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ぼくとわたしの生存戦略プロトタイプ  作者: 迷迷迷迷
私のような愚か者でさえ
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雑貨屋トットテルリ

 さて。

 トコロ・クルミと言う名前の「スライム」の男性は、ようやく夢うつつにてシズクから語られた内容、その意味についてを考えている。


 ……いや、考えさせられている、あるいは、考えざるを得ない、と言うべきか。

 

 そこは、実に見事な雑貨店であった。


 この場合の見事とは店構えだとか客の流動の活発さだとか、例えば広く一般的に活動している店舗のそれらに該当する言葉ではない。


 とにかく店構えは、それなりに整っていると言える。それぐらいであった。

 

 機能性を若干しつこいまでに重視した本屋のような内装であった。

 病院じみた清潔感にびっしりと商品が並べられている。


 ただ、商品棚の中身は決して清らかなそれとは言えそうになかった。


「いや……! アダルト系のそれと言うわけでは……っ!」

「一人でなに言うてんねん」

 

 ミミロはクルミのことを汚物そのものとして視認しているようだった。

 

 必要以上に怯えているクルミをさすがに見かねたのか、ユーが安心させようとしている。

「ここは恐らく非合法の高純度魔力鉱石を違法に取り扱う店舗かと思われますが、それにしては……安全かつクリーンな環境を整えており、「店」としては一応信頼が期待できるかと」


「おいおいおい」

 と、モネがユーの言い分に文句をわざとらしくこぼしている。

「ずいぶんな言いぐさやね、これでも一応市長さんの認可だけならしっかりと貰っとるんよ?」

 

 事務処理上の公的な書類を丁寧に提示しようとするモネをクルミがやんわりとやり過ごしている。


「そうは言っても、ねぇ……」

「そう怯えんでもええじゃろうが」


 怖がるクルミをアンジェラがなだめようとする。


「ここはただの魔王城の一角で、比較的玉座に近い場所で、言うならば魔王の御力がいっちゃんギンギンに満ち溢れとる。ただそれだけのことじゃけぇ」


 圧倒的に悪意を感じていた。

 ただ幾分か分かりやすく悪意をチラ見せしている分、むしろクルミにしてみれば丁寧な解説として認識できるようになっていた。


「とどのつまり、悪の総本山じゃん?」


「まさしくそのとおりです! ザッツライト」


 クルミの総評に対して、シズクが実に下手くそな異国語で快活そうに笑っている。


「いかがいたしましょう? なんか買ってく?」

「買わねえよ」


 犯罪に手を染める気はない、という意思表示の元にクルミはさっさと魔王城から退散しようとしている。


「おやおや?」

 城の半分の権利を担っているシズクが城主として客人の早い帰りを残念がっている。

「もうお帰りになられてしまうのですか。

 寂しいですね、袖を引くような思いです」


「いや、お前な……」


 クルミはまさに気持ち悪いものを見るような視線をシズクに差し向けようとしている。

「こっちは魔王を狙って襲撃しに来たならず者勇者一行なんだが??」


 自らの立ち位置をはっきりさせておかないと、そうでもしておかないとクルミは緩やかに発狂しそうな気がして仕方がなかった。


 恐怖に慄いているクルミをミミロが嘲笑っている。

「張り切って魔王城に乗り込んだは良いものの、レベルがあまりにも低すぎて城の手前のモブモンスターにすら太刀打ちできんかったって。ただそんだけの話やろ?」


 ミミロの供述にモネがうんうんと頷いている。

「昨今のオープンワールドゲームブームにおける初心者が犯しがちな失敗の一つやね」


 これらの事象についてモネは一家言の域に足りうる不満があるようだった。


「一本道一本道と、母親の味噌汁の味に文句言うみたいにしとるけれども、ゲームっていうのはシステムを味わいつつストーリの香りをかぐものであって、そりゃあ開発者としても工夫に工夫を込めて世界観をなるべく広く構築しようとしている結果なのに、自分が少しでも不便感じ取ったらやれクソゲーだ、昨今の若者はすぐに相手を無条件で否定してばっかで嫌んなるわ」

