脳筋のスパイ少女
脳筋「こちら、コードネーム「脳筋」これより人質救出任務に入る」
通信機の向こう側で聞いている相棒に潜入開始を告げた。モニターに「敵に気づかれぬように、静かに慎重に。静かに慎重に行動しろ」と太文字で相棒からメッセージが届いた。
脳筋「なんで二回も静かに慎重って送るの…たくっ、私はいつも慎重に行動してるっての…」
私と相棒はとある組織のスパイ。今はこの森の洋館に捕らえられた要人の救出に仕方なく出向いていた。
本当なら新作のゲームをダウンロードして徹夜漬けのつもりだったけど、私がここにいるのは某国でヤバい兵器を開発していたおっさんのせいだ。
しかも、仮病で任務を放棄しようとしたらゲーム機をうるさいパワハラクソババァに取り上げられた。
脳筋「タイムリミットは2時間…おっさんを救出してこなかったら私のゲームが粉々に…」
モニターの端にはタイムリミットの数字と私のゲーム機が大型ミキサーに入れられているリアルタイムの映像が写っていた。
脳筋「クソッ!! 開かねぇ!!」
セキュリティのかかった扉に鍵開けの装置をつけるがロックが解除されない。
どうやら森の中に洋館をアジトにしたこの組織はよほど財力と力があるようだ。
脳筋「おっさんなんてどうでもいい…私が何日もかけて育てた「もえちゅうちゃん」たちの命が危ない…」
私の声を聴いてモニターに「おい!! おっさん…博士の命を優先しろ!!」と相棒からメッセージが届いた。
脳筋「クソォ!! 開かねぇ!! …やべぇ、時間がねぇ…」
いきなり入り口でつまずいてしまい、時間を消費してしまった。
クソォ。ゲームだと実は扉は上に開いたり、隠し扉があったりするのにぁ…と思っていたら相棒から「これはゲームだから、扉が上に開いたり隠し扉なんてない。さっさと潜入しろ」
とメッセージが届いた。
脳筋「相棒、お前はエスパーか…」
私の思考を読んでメッセージを送ってきた相棒が怖い。
脳筋「わかった…静かに慎重にいけばいいんだろう…」
鉄の扉をつかみゆっくりと引っぺがす。
脳筋「よし、静かに潜入成功」
中に入り鉄の壁と床の廊下を進む。
数歩進むと、床が抜けた。
落とし穴の先には無数の見るからに毒を持ってそうな毒蛇がいる。
脳筋「とりゃぁ!!」
両足を高速で動かし宙を蹴り穴から脱出した。
床に着地すると、両方の壁から大量の槍が出現して私を貫こうとする。
脳筋「うおりゃぁぁ!!」
槍の刃を両腕で防ぐ。私の体は幼い頃から戦場やら肉体改造手術により、鋼の肉体となりすべての槍が折れた。
脳筋「なにぃ!?」
さらに天井が落ちてきて片手で砕き、正面から放たれた弓矢の雨を砕いた天井の破片で防ぎながら潜入を続ける。
脳筋「うん、大丈夫。静かに慎重に潜入できてる」
さっきから通信機に相棒からのメッセージが大量に来ている。
「どこが静かだ!!」
「もう、これ完全に敵にばれてるぞ!!」
「なんで全部の罠壊しながら進むんだよぉ!!」「」
「もう無理ぃ!! これ失敗だぁ!! 止まれ!! この脳筋!!」
相棒、残念だけど私は止まるわけにはいかない。なぜなら…
脳筋「私には最新のゲームをすると言う使命がある…だから、私はこんな所で立ち止まれないし、死ぬわけにはいなかない…」
天井から降ってきた斧をつかみへし折って進む。
相棒から「そこはスパイの使命じゃなくて、ゲーム最優先かよぉ!!」と突っ込みがきたが、私は返信をいっさいすることなくひたすら進んだ。
脳筋「静かに慎重に…」
とにかく、時間がない。このままでは私のゲームが粉々にされちゃう。
急いで歩いていたら銃を持った見張りに遭遇してしまった。
脳筋「ちぇぃ!!」
敵が瞬きしている間に手とうで気絶させる。一人、二人と発砲される前に気絶させていく。何人か首に手とうした時「ボキィ」と変な音がしたが、そこまで大きな音じゃないから問題ない。
相棒からは「おい、今確実に何人か殺っちまったぞ!!」とメッセージが届く。
脳筋「おっさんは上かそれとも下か…ええぃ、時間がねぇ。まずは下だぁ!!」
映画などで監禁されたヒロインとかが地下にいるパターンを思いだし床を素手でえぐる。
人質のおっさんが地下にいる事を願い、地下部屋へ突入した。
脳筋「くそぉ、おっさんどこだぁ!?」
タイムリミットは既に一時間を切っていた。
クソォ!! 最初の罠に時間を取られた!!
