4.週8ハンバーガーの人
とりあえず書けそうなキャラから出していく。
今のところアンビー推してます。
今日も今日とて店長が出かけていてワンオペという名の通常営業、の予定だった。しかしリンとアキラが毎回それだと申し訳ないという事で、今回は助っ人が店の手伝いに来ている。果たして一体誰が来てくれたのか。
「あなた、ハンバーガー足りてる?」
「は? いや、私は映画を……」
「映画にハンバーガーは必需品よ。何ならいっそハンバーガーを観ながらハンバーガーを食べるのも良いと思う」
「え怖。なんか話通じ無さそうだし、今日はやめとこ」
「そだね……」
という訳でアンビー参戦。ビデオ屋の店員のはずなのにビデオを差し置いちゃうという斬新なセールスにより客は次々と帰っていく。俺はたまらずアンビーの説得を試みる。
「なあアンビー、さっきのあれは無いって。ハンバーガー教の教祖かと思ったわ」
「……ハンバーガー教、良い響きね」
「受け入れないで、ただの例えだから」
「サク、布教を手伝って」
「だから例えだって。やらないから」
「……そう」
なんで本気で残念そうにするんだアンビー。まさか本気で立ち上げようと思っていたのだろうか。見た目はクールかつ可愛い顔立ちの美少女なのに、好物の話になると途端に変人となってしまう。
「あんまりハンバーガーばっか食べてると身体壊すぞ?」
「昨日、ニコにも同じこと言われた。『ジャンクフードは食べすぎると仕事に支障をきたすわよ! 邪兎屋は体が資本なんだから!』って」
「言い方がおかん……。でも言ってることは正しいぞ」
「そんなこと無いわ。ハンバーガーは野菜も摂れる完全栄養食よ。反論する者にはパティになってもらう」
「発想がエグすぎるって。ハンバーガー関わると過激になるの怖いからやめてくれ」
そもそもその言い訳は太っている人以外からあまり聞かない気がする、って言ったら俺が次のパティになりそうなのでやめておく。本当にそんな事はしないだろうけど、あまり人の好物を揶揄するものではない。決して背中のバチバチいってるナタが怖いからとかそういう理由ではない、決して。
「しかし何でアンビーに店番を頼んだんだ?」
「リンが『感電チップはなんぼあってもいいからね!』って言ってたけど、私には理解できなかった」
「うん、俺も全くわかんない」
昨日アキラがまたスキルの模擬実践周回しなきゃ……、と呟いていたが何か関係があるのかも。知らんけど。
「俺も学生だし、平日の日中は入れないからなー」
「そうね。だからこれからは予定の空いている知人に店番を頼むことにするみたいね」
「あれ、俺の存在意義どこ……?」
店長の持つ国を動かせるレベルのコネを店番に使えるんだったら、なんでバイト募集してたの? 志望動機がなんか緩そうだったからの一般男子じゃあの人達に一個も太刀打ちできないよ?
「大丈夫よサク。あなたはハンバーガーを店内で食べるときについてくる、プレートにひいてある紙くらい重要」
「何でとどめ刺しにきたの? 包み紙と一緒に捨てられて終わりなんだけど?」
「……ごめんなさい、冗談よ」
アンビーさんそんなジョーク言うキャラでしたっけ。確かリン曰く邪兎屋の中では大人な方らしいって聞いてたんだけどなー。けど、今クスリと笑っているアンビーは冗談抜きで可愛いと思う。まだ初めて会って数日だけど、アンビーの笑顔って案外貴重な気がする。
「サクの反応が面白いから、つい意地悪を言ってしまったわ。貴方はええと……」
「無理に例えなくていいから」
「……次会う時までに考えておくわね」
「なんのプライドが働いてんの?」
お前を絶対何かに例えてやるという強い意志がアンビーの目に宿っている。確実に力の入れどころが間違っている。やっぱりこの娘かなりの変人だわ。
「けど、二人で店番しても正直そこまでやること無いというか、暇になっちゃうな……」
「確かに、役割が被るのは効率が悪い。……それじゃあ、私は店内のBGMを担当するわ」
「え?」
「ンナンナ!(僕もやる!)」
「18号!?」
「ンナー!(なら僕も!)」
「6号まで!?」
「さあサク、貴方も」
「やらんわ!!」
こうして今日の『Random Play』はゲリライベント「ボンプにバガソングを」が行われた。アンビー With ボンプ達による店内BGMは入ってきた客をもれなく引き返させていき、今年の一日売上最低記録を更新した。
「……何がいけなかったのか分からない。やはりハンバーガーのハッピービデオセットを売り出すべきね」
「だからハンバーガー屋になっちゃうのよそれは。ビデオメインで売ろうね?」
店長、店番の人選はちょっとばかり見直したほうがいいと思う。
アンビーでネタに走らせるとほぼハンバーガーになっちゃう問題発生しました。
真顔で冗談言うタイプの子好きなのかも。