「い、いきなりどうした?!!」


 突然の早口言葉にクルミは戸惑うばかりであった。


 モネの勢いについて、アンジェラが若干申し訳なさそうに言い訳をしている。

「すまんのぉ、ウチらのお嬢さんは魔王城の防衛技術開発者として、なんつうの? ゲーム的なメタ的な技術力とかそのへんのロマンチックに話題がうつるともう、暴れ牛もションベンちびるくらいの狂いっぷりになりがちじゃけぇ」

「あ、ああ……そうなんか……」


 幸いと言うべきか、クルミ側の知り合いにも似たような性癖を患った魔物がいるらしい。

 少なくともモネに対する偏見は最小限に抑えられた。


 そのところで。


「お客様!」

「あるいはお客様!」


 謎の幼女らしき声が店内に鳴り響いていた。


「誰ぇ?!」

 いきなり他人の声が聞こえてクルミがびっくり仰天している。


「誰って、そりゃあアンタ」

 一応、曲がりなりにも、苦し紛れ……とにかく認めたくないが使えるべき主人であるクルミを、ミミロがなだめている。

「魔王城に居座っとるならば、大概ロクデナシな魔物に決まっとろうて」


 ミミロの言い分に「アン?」とアンジェラがガンをつけている。

「個人の私有地にズカズカと入り込んでやれタンス開けたりやれツボぶち割るなり、さんざん好き放題してきた側の勇者サマが、今更何をエラソーにしとんのじゃワレぇ」

「ああ? 知らねぇよ、そんな旧世界の勇者の事情なんざよ」


「あーもう! そこ!」

 クルミがとりあえず身内であるミミロの方をなだめている。

「下らん喧嘩していると、マジでフツーに業務妨害になるから……!」


 クルミとしては今回の魔王城襲撃作戦においては、一応ながら隠密性を重要視したがっているようだった。


「実際には失敗していてもな! 大人ってのは始めたものは終わるまで徹底して誤魔化さなくちゃならねぇ生きもんであってだな」

「そんなことより」


 しかし今の場面に生きていくための戦略はあまり必要とされていないようだった。

 

 勇者御一行のリーダー。すなわち当代において唯一の「勇者」である彼、ユーが店ので入り口の方を見ていた。


 どこか、遠くの山の霞を眺めるような視線。

 ただ、その濃い茶色の瞳は確かに現れた魔物、その存在を認識していた。


「お客だ」

 


 さて。

 招かれざる勇者たちとは異なり、魔王城とその一団は魔王の御力を求める迷える子羊を快く歓迎する。


「はあ? 怪しい宗教勧誘ならいらなんだけど、つかキモいんですけど!」


 前置きはさておき、お客人はかなり急いでいるようだった。


「当たり前だっての」

 リップヴァン・カンパネラと名乗る女子高生魔術師は、それはそれはもうご立腹であった。

「こっちは真面目にエリート街道目ざしてお仕事に励んでいたのに、いきなり謎のチンピラ魔法使いに煽り運転決め込まれたかと思ったら、謎のイケメン怪物に丸のみにされちゃったんだから!」


