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規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます!?  作者: 初 未来
お城へGO!

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第39話 これが王都!?

 馬車が王都へと続く街道を進み、夕暮れが近づく頃。


 レイエスは、馬車の中でぐっすりと眠る三人の子どもたちに声をかけた。


「おい、みんな。もうすぐ着くぞ。」


 ギルは、その声に「ん…」と小さくうめきながら目を覚ました。アリシアも静かに目を開け、窓の外をぼんやりと見つめている。しかし、キスティーだけは、アリシアの肩にもたれかかったまま、幸せそうな寝息を立て続けていた。


「もう、キスティーったら…」


 アリシアは呆れたようにため息をつくと、優しくキスティーの体を揺り動かした。


「キスティー、起きて。着くわよ。」


「んーん…もう、食べられないよー…」


 キスティーは、まだ夢の中にいるのか、そう呟きながら口元からよだれを垂らした。アリシアは苦笑いを浮かべ、仕方ないわね、とでも言うように、人差し指で軽くキスティーの額を叩いた。


「はい、起きて。お城よ。」


「ひゃっ!つめたい!」


 額に触れるアリシアの指の冷たさに飛び起きたキスティーは、慌てて口元をぬぐおうとする。その前に、アリシアが慣れた手つきでハンカチを取り出し、そっと彼女の口元を拭いてやった。


「ん…ありがとう…」


 キスティーはぼんやりとした顔で呟いた。


「見て、キスティー。もうすぐよ。」


 アリシアが指さす窓の外を、三人は一斉に眺めた。


「うわぁ…!」


 ギルが感嘆の声を上げる。馬車は、夕日に照らされた巨大な城壁へと向かっていた。それは、三人が今まで見たどんな壁よりも高く、分厚く、圧倒的な威圧感を放っている。


「すごい…見たこともない…!」


 キスティーは、目を丸くして窓に顔をくっつけた。


「これが…王都エテルナの城壁…」


 アリシアは、その壮大な光景に言葉を失っている。


「ねえ、ギル!あの壁、叩きつけてもびくともしなさそうだよ!」


「ばーか!当たり前だろ!あれ、城壁だぜ!?」


 三人は、その荘厳な城壁に目を奪われ、それぞれが興奮したように言葉を交わした。彼らの無邪気な声は、旅の疲れを忘れさせるほどに、馬車の中を明るく照らしていた。


 馬車は、荘厳な城門をくぐり、王都エテルナの城下町へと走り出した。


 門を抜けた瞬間、三人の目に飛び込んできたのは、信じられないほどの活気と賑わいだった。石畳の広い道には、色とりどりの旗を掲げた店が軒を連ね、道行く人々が楽しそうに買い物をしている。焼き立てのパンの香ばしい匂い、甘い菓子の香り、聞いたこともない楽器の音色が混じり合い、三人の五感を刺激した。


「わー!すごい!すごい!見て見てアリシア!」


 キスティーは、馬車の窓に顔をくっつけ、目をキラキラさせていた。彼女の視線の先には、ショーケースに並べられた、見たこともないほど美しいケーキや、カラフルなキャンディーが山積みにされたお菓子屋がある。


「ほんとにすごいわ…」


 アリシアもまた、その光景に目を奪われていた。薬草店や魔法具店がひしめき合い、彼女の知的好奇心をくすぐる。見たこともない珍しい薬草が並べられていたり、不思議な輝きを放つ魔法の道具が飾られていたりする。


「おい、あれ見ろよ!あっちの鍛冶屋、すげえ!」


 ギルは、馬車の窓から身を乗り出すようにして、鍛冶屋の店先を指さした。炎を上げる炉の向こうには、職人たちが力強くハンマーを振るい、きらびやかな鎧や鋭い剣を作り上げている。その様子に、ギルは興奮を隠せない。


「ねーねー!王子様!あそこのパン屋さん、すごくいい匂いがする!行ってみたい!」


「ちょっと、キスティー!窓から身を乗り出しすぎよ、危ないわ!」


「俺、あそこの鎧、触ってみたいぜ!」


 三人の無邪気な声が、馬車の中に響き渡る。彼らは、コレットの町とは比べ物にならない王都の賑やかさに、ただただ心を躍らせていた。


 そんな三人の様子を眺めながら、レイエスは静かに微笑んでいた。


(こうしていれば、ただの普通の子供なのだがな…)


 彼の胸には、少しの安堵と、ぬぐいきれない複雑な思いが去来する。王都の賑やかな通りを、目を輝かせて見つめる彼らは、どこにでもいるごく普通の子供たちだ。しかし、彼らが一度力を振るえば、この平和な日常が一瞬にして崩れ去ることを、レイエスは知っていた。


 その頃、馬車の外で並走している騎士団長は、疲労困憊ひろうこんぱいの顔で馬を走らせていた。


(ついに着いてしまった…)


 彼の視線の先には、無邪気にはしゃぐ子どもたちの姿がある。王都に着いたという安堵よりも、この子どもたちが王都で何をしでかすかという不安の方が、彼の心を大きく占めていた。


(このまま、何事もなく無事に旅を終えることができるのだろうか…)


 騎士団長は、青ざめた顔で天を仰ぎ、静かに息を吐いた。彼の心労は、まだまだ終わりそうになかった。

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