第25話 3日目 夜3
ちょっとアレな話。やりたくてやった。後悔も反省もしていない。
「包丁ありがとうございました」
「いえいえ。これからもよろしくってことで、じゃあおやすみ」
「おやすみなさい」
包丁を受け取りお礼を言うアリアと満更でも無い様子のクッチは鍛冶場を後にする。クッチと別れこれから何をしようかと思いながら通路を歩いているが思いつかず、何かないかなと調薬室を訪れる。ノックをすると「どうぞ」と返って来たので中に入る。
「失礼します」
「あら、アリアさんいらっしゃい。何か用事ですか?」
「用事は無いのですが暇だったもので。メディカさんは何を?」
「特に何もしてないですよ。しいて言うならお風呂に行こうと思いまして」
「お風呂ですか……」
「ええ、近くにある入浴施設なのだけれどアリアさんも一緒にいかがです?さっぱりしますよ」
「え、遠慮しておきます。お一人でごゆっくりして来て下さい」
「恥ずかしがる事はないんですよ?女性同士ですから」
「い、いえ大丈夫ですから」
「むぅ……残念。では自由にくつろいでて下さい。30分程で戻るので」
「はい、行ってらっしゃい」
メディカからの誘いを断り調薬室で留守番をする。若干不満気な顔で出て行くメディカを見送り再び暇を持て余す。
「はあ、ビックリした。女性アバターだからか遠慮なく誘ってきたなぁ。それにしてもお風呂……お風呂かぁ」
最近銭湯に行ってないなぁと自身の体の事について考えないようにしながらもフォスト町で何か薬草が取れないかと思っていると不意に扉が開く。
「メディカさん少し用事が……あら?アリアさんじゃないですか」
「あ、レーゲさんこんばんは。メディカさんなら先程入浴しに行かれましたよ」
「そうですか入れ違いになりましたか……何時ごろ戻ると?」
「30分程で戻ると言ってました。まだ部屋を出て5分も経ってないですが」
「30分……ここで待つのもアレですし……私もお風呂に行ってきましょうか。アリアさんもどうです?」
「遠慮しておきます」
「……でもクッチさんと一緒に部屋に篭って汗かいたんでしょう?」
「誤解を招く言い方をしないで下さい」
「あら失礼しました。鍛冶をやって汗かいたのでしょう?サッパリとしてきたらどうですか?」
「残念ながら力が足りず何も出来てないので汗はかいてませんよ」
「そうなんですか?でも……いえ無理に誘うのはやめておきましょう。では失礼します」
「はい、行ってらっしゃいませ。あ、明日には孤児院に行きますので」
「わかりました。歓迎しますよ……そう言えば最後にひとつ」
調薬室から出て行こうとするが急にアリアに向き直り近づいて耳元でボソッと呟く。
「個別の部屋なら鍵も閉めれて防音ですよ」
そう言い残して調薬室を去るレーゲ。その言葉に疑問符を浮かべていたが意味を理解し顔を赤くしながら「違いますからー!」と叫ぶ。もう……と思いながらもスリーサイズを測られたことを思い出して自室に行き鍵をかけるアリアであった。
「ただいま戻りましたよ……ってあら?アリアさん顔が赤いですけどどうしたんですか?」
「メディカさん……いえ何もありませんよ」
「そうですか?具合が悪いのでしたら無理に待って無くても良かったんですよ?」
「大丈夫です……」
自室から調薬室に戻りメディカを待っていたが顔の火照りは冷めなかったため心配されながらも話を続ける。
「そう言えばレーゲさんが来てましたけど何かあったのですか?」
「何でも孤児院の薬がなくなりそうだったから届けて欲しいとのことでした。アリアさんが来てくれるならアリアさんに持たせてくれと言ってました」
「明日孤児院に行く約束をしていたので持って行きますよ」
「あらそうなの。じゃあお願いね」
「承りました、ついでにもう一つあるんですが」
「何かしら?」
「フォスト町に行ける様になったんですが、何か調達するものはありますか?」
「フォスト町ですか……そうですね町を東に少し出た所に魔力草の群生地帯があるのでその採取をお願いできますか?」
「魔力草ということは魔力薬ですか?見た目はどんな感じですか」
「見た目は……ちょっと待ってね」
薬草の倉庫から見本を取り出しアリアに見せる。葉っぱの上の部分が少し赤茶色になっていた。
「これが魔力草です。群生地帯は赤くなっているので分かりやすいのですが詳しい位置は現地の人に聞いてちょうだい」
「わかりました」
「これで今度から魔力薬も作れるわね。一緒に作ってくれるかしら?」
「いいですよ」
「決まりね。じゃあ明日からお願いね」
「わかりました。では今日は疲れたのでもう休みます」
「あらそうなの?残念……いえ、今日もありがとうね。お疲れ様おやすみなさい」
「おやすみなさい」
寂しそうな顔のメディカに後ろ髪引かれながらも自室に戻りログアウトするのであった。
自室で何をしていたかは各人の想像にお任せします。R15が飾りだと思ったら大間違いだよ!こう言う話もたまには書きたくなる、だって人間だもの。




