雷神の紋章
航空母艦を撃沈させられた艦載機は大洋の果てをゆく
黒煙を片翼から曳きながら
機体には風神と雷神がそれぞれ描かれている
至近距離から掃射された銃痕が痛ましい
それでも大空を飛翔しながら雲際へと滑空する
翼下に懸架した魚形水雷が機体を鈍重にさせる
燃料が尽きるまえに敵艦影とはよい死処を与えてくれた
砲火の弾幕の中へ自重落下で急降下をする
至近から命中弾を受けた機体はついに炎上し爆砕する
雷神の紋章と魚雷の駆走音だけを水面に残して
最期に放たれた魚雷は船首へ正確に直進した
その雷撃隊の最後の戦果は敵正規空母轟沈であった