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規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます!?  作者: 初 未来
お城へGO!

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第30話 招待…状?

 アズール港での「遠足」から一ヶ月が過ぎた。


 キスティー、ギル、アリシアの三人は、相変わらず毎日を騒がしく過ごしていた。噴水広場に集まり、町の人々の平和な日常をBGMに、今日も他愛のないおしゃべりに夢中になっている。


「ねーねー、あそこのパン屋さん、新しいパンが出たんだって!食べたいなー!」


 キスティーが目をキラキラさせて言うと、ギルは呆れたように返した。


「またそこのパンの話かよ、お前は!この間食べたばかりだろ!」


「だって!美味しいものはいつだって美味しいもん!ギルは知らないんだから!」


「うるせえ!俺はパンより肉だ!」


 二人の言い争いに、アリシアは穏やかに微笑みながら水を向けた。


「そういえば、この間、町の外れで見た不思議な花、あれは珍しい薬草だったわ。こんなに近くで見つかるなんて、少し驚いたわ。」


 アリシアがそう言うと、二人はすぐに興味を失ったように「ふーん」と生返事をする。そんな三人の賑やかな声は、いつもの日常の風景に溶け込んでいた。


 その時、噴水広場の賑やかなざわめきが、一瞬にして静寂に包まれた。


 ひづめの音を響かせ、一台の豪華な馬車が広場に乗り入れてきたのだ。馬車の横には、王族の紋章が誇らしげに刻まれている。


 三人は、その馬車の姿を見た瞬間、ピタリと動きを止め、石のように固まった。


「……あの馬車は……」


 アリシアが震える声で呟くと、ギルとキスティーも無言で頷く。


 馬車のドアがゆっくりと開く。中から現れたのは、見慣れた顔ぶれだった。第三王子レイエスと、その後ろで青ざめた顔をしている騎士団長。


 三人は、すぐに噴水の後ろに身をかがめ、ひそひそと話し始めた。


「え?なんで?王子様?もう遊んだよね。なんでなんで?」


 キスティーが混乱したように言う。


「知らないわよ…うーん…なんでかしら?ギル!」


 アリシアが、どういうことだとばかりにギルに視線を向ける。


「俺が知るかよ!なんかしたか俺たち!?」


 ギルも同じように混乱し、三人は頭を寄せ合ってうーんと唸り始めた。


「うーん、うーん、うーん…」


 三人の脳裏に、この一ヶ月で唯一思い当たる出来事が蘇る。


「お船、穴開けたの、やっぱりやばかったんじゃない!?」


 キスティーが、今にも泣きそうな声で言う。


「えー…怒られる?お説教?やだやだー!」


「ありえるわね……やっぱり捕まる案件よね、あれ…王族の船だもの…えーどうしよう…」


 アリシアも顔を青くして、どうすればいいかと思案する。


「俺見るなよ!そりゃ俺が叩きつけて穴開いたけどよ…!」


 ギルが慌てて反論するが、二人はギルから目を離そうとしない。


 三人が騒いでいると、レイエスの隣に立つ騎士団長が、わざとらしい咳払いを一つした。


「おほんっ!」


 その音に三人はビクッと肩を震わせ、レイエスの方へと視線を向ける。


 レイエスは、そんな三人の様子に、愉快そうに微笑んでいた。そして、三人のいる噴水の方へと歩み寄ってくる。


「やあ、久しぶりだね、みんな。」


 レイエスが挨拶をすると、三人は顔を引きつらせながら、ギクシャクと挨拶を返した。


「え…あ、…お、お久しぶりです…」


「…はい王子様…お久しぶりです…」


「お久しぶり…っす…」


 レイエスは、相変わらず怯えている三人の様子に小さく笑うと、懐から折りたたまれた一枚の封書を取り出し、キスティーに手渡した。


「キスティー、君たちにこれを。」


「なん、ですか…?」 


 キスティーは、おそるおそる封書を受け取った。


「それは、君たち三人へのお城からの招待状だ。」


 レイエスがそう言うと、三人は目を丸くする。


「明日、また迎えに来る。身支度を整えて、待っていてくれ。」


 そう言い残すと、レイエスは三人に背を向け、馬車へと戻って行った。馬車は静かに走り去っていく。


 後に残された三人は、ただ呆然と、その豪華な馬車の姿が見えなくなるまで、立ち尽くしていた。


「お城の…招待状…?」


 アリシアが、信じられないといった様子で呟いた。


「嘘だろ…?」


 ギルも、目の前の出来事が信じられないようだ。


 キスティーは、手の中にある封書をじっと見つめ、大きく息を吐いた。


「…また…遠足…お城まで?」


 彼らの新たな日常は、再び動き出そうとしていた。


 レイエス王子が去った後、三人は固唾を飲んで招待状を見つめていた。アリシアが震える手で封蝋ふうろうを破り、中の手紙を開く。中には、流麗な文字で三人の名前が書かれており、確かに王都の王城への招待状だった。


 しかし、その内容は三人の心を全く晴れやかにしなかった。


「これって……やっぱり捕まえる感じのやつじゃないの?」


 キスティーが、不安そうにアリシアの顔を覗き込む。


「お城だよ?捕まっちゃうんじゃない?お姫様とか王子様が住んでる場所でしょ?こわいよぉ…」


 キスティーの言葉に、アリシアも神妙な顔で頷いた。


「ありえるわね……王族の持ち物壊したのよ?その場で捕まらなかったのが奇跡みたいなものだわ……きっと、お城に連れていかれてからお説教、もしくは…」


 アリシアは、その先の言葉を口にすることができなかった。


「俺のせいか!?俺のせいか!?俺のせいか!?」


 ギルは、血相を変えて頭を抱えている。


「全部俺が叩きつけて穴開けたからだろ!?どうしよう、俺、死刑とかになんのか!?やだ!やだ!やだー!」


「ギルだけじゃないわよ!キスティーが変な魔法を使ったからよ!」


「えー!アリシアが『火の魔法出して!』って言ったんだもん!」


 三人は、再び互いの責任をなすりつけ合い、噴水広場で大騒ぎになった。

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