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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

とある子鬼の誕生

作者: かねき

 その日は雨が降っていた。

 

 

 轟々と降りしきる雨の中、その洞窟の中では人間の女達の悲鳴だけが響いていた。

 その悲鳴は、快楽に堕ちた矯声だったかもしれない。はたまた、現状を嘆いた慟哭だったかもしれない。どの女も服は来ておらず全裸でいて、髪はあめ、顔は苦痛に歪んでいた。


 生まれも育ちも違うその女達の唯一の共有点は、未来が無いということだ。

 

 この世で最も卑しく醜い存在に辱められ、その子を孕んでいく。

そして、その子を産んだら、また、犯され、種付されるのを繰り返す。使い物にならなくなったら喰われて死ぬ。それがここにいる女達の運命であった。


 ここには秩序や倫理といったものは存在せず、ただただ弱肉強食の価値観と性欲とに支配されていた。


 そんな場所で、また、一匹の子鬼が産まれた。その子鬼は、喘いでばかりですなかなか自分のことを産み落とさない母体の腹をこじ開け、喰い破って外に出た。腹を喰い破られた激痛に叫び、のたうち回っていた母体の頭を無表情で潰し静かにさせると、その子鬼は母体のすべてを喰らった。


 その子鬼は産まれた瞬間から、いや、母体の胎の中にいるときから自我が確立されていた。そして、その子鬼は自らの使命を理解していた。


 その使命とは、子鬼(ゴブリン)族を繁栄させること。


 子鬼(ゴブリン)はあらゆる魔物の中で最弱の部類に位置するが、それでも基礎身体能力は人間より若干優れていた。

 子鬼(ゴブリン)より劣った種族である人間がこれ程栄華を極めているのに子鬼(ゴブリン)が繁栄できないはずがない。これまでは子鬼(ゴブリン)族が繁栄できなかったのは、(ひとえ)に頭が足りなかったからである。どいつもこいつも知能が足りず、目先の欲望に耐えられなかったからだ。

 しかし、それも昨日までの話。子鬼(ゴブリン)族には余が産まれたのだ。産まれながらの王にして、そう遠くない将来に全てを征服し、全種族を屈服させる者が産まれたのだ。余がいれば子鬼(ゴブリン)たちは人間どもに変わり、世界の覇権を握ることになるだろう。


 

  未だ名もなき小鬼(ゴブリン)の王はそう確信していた。




 『オ゛オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』




  空を震わす咆哮が 洞窟内に鳴り響いた。











 劇乱の時代の寵児がまた一人この世に産まれ落ちた。

二次創作など大歓迎です。


これをもとに長編を作って欲しいです!


よろしく

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