表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます!?  作者: 初 未来
宝探しへGO!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/124

第63話 一緒にしませんか?

 三人は、骸骨の頭をボーリングの球にすることを決めると、地面に散らばった無数の骨の中から、自分たちにぴったりの「球」を探し始めた。


「これ、重さもちょうどいいかも!」


 キスティーは、そう言って、少し欠けた頭蓋骨を手に取った。彼女は、それを軽々と持ち上げ、楽しそうにクルクルと回した。


「おい、キスティー!俺は、もっと重いのがいいぜ!」


 ギルは、そう言って、一番大きくて頑丈そうな頭蓋骨を探していた。彼は、それを両手で持ち上げ、力こぶを作り、満足そうに頷いた。


「私は…これにしようかしら。」


 アリシアは、骸骨の山から、ひときわ白く、形の整った頭蓋骨を拾い上げた。彼女は、それを愛おしそうに撫で、まるで大切な宝物でも見つけたかのように、微笑んだ。


 三人は、それぞれお気に入りの「球」を見つけると、レイエスと騎士団長の方に駆け寄った。


「ねえ、王子様!騎士団長さん!一緒にボーリングしませんか?」


 キスティーは、無邪気な笑顔で、お気に入りの「球」を抱えながら二人に声をかけた。その声は、まるでピクニックに誘うかのように、明るく弾んでいた。しかし、レイエスの目に映る光景は、あまりにも現実離れしていた。


 レイエスは、その言葉に、どう答えていいかわからなかった。彼の目の前には、無数の骸骨兵が迫り、彼の腕には、しがみついたまま意識を失ったリリアナがいる。


 そして、その絶望的な状況のど真ん中で、骸骨の頭を手に、楽しそうに笑う子供たちがいる。彼らの表情には、恐怖や絶望の影は微塵みじんもない。お気に入りの「球」を持って、まるで、特別な「遊び」を見つけたかのように、瞳を輝かせている。


(一体…この子たちは…)


 レイエスは、そんな状況に混乱しながらも、子供たちの無邪気な誘いを、優しく、しかしふんわりと断った。


「ありがとう、キスティー。だけど…僕は、リリアナを抱えているから…」


 レイエスは、そう言って、リリアナの顔を優しく撫でた。


 騎士団長も、慌てながら、レイエスに続いて、丁重に、しかしきっぱりと断った。


「はっ…き、キスティー様のお誘いは大変光栄でございますが、職務中でありまして、わたくしには、殿下とリリアナ様の護衛がございまして、現在この持ち場を離れるわけには行かず、大変心苦しいのですが、非番の日にお誘いいただけると、参加できる可能性があるかと…えー…なので、今回は辞退させていただきます。」


 騎士団長は、そう言って、剣の柄を強く握りしめた。彼の顔は、疲労と緊張でこわばっていた。彼にとって、この状況は、一刻も早く打開しなければならない、命がけの戦いだった。


(そもそもボーリングとは何なのだ…?この状況で…?どんな魔法なのか…!いや、どこかの国の新しい戦術か?だとしても、この状況…撤退が最善であろう…!)


 騎士団長の心は、穏やかではなかった。しかし、彼は、子供たちの前で、その本音を口にすることはできなかった。


 キスティーは、二人の返事に、残念そうに肩を落とした。


「そっか…残念だなあ…楽しいのに。」


 しかし、すぐに気持ちを切り替えると、アリシアとギルに向かって、元気いっぱいに言った。


「じゃあ、順番はどうする?」


「さっきは、ギルが最初だったから、次は私から!」


 キスティーは、そう言って、自分の「球」を、高々と掲げて言った。


「アリシアは、さっき力比べ負けたから最後ね!」


「仕方ないわね、どうぞお先に。」


 アリシアは、そう言って、優しく微笑んだ。


「まあ、さっき俺が最初だったから、いいぜ。キスティーから始めてよ!」


 ギルも、そう言って、キスティーに譲った。


「やったー!じゃあ、私が最初ね!ギルが2番、アリシアは3番だ!」


 キスティーは、そう言って、楽しそうに笑った。


 そして、伝説の魔術師サイオンの骸骨が操る、無数の骸骨兵たちが、ボーリングのピンのように並ぶ。彼らの後ろには、キラキラと輝く光を放つ宝箱が、まるで景品のように、彼らを待ち構えていた。


 キスティーたちの無邪気にはしゃぐ様子に、周りの空気は、先ほどとは打って変わって、どこか楽しげな雰囲気に包まれていた。骸骨たちが立てる音も、不気味なものから、まるで喝采を浴びるかのように聞こえてきた。


 レイエスと騎士団長は、その異様な雰囲気に、ただただ困惑していた。彼らの目には、どう見ても絶望的な光景が広がっている。高位の神官が複数人いても結末は見えているこの状況で、目の前にいる三人は骸骨の頭を持って笑いあっている。この空間は、楽しい空間なのかと錯覚してしまいそうなほどに。


「おい、キスティー!準備はいいか!?」


 ギルが、そう言って、キスティーに声をかけた。


「うん!いつでもいけるよ!」


 キスティーはやる気満々、笑顔で答えた。


 そして、骸骨の頭をボーリングの球に、骸骨兵をピンにした、前代未聞の「ボーリング大会」が、今、始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