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規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます!?  作者: 初 未来
氷の世界へGO!

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112/124

第112話 かてーな…


 キスティーの肩を直撃した雪玉の硬さは、彼女にこの「雪合戦」の尋常ならざる本質を突きつけた。


「いたーいっ!」


 彼女は肩を押さえながらも、その衝撃の痛みをすぐに振り払った。彼女の瞳は、アイスゴーレムの異常な硬さという、新しい「おもちゃのルール」を見つけた喜びでキラキラと輝いている。


「ねえ、硬い雪玉なら、こっちも速くすればいいんだよね!」


 キスティーは、そう叫ぶと、再びリュックからアリシア特製の強化雪玉を取り出した。彼女は、スケートの勢いを止め、氷の上で静止すると、雪玉を握る手のひらに、微かな風の魔力を集中させた。


 キュゥゥ…


 彼女の周囲の空気が、まるで針のように収束し、細い風の帯となって雪玉に巻き付く。魔力によって加速された雪玉は、通常の雪玉の比ではない質量と速度を帯びた。


「えいっ!」


 彼女は、雪玉を剛速球でアイスゴーレムに向かって投げつけた。雪玉は、空気抵抗を切り裂くような鋭い音を立て、まるで銃弾のようにゴーレムの氷の巨体へと吸い込まれていく。


 ガキンッ!


 今度は先ほどとは違う、硬質な金属同士がぶつかり合ったような、甲高い衝撃音が湖面に響き渡った。雪玉は命中した瞬間に砕け散ったが、キスティーは、その効果を確認しようと、目をらした。


 アイスゴーレムの巨体には、わずかに白い亀裂が走ったのが見えた。しかし、それは瞬時に周囲の氷が流動するように修復され、すぐに跡形もなく消え去った。


「ええー…」


 キスティーは、再び困惑の声を漏らした。彼女の全力、そして魔力を込めた攻撃でも、表面をかすった程度のダメージしか与えられない。彼女の顔には、純粋な驚きと、どうすればいいのかという困惑が浮かんでいた。


「硬いよー…なんだろう、この氷!」


 彼女は、思わず独り言のように呟いた。彼女の脳裏には、どうすればこの巨大で頑丈な氷のゴーレムを「ノックアウト」できるのかという、難問への挑戦状が突きつけられていた。


 ガリッ、ガリッ


 その時、後方から、氷を踏みしめる重い音と共に、ギルが追いついてきた。彼の顔は、すでに汗だくで、吐く息は白い煙となって勢いよく空に昇っている。


 ギルは、目の前に立ちはだかる高さ3メートルはあろうかという巨大なアイスゴーレムの姿と、そのゴーレムに向かって雪玉を投げているキスティーの姿を視界に捉えた。


「やっと、追いついた。さすがにキスティーのスケートは速いな…。よし!力比べ開始だ!」


 ギルは、興奮を隠せない様子で叫んだ。彼の目には、巨大なゴーレムは、自身の力を試すに最高のサンドバッグのように映っていた。


 キスティーは、ギルが追いついたことを確認し、すぐに助けを求めた。


「ギル!見て!すごく硬いの!全然壊れない!」


 その言葉を聞くや否や、ギルは、雪玉を握りしめた。彼は、キスティーたちのような魔法は使えないので、純粋に自分の力を込めた。彼は、重い鉄の滑り止めを氷に食い込ませ、その場に力強く踏みとどまった。彼の分厚い筋肉が躍動し、右腕に集中させる。


「まかせろ!俺の目一杯だ!」


 彼は、雄叫びのような声を上げると、雪玉を渾身の力でアイスゴーレムの頭部に向かって投げつけた。その投擲とうてきの重さは、もはや人間業ではない。雪玉は、キスティーの風魔法を込めたものに匹敵するか、あるいはそれ以上の威力で、ゴーレムに迫った。


 ドスッ!


 今度の衝撃音は、先ほどの甲高い音ではなく、まるで生肉に鈍器を叩きつけたような、重く、分厚い音だった。雪玉は、ゴーレムの頭部に深々とめり込み、その形状を残したまま、数瞬静止した。


 ギルは、息を詰めて、その効果を見守った。


 しかし、次の瞬間、めり込んだ雪玉は、何の反動もなく、ポロッと崩れ落ちた。ゴーレムの頭部には、わずかなへこみが見えたが、それはすぐに氷の流動によって滑らかに修復されていく。


 ギルは、その光景に、愕然とした。


「まじかよ…目一杯だぜ…かてーな…」


 彼は、自身の剛力をもってしても通用しないという事実に、心底からの戸惑いを覚えた。彼の誇りとする「力」が、この氷の巨体を相手に、全く通用しない。


 キスティーは、スケートでギルのそばまで滑り寄り、口を尖らせて言った。


「もう!アイツ硬すぎ!ノックアウトってどうする?」


 二人は、顔を見合わせ、アイスゴーレムの異常な硬さに戸惑いの表情を浮かべた。


 二人の攻撃を何事もなく受け止めたアイスゴーレムは、彼らの困惑と静止を、次の攻撃の合図と捉えたようだった。


 ゴーレムは、再びその巨大な右腕を振り上げた。今度は、雪玉を連射するという、まるで魔法使いのような芸当を披露した。それは、エリスが込めた魔力による自動迎撃システムとでも呼ぶべき、圧倒的な火力だった。


 ダダダダダッ!


 氷玉と化した雪玉が、機関銃のように連射され、一直線にギルに向かって襲いかかった。


 ギルは、その容赦のない連射に、避ける間もなく、正面から雪玉の嵐を受けた。


 バチバチバチッ!


 硬い雪玉が、彼の胸、腕、そして顔に激しい衝撃を与えた。彼の分厚い筋肉と頑丈な骨格が、その衝撃をまともに受け止める。


「痛っ!いて!いて!てててて……」


 ギルは、その激しい衝撃を正面から受けた。その衝撃は、彼の体を何度も揺さぶった。


「連射は反則だろ?何でもありか…」


 彼は、歯を食いしばりながら、理不尽なルールに抗議の声を上げた。


 しかし、痛いと言いながらも、特に傷ついてはいなかった。ギルの体は、異常に頑丈な筋肉と骨が、完全に守っていた。圧倒的な頑丈さを誇っていた。


 ギルは、雪玉の連射が止まると、激しく息を吐きながら、頭を抱えた。


「どうするよ?全く、この氷人形、どうやったら壊れるんだ?」


 ギルは、目の前の強大な敵への攻略法を考えるが、難しいことは苦手なため、何にも思いつかない。


 湖面を滑るように舞っていたキスティーも、今はその場に静止し、ポケットから


 二人は、力と魔法という、自らの最大の武器が通用しないという、想定外の状況に直面していた。彼らは、目の前の氷の巨体を、どうにかしてノックアウトしなければならないという、新しい「遊び」の課題に苦戦していた。

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