 事のあらましを丁寧に理解している辺り、さすが栄光のエリートを志す魔術師といった所なのだろう。


「将来性高いよ~」

 ならず者的魔法使いの筆頭担当、モニカ・モネは目の前の輝かしき表社会に早くも怖じ気づいていた。

「まともぶった様子が怖いよ~妬ましいよ~」


 少しだけ年下の女が面白おかしく、ある種のピエロ的技巧をもってして、おどけた怯えを演出している。


 意外にも芸人風味なノリがこのみであるらしい。

「ぐへへへぇ、テメーの年収を蹂躙する日も近いぜコンチクショー」

 カンパネラはニチョニチョとした笑顔でモネをからかっていた。


 さて、若いだけに身を任せきったノリを見せつけられている。

「……いや」

 ライカ・クドリャフカと言う名前の魔物が、とても低い声を発していた。

「3つ以内……そうだ、3つ以内で住ましてみせる……やれ、頑張れ俺……っ!」

「なにこのおっさん」


 カンパネラも負けじと低めの声で威嚇に参戦していたが、如何せん声が可愛らしいためあまり有益な攻撃方法とは言えそうになかった。


「張り合っている場合じゃねえし?!」

 クドリャフカは牙を剥いて、魔術師女子高生の声がする方に警戒心を研ぎ澄ませている。


「お前って……この前バケモンに食い殺されたんじゃねえのかよ?!」


 先日の事である。

 あるいはかなり近めの最近と計測できる、そんな範囲内での出来事。

 

 ある晴れた日のこと、女子高生はタコの化け物に補食されたはずだった。


「まったく、アタシが「サキュバス」のそれじゃなかったらマジでヤバかったんだから」


 「サキュバス」という単語にクドリャフカは思わずウブじみた反応を示してしまう。


「サキュバスって、あのサキュバスか……?」

 世にはびこる淫乱のおとぎ話において王道とも言える要素である。


 魔物界隈においてはかなり知名度が高い。

 

