をまとめるとこうみたいだ。
攻撃=装備の持てる重量が増す。いわゆる筋力。
防御=戦っているときに疲れが出にくい。スタミナ。
魔攻=攻撃魔法の威力や範囲、速度が上がる。
魔防=補助魔法の効果や範囲、持続時間が上がる。
器用=攻撃の精密さが上がる。生産を行うとき成功率が左右される。
俊敏=足だけでなく全体的な動作が速くなる。
掲示板によっては攻撃の上から順にA・B・C・D・E・Sと書いている場所もあり、A極振りなら攻撃特化を指す。これは昔からあるRPGの伝統みたいなモノらしい。
「次にスキルについてだが、これはジョブの補助という意味合いが強い。特定のスキル以外はステータスに反映されない上にスキルだけとってもジョブとして扱っている者に効果値で負ける。だがムダという訳でも無い。特定のジョブの需要が供給に追いつかなくなることがある。それを補うためのスキルだ。スキルのレベルはそのスキルに合った行動を取れば勝手に上がっていく。ジョブのレベルも同じだ」
「わかったよ」
基礎レベルと呼ばれる名前の横にあるレベルはギルドからのクエストや通常の狩りによって上がっていくから、生産や補助職は上げにくいとのこと。
「さてと説明は一旦終わりだ。列も大分進んで来たみたいだ。ギルドの登録についてはギルド員の指示に従えばすぐに終わる」
また後で、と言い先にギルドの受付カウンターへ行った姉を見送り自分の番を待つのであった。
圧倒的説明回でした。序盤の茶番は2話に入れても良かったと思ってしまっいました。スキルについてもザックリとした説明で申し訳ありません。次回は主人公のジョブの魔法について触れていくつもりです。
A・B・C・D・E・S?→H80A100B80C80D80S100これで察(検索)してください。
一部補助値と魔法を修正しました。