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封筒が一通入っていた。


飾り気のない、ミントグリーンの封筒。

取り出した便箋も同色で絵がひとつもないシンプルなもの。




  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆



2年前のクリスマスの少し前、夢をみました。


友達に誘われて、駅ビルの中にあるファンシーショップへ行く。

彼女は片思い中の男の子にプレゼントを買うんだと、財布や、文房具などを物色中。


「いつももっていられるお財布と、受験勉強がんばれるようにって、文房具、どっちがいいかな。」


そんなことを聞きながらも、プレゼントを選ぶ目が真剣で、買い物に付き合わされた私はほったらかし。


何気なく近づいたカップの陳列してある棚。

目の前にある、水色のカップに手を伸ばそうとしたのに、私の手は赤いカップをもってしまう。

いつの間にか隣に来ていた男の子。彼は私が欲しかった水色のカップを手にしている。

私たちはお互いのカップを見たあと、何も言わずレジへ向かう。


レジには店員さんが二人。


プレゼントがたくさん売れるかき入れ時。

何も言わず、ラッピングをしてくれる。

それを待つ間、渡されたメッセージカード。

何を書こうか戸惑っていたら、


「お互いの名前を書いたら?」


店員さんの一人が言った。


私は、ローマ字で、彼は漢字で、自分の名前を書いた。

それを受取った店員さんは、出来上がったラッピングを見せるように少し上にあげ、私の方には彼の書いたカード、彼のほうには私の書いたカードを入れた。


そのまま受け取り、彼と私は


「じゃあ。」

「うん。」


とだけ言ってその場から別々に離れた。


私の手元には、彼の名前だけが書かれたカードのついた赤いマグカップ。

いつか、彼と交換できる気がして今も机の棚に飾っている。


  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆





何度見直しても、手紙にはそれだけしか書かれていない。

見た夢のないようなのだろうか。

オレにはそんなことは現実でも、夢でも起きたことがなかったはずだ。

好きとか、付きあいたいとかの告白の言葉もない。

ある意味、ラブレター、ある意味、勘違いだ。

この相手、オレじゃないだろう。厄介だ。

このプレゼント、返したほうがいいのかななどと思いながら封筒をひっくり返すとそこにようやく名前があった。



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