「かつて、の話ですが」

 シズクが何気なく言い放った言葉が、どうやらカンパネラの心のあまり触れられたくないであろう部分にぶつかってしまったようだった。


「べ、べべべ、別に……っ」

 カンパネラはあからさまに動揺していた。

 感情を激しく動かすことであえて己の本質を無理矢理にでも防衛するかのような、そんなブレ具合であった。

「アタシたちサキュバスが絶滅一歩手前になっているのはその、なにも……」


 とにかく何かよい感じの良いわけを、カンパネラはものすごく久しぶりに全身全霊を以て求めていた。


 だが、彼女の努力は徒労に終わる。


「話は単純、需要と供給の変化と言うだけ、ただそれだけの話だよ」


 全員が男性の声がする方に視線を向けている。

 そこには、なぜかこの場に居残っているアンドウ・ユーの姿あった。


「まずは安定した量産とサービスが期待できるセクサロイドの登場とその発達。その次に人間の軍隊が領土を広げた際に大量の魔物の女性を捕縛しそれらをそのまま性奴隷に」

「全部言わなくて良いんだばって!!」


 サキュバス文化衰退の一途を簡略的に語られてしまい、当事者サキュバスであるところのカンパネラは悲鳴に近しい反論を起こしている。


「なんだよこの童顔男?! お顔のめんこさにそぐわずエライヒドイことばっか言ってくるべさ?!」

「まあまあまあ、落ち着きなされ」


 モネはとにかく仕事の要件を要望している。

 カンパネラも「ゴホン」と形式的な咳払いで会話に句点を打った。


「手紙の相手を探してほしい。つまりは、人探し……いや、魔物探しってやつね」


 言うと同時にカンパネラは早速情報提供、一まとめにした手紙を差し出していた。


 それは、なんとも無機質な便箋であった。

 色も模様もほとんどない、ただひたすらに無地で、辛うじて筆記がしやすくなるよう横線がまっすぐ十三行引かれているぐらいか。

 あとには何もない。ここまで無に等しいとなるとむしろチラシの裏側に内容を記した方がほよど温みがあると言えよう。


「んるる、何ですかこれ?」

 シズクは新しいおもちゃに関心と警戒心を示す飼い猫のように、そっと鼻先を手紙に寄せている。

「記述された内容をざっと見ると……恋文のそれのような気配を感じさせますが?」

「今時「恋文」って……」

 ラブレターをやたらと古式に呼ぶシズクに若干引きつつも、しかしカンパネラはすぐに少女の異常性に気づいていた。


「ってか、この一瞬で手紙の内容読んだの?!」

「んる……申し訳ございません」

 シズクは跳ねるような動作で顔、目を手紙から離している。

「勝手に内容を読んでしまいました。いえ、ぼくの手癖でございまして……」

「いや、どのみち内容はここにいるみんなに早めに確認してもらう予定だったから、それは別に良いんだけれど……」


 そんなことより、とカンパネラはシズクの目を凝視する。


「んるるるる……」

 まだまだ初対面の内を脱していない関係性の女子高生に凝視され、シズクはあからさまにどぎまぎしてしまっている。


 カンパネラはしばらく悩んでいた。自らの選択肢を軽く後悔するような素振り。


 だが、それでも若い魔術師は自ら選んだ道を引き返す事をしなかった。


「なるほど、ね。噂通り、当代の魔王様はなかなか面白い性質をお持ちのようで」


 であればこそ、手前が抱える厄介事にも関心を示してくれるであろう。

 魔術師はそのような算段を秘めていた。


 そして、秘密をあえてばらしている。


 



 さて。

 場所はとあるカフェであった。


 魔法使いたちはそこへ潜入、という形式で入店し、そしてのんびりと紅茶を嗜んでいた。


 モネが薄いグレーの半袖ワイシャツから覗く右腕を、カフェの瀟洒なデスクの上でゆったりと動かしている。


 端から見れば麗らかな女子学生たちが休日のティータイムをしばいているようにしか見えないのだろう。

 おそらくは、少しでもそう見えていてほしい。


「そんなことを願っているのか?」

 彼女らからほんのわずかだけ離れた位置の机、二人よう、ないしおおよそ一人がけにも等しい狭さの机。

 そこでクドリャフカがルイに話しかけている。


 当代の魔王、あるいは少しだけ前に世界を滅ぼした最悪の魔王だったもの。


 ルイを目の前に、クドリャフカは現状人の姿に化けていた。


「なるべく視線を増やしたい、とのことです」

 そう語るのはルイであった。


 アオザイを想起させるシルエットの衣服に身を包んでいる、ルイはどことなく女性的な雰囲気を漂わせていた。


 逆説的に考えるとして、それ以外の特徴がなにも思い付かないのが難点である。


「共通点がないだけですよ」

 ルイはクドリャフカの抱く不安、あるいは不快感についてを考察していた。

「わたしと貴方の間に共通する要項が限りなく少ないために、そのせいで想像と言う能力が上手く機能していないと言うこと。ただそれだけの事だ」

「なんか、妙に回りくどい言い方をしやがるな。お前は三文怪奇小説のワケアリイケメンキャラか何かか?」


 クドリャフカの言い回しが少し気に入ったのだろう、ルイは柔らかく瑞々しい唇を歪めている。

 攻撃的な気配のそれは、どうやら笑顔のつもりらしい。


「怪奇的、と言えば確かにそうでしょう」

 ルイは、まず目線だけをクドリャフカに向けている。


 お前はしっかりと会話の劇に組み込まれているのだと、その赤い瞳に決定付けられている。


 かつては金色の色素を有してたはずのそこにはもう色は含まれていない。


 ルイのそれは透明で、だからこそ隠されるべき血液の色が剥き出しになってしまっている。


 ぐるぐると止まることのない血液の循環、鮮度を失わない赤色。

 少なくとも、生命が継続される範囲内では美しさは保たれるのだろう。


 もっとも、鏡などの道具に頼らなければ持ち主がその赤に気づくことはないのだが。


「来る」

 不意にモネの声が彼らのいる空間に鳴り響いた。


 それは命令の言葉だった。

 サイレンに近しいもの、その意味を認知しているものに瞬時に状況を理解させる。

 別段特別なことは何もない。ただ声を発しただけである。

 