脳筋「ええぃ!! 私のゲームが粉々になったら、ここにいる全員、皆殺しにしてやるぅぅぅ!!」
タイムリミットが迫って焦った私は手当たり次第に黒服を手当たり次第になぎ倒して、おっさんを探す。
脳筋「いや、もはや静かと慎重捨ててるよねそれ? もう、完全に敵に気づかれてるよぉ!!」
相棒からうるさいメッセージが届くが、もはや私には一刻の猶予もなかった。
脳筋「あのクソババァ!! いつも、いつも仕事を押し付けやがって!! たまにはてめぇも仕事しねぇと老化がすすむぞぉ!!」
パワハラババァへの恨み事を吐き、気づいたら地下部屋を全て破壊し尽くしてた。
脳筋「おいてめぇ!! お前らが誘拐したおっさんどこだ!? さっさと言わねぇと、てめえら全員ぶち殺すぞ!!」
血だらけになって倒れている黒服どもを脅す。震えながら何人かの黒服が上の方を指さし、一番上の部屋に監禁していると、答えた。
脳筋「くそぉ!! 上かよぉ!! そこは地下に監禁しとけよぉ、この馬鹿共がぁ!!」
時間を浪費して黒服どもに悪態をつき、天井をにらむ。
脳筋「ちんたら階段上ってたら時間がねぇ…しかたねぇ、ふぅぅぅ…」
その場にしゃがみこみ足に力をこめる。
「お、おい? 何をするきだ? てか、黒服たち死にかけてるんだけど…」
相棒のメッセージを無視し、私はその場からおもっいきり飛び上がり天井を破壊しながら上に進む。
脳筋「うぉぉぉぉ!! おっっっさん!!」
地下から天井を一枚、二枚と破壊し一つの部屋にたどりついた時、私の突き上げた拳に何かが当たり吹き飛んだ。
脳筋「よし!! 最上階についた!! でっ、おっさんは…あ」
部屋の端にボロボロで血だらけの中年おやじが倒れていた。
最初はまた黒服かと思ったけど、中年おやじは白衣を着ていた。その白衣は本人の血でだいぶ染まっている。
そして、私の天井を破るために挙げていた拳には血がついていた。
この血はもちろん、私のではない。
脳筋「…くそぉ!! あいつら、博士を拷問してやがったな!!」
今の私にできることは現実から目を背けることだけだった。
背けた先にある通信機から相棒のメッセージが雨のように送られていた。
「やっちまったたぁぁぁぁ!! この馬鹿チン!!」
「人質ぶったおしてどうすんだぁ!! 」
「現実から目そらすんじゃねぇ!! 人質生きてるか確認しろぉぉぉ!!」
脳筋「ちぃ!! それよりも、時間が…あと30分しかねぇ…ちぃ、こんな時に!!」
屋敷中でうるさい警報が鳴り、次々武装した黒服どもが部屋に入ってきた。
脳筋「くそぉ!! しかたねぇ!! 強硬突破だぁ!!」
血だらけで痙攣しているおっさんをつかむ。銃口を向けている黒服どもに投げつけ、そのまま突撃する。
脳筋「おらおらどけぇ!! 打ったら人質にたらるぞぉ!!」
完全に気を失っているおっさんの足をつかみ、向かってくる黒服に叩きつける。
脳筋「どけぇ!! おらぁ!! あと、10分以内に脱出しないと私のゲームが粉々になんだよぉ!! どけぇぇぇぇ!!」
すでにタイムリミットは10分を切っていた。時間内に人質と一緒に館から脱出しないと、任務失敗になり私のゲーム機が上司(パワハラ鬼婆)に粉々にされる。
脳筋「ちぇすとぉ!!」
館の玄関まで辿り着き、最後の黒服をなぎ倒した。
私の手にあるおっさんは全身血だらけで骨も何本か折れているがまだ生きている。
脳筋「よし。任務成功だ。相棒、迎えを早くしてくれ。これでパワハラ婆からゲームを取り戻し、新作をぶっつづけで…」
「任務大失敗だこの脳筋!! 上司がカンカン…」とメッセージが届いたところで、背後で何かスイッチのような音が聞こえた。
脳筋「は? 自爆ボタン?」
倒れていた黒服が「自爆ボタン」と書かれたスイッチを押した後で私はー-
脳筋「くそったれがぁぁぁぁ!!」
次の瞬間、屋敷が木端微塵に吹き飛んだ。
数時間後。
脳筋「黒服どもは万が一を考えて屋敷に自爆装置を用意してやがった。まぁ、私はおっさんを盾にして無傷だったから助かった。あ、おっさんはあの爆発で記憶を失ったんだと。だから兵器に関しての情報も失って、組織で治療を受けた後、元の国に帰って普通の暮らしをしてるだって。」
脳筋「これで私も新作ゲームができてめでたし、めでたし…じゃねぇぇぇ!! うぁぁぁぁ!! 私のゲームが粉々にぃぃぃ!!」
私の手の中にはすでにミキサーにより粉々になったゲーム機の残骸があった。
相棒から「任務中のことはすべて上司に筒抜けで、任務中に相当ブチ切れてたぞ。それに、人質を武器にしてボロ雑巾にして、記憶喪失にさせやがって…年中ゲーム禁止と休みなしだ。このヴァカ脳筋」とメッセージとともに仕事の依頼書が山のように届いた。
脳筋「やだぁぁぁ!! 休みちょうだぃ!! ゲームやらせてぇぇぇ!! うわぁぁぁぁぁんんん!!」