第18話 2日目 夜1
新しい加護だよ!
ログアウトした秋太は現在の時間を確認する。
「3時半……30分多くやったなぁ。明らかに料理のせいだけどね」
そう確信しながらも30分の遅れを取り戻すようにテキパキと家事をこなしていく。キッチンで姉が食べて水に浸けてあった食器を片し、冷蔵庫の中を確認する。そしてお風呂の準備や洗濯物の取り込みその他諸々を済ませていると、昨日と同じように姉が居間にやってくる。
「おーアキ。ゲームはどうだ?」
「ぼちぼち楽しんでるよ、フユ姉は?」
「今夜森を突破できればいいと言った所だ」
「ずいぶん早いね。まだ2日目だよ?」
「そうか?これでも遅い方だぞ。一番早いプレイヤーはもう森を抜けた次の町にいる。まあ、広くなった町を見て周ったりごちゃごちゃと検証してたりしたら遅くなった」
「あはは……未だに戦闘してない僕とは大違いだね」
「プレイスタイルや進み方は人それぞれだ。安全に過ごすのも良しだし未知に挑んでもいい。アキみたいに女性とデートにしゃれこむのもまた良しだ」
からかうように言って笑う姉に対して、うっと言葉を詰まらせる秋太。
「デ、デートってそれ誰から」
「アユ本人からだが?アリアとお買い物したー!と喜んでいたぞ。アイスなんかの食べ比べをしたりバザーを一緒に見て周ったりと役得だったじゃないか」
「まあ楽しかったのは事実だけど……」
「可愛いお花の杖を選んで可愛かったとも言ってたな。それから……」
その後もアユからの証言で盛大にからかわれ顔を真っ赤にしながらも話を聞いていた。最終的にもー!と怒ったのを見て満足したのかニヤニヤしながら姉はお風呂に逃げていった。そしていつものように晩ご飯を作りお風呂に入り宿題をすませて再びログインする。
「さてとまずはアユさんに連絡だね」
部屋の中でメッセージ機能を使い姉とアユにログインを伝える。返事は早く「すぐいく」と一言。部屋を出て厨房でのんびりしているとレーゲさんがやって来た。
「こんばんはアリアさん。昼時はありがとうございました」
「あ、レーゲさんこんばんは。あれはついででしたしかまいませんよ」
「そうですか。それでアリアさんは何をされているのですか?」
「ちょっと人を待ってます。その後はメデイカさんと一緒に服の修繕を」
「アリアさんも裁縫が出来るんですね。料理も出来るそうですし・・・あ、サンドイッチいただきました。おいしかったですよ」
「お口に合ったようでなによりです」
「ええ……今度孤児院にいらして下さい歓迎しますよ。ついでに手伝ってくれたら助かります」
「わかりました。今度お邪魔しますね」
「はい。では子供たちの服をお願いします」
おやすみなさいと厨房を出て行ったレーゲを見送っていると姉から着いたと連絡が入ったのを確認して杖を装備し礼拝堂へ向かう。
「皆さんそろってますね」
「やっほーアリアちゃん!」
「あら?アユちゃんに聞いてたけど可愛い杖ね」
「おっす」
「昼ぶりですな」
「良い杖っすね」
「だろう」
「どうして姉御が得意気なんすか」
やいのやいのと騒がしい姉達への挨拶もほどほどにせっせとサンドイッチが詰まったバスケットを渡し加護の準備をする。なおバスケットを見てよっしゃー!とガッツポーズをしたブリレには苦笑いを返しておいた。
「じゃあ、まずはシルトと古衛門さんから癒しの加護使いますよ」
「頼む」
「よろしくですぞ」
そう言ってまずシルトに加護を掛けると「祝育士のレベルが上がりました。新しい魔法を覚えました。」とメッセージが入る。全員アリアを見て魔法を確認するように促す。その視線に気付き魔法を表示する。
魔法
・恵みの加護 分類:補助
効果:自分以外のプレイヤーの全てのMP回復量を20%上げる
消費MP:プレイヤー1人につき50
効果時間:魔防1につき1分(最大120分)
効果インターバル:240分
・魔力の加護 分類:補助
