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真夜中にキーボードを叩いてみた

麦わら帽子

作者: ドーナツ

※お題「麦わら帽子」「#深夜の真剣文字書き60分一本勝負」+「#禁則事項で小説を書いてみよう」で書きました。


 ①破線(ーー)と三点リーダー(…)使用禁止

 ②2行以上会話だけが続くの禁止

 ③和製英語含む横文字の一切禁止(カタカナ語の禁止)

 ④色の表現や比喩禁止

 ⑤会話の中で相手を呼ぶこと禁止

 ⑥( )使用禁止

 ⑦3000文字以上5000文字未満


補足:破線はダッシュと解釈しています。

   原稿用紙2、3枚と銘打っているため⑦に則っていません。

 夏の初めにぼくは麦わら帽子を新調した。


 最初、つばの角度は真直ぐだ。巻かれた飾り紐も鮮やかである。しかし、ある時、昆虫採集のために山へ入り、大雨に見舞われた。ぼくも麦わら帽子もずぶ濡れである。あくる日、母は物干しの端に干してくれたが、飾り紐はすっかり抜けてしまった。

 またある時は、些細なことから口論となる。友人は、ぼくの頭から麦わら帽子を叩き落とし、運動靴で踏みつけた。丁寧に土を払ったが、頭頂部は歪んでしまい、どうしても綺麗な山に戻らない。麦わら帽子は左右の平衡が崩れてしまった。

 房スグリの木を見つけ、帽子いっぱいに摘んで帰ったこともある。スグリの実で飾り紐が染まり、綺麗に姿を変えた。男のぼくは気恥ずかしかったが、くすんでいるよりいくらか見栄えがする。


 夏の一番の大仕事は、自由研究に山の植物という植物の葉を素描したことだろう。

 葉脈を一つ一つ写し取り、合わせて九九七枚を大学へ納めた。


 夏が過ぎ去り、ぼくは役目を終えた麦わら帽子を眺める。ぼくの冒険に付き合ったせいで、つばに穴が開き、縁は傷んでいる。山の木の実の汁が不規則な染みを描いていた。何よりも強い日差しが藁を漂白し、変色させている。


 ぼくは焚火に麦わら帽子を差し入れた。乾ききっていた藁は勢いよく燃え出し、跡形もない。

 来年の夏、おそらくぼくは麦わら帽子を被らないだろう。なぜなら遠い異国の合格通知がズボンの尻にあるからだ。

「さようなら」

 涼しい風が、ぼくの頭の上を吹き抜けていく。

 原稿用紙二枚程度ですが、難しいですね。

 固有名詞で意図した色を感じてもらうには、ご覧の方と共通認識があるのかどうか心もとない。漂白というのも色を使った表現かもしれないですね。それから、「冒険に付き合う」などと麦わら帽子を擬人化していますが、おそらくこれも比喩でしょう。

 ズボンも外来語のようです。

 そうすると守れたのは、①、②、⑤、⑥だけになります。

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