 しかし意味を伴えばそこに行動の指針が生まれる。人間が無意識の内に何度も繰り返してきた普遍的なる魔法のひとつ、ただそれだけの事だった。


 現れた、あらかじめ待ち伏せしていたカンパネラがその人物を視認する。

 こちらから、つまり秘匿された付添人である魔法使いたちがいる方角。 

 そこからはカンパネラの後頭部だけが見える。

 後頭部の高い位置にまとめたポニーテール。

 竹箒のように軽やかに毛先が跳ねる。サキュバス族特有の身体的特徴として毛髪は青竹色の気配を帯びている。


 セーラー服の深い紺色の襟がカフェの喧騒を静かに、ささやかに吸い込んでいる。

 紺の布からすらりと伸びるカンパネラの細く美しい首筋。


 その向こう側、相手が現れていた。


 身構えると言える行為は必要なかった。

 相手が強すぎて圧倒された訳ではない。ましてや雑魚が過ぎて過剰な油断を引き起こした事はあり得ない。


 ただとにかく、現れた男子高校性が一般的に安全な存在でしかない。といった認識だけを与えてくるからであった。


「ふぅむ?」

 三馬鹿魔法使いの内のひとつ、アンジェラが二人の先輩魔法使いに質問をする。

「うちはそんなに目が良ぉ無いからよく分からんのじゃけれど、もしかして、もしかすると? あの平々凡々とした男子高校性が実はとんでもない化け物であるという可能性はアリよりのアリ?」

「いいや?」


 三人のバカの内の一人とは認めたがらない、モネはとりあえず賢明としか言い様の無い判別機能を働かせている。

 少なくともモネはアンジェラよりは目が良かった。


「見るからに普通の男子高校性やね。あえて高尚に数字に当てはめるとしたら、戦闘力2、ぐらいかな?」

「ふむ? してその数字の多さでどのくらいの戦いが期待できるんじゃ?」

「うーん……Tik Tokで量産型のダンス動画を投稿できる程度??」

「そりゃあすごい! 世界が救えるのぉ」


 ともあれ、健全で健康な男子高校性、である。といったデータしか含まれないようだった。


「身体的にも、あるいは魔力の神経回路を考慮しても、とりたてて警戒するようなことはなにもあらへんね」

 もちろん、とモネは相手から目を反らさない。アンジェラも同様である。

「とはいえ、我々が人間の魂を有し、あるいは獣としての本性を宿している限りは、あらゆる可能性を秘めている訳なんやけれど……」


 滑らかな動作にてモネは二人の高校生から目を反らしている。

 これ以上自身に観測できる範囲は含まれていない、という判断。

 諦めただけ、不可能は早めに区別すべし、それもまた魔法使いの生存戦略である。


 と、言うわけで。

「……さて」

 モネとアンジェラはほぼ同時、大体において似たような動作の元、3悪人の中において最も、邪悪とさえ言えるほどに、目が言い個体に回答を求める。


「シズクちゃん?」

 モネがシズクに問いかけている。

「なんか、変なところでもある?」


 しかし答えを求めるまでもなく、モネはシズクがすでに男子高校性から関心を失っていることに気づいていた。


 もちろん仕事中ではあるし、曲がりなりにも魔法使いとして害を排除するのを生業としている身空、仕事の最中に気を抜くことはしていない。


 少なくとも分かりやすい範囲内では、である。

 実のところシズク本人ですら自らの内に潜む無関心に気づきにくくなっている。


 仕事を真面目にこなしたいという欲求が、肉体が持つ反社会的な本能を押さえ込んでいる。


「めっちゃ分かりやすく、興味ゼロ、って感じやね」

 モネの簡略にアンジェラのおおむね同意をする。

「なんというか、たいして好きでもないクラスメイトを卒業一週間後に即忘却の彼方に押しやるみたいな、そんな感じじゃの」


 そんな表現方法について。


「それは、むしろ俺たちの関係性そのものと言えるな」


 男子高校性がいつの間にやら魔法使いたちに話しかけていた。

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