効果:自分以外のプレイヤーの魔攻を40%上げる
消費MP:プレイヤー1人につき100
効果時間:魔防2につき1分(最大120分)
効果インターバル:240分
「これは……なんというコピp……すまん忘れてくれ」
「まあ順当な加護ですね」
「そうだな。それでアユはどっちをかける?」
「うーん、森を抜けるために火力欲しいから魔力の方かな」
「私は恵みでお願いできる?癒しの加護は魔法かかる人だけでも発動するし」
「わかりました。フ…ミカ姉と古衛門さんはどれがいい?」
「癒しで頼む」
「右に同じく」
「了解じゃあかけるね」
そう言ってそれぞれに必要な加護をかけていく。そうして時間がもったいないと神父への挨拶をそこそこにアリアにお礼を言って教会を出て行く。
姉達への用事も終わりメディカの待つ調薬室へ向かう。
「すいませんお待たせしました」
「全然大丈夫ですよ」
笑顔で調薬室に招き入れて服の修繕に説明は必要ですか?と聞かれて必要ないですよと答えるとアリアはアイテムボックスから裁縫道具を取り出し作業を始める。もうすでに半分は終わっているようだが、それでも一人でするには多い量である。
「アリアさんが裁縫を手伝ってくれて助かります。それにしても手馴れてますね」
「子供服ではないですけどたまにやりますからね」
「それは心強いですね」
そのような雑談を交えながらもチクチクと服の破けた部分を縫っていく。時にはパッチワークのようなおしゃれなあて布をしながらどんどん終わらせていく。そして作業を始めてゲーム内時間1時間半で服の修繕が完了する。
「どうにか終わりましたね」
「アリアさんの手際が良かったため早く終わりました。ありがとうございます」
「どういたしまして。ちょっと時間があるため少しお茶でもしますか?サンドイッチも少し余ってるので」
「いいですね。飲み物はどうしましょうか?」
「昨日と同じ紅茶でいいのでは?取ってきますね」
「お願いします。私は少し片付けておきますね」
そう言ってアリアは厨房までティーセットを取りに行き戻ってくる。湯を沸かし紅茶を淹れる。サンドイッチも取り出し2回目のお茶会が始まる。
「そういえばアリアさんは修道服以外の服は持っているのですか?」
「修道服以外は最初に貰える服しかありませんね」
「そうなんですか?もったいないですね・・・1週間したら調薬の方も落ち着くはずですのでその時に何か作りますかね」
「そんな悪いですよ」
「お礼として受け取って下さい。とても助かっているのですから」
「……わかりました。楽しみにしてます」
善意は断れないということでその服を受け取ることにした。それを聞いて目を光らせたメディカは引き出しからメジャーを取り出し笑顔でアリアに近づいた。
「服を作るためにサイズを測らして下さいね。大丈夫です、天井のシミを数えている間に終わりますから」
「メディカさんそれ結構危ないセリフ……ってどこ触ってるんですか!?」
「どこってヒップ測定中よ。ほら動かないで、正確に測れないから」
「うぅ……わかりましたよ」
観念したように動きを止めてスリーサイズと身長を測られるアリアであった。胸を触られた時に少し感じたのは内緒である。測定が完了すると「ステータスにスリーサイズが追加されました。タップすれば確認できます。」と虚しいメッセージが表示される。その後は笑顔のメディカを眺めながらお茶を飲みきりおやすみなさいと部屋に戻りログアウトするのであった。
ステータス
ジョブ:祝育士 Lv.4→5
HP:130→140
MP:180→190
魔防:34→37
器用:26→28
魔法
《恵みの加護》New 《魔力の加護》New
スキル
《裁縫Lv.1→3》
前段階をすっ飛ばせば意外と進むものですね。
ちなみに皆さんが祝育士と聞いて一番最初に思い浮かぶ魔法は割りと後に出てきます。というよりもその魔法を覚えたら一区切りだと思っています。




