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Baseball Life より フェニックス物語

作者: 玉子の実

スワローズネスト選手視点の物語です。baseballllifeをしてる方は楽しめると思います。


してない方も固有名詞が多いですが頑張ってください(無慈悲)

「今回のヒーローは4回に2ランホームランを打った川崎 沙希選手です!」


 ナイトゲーム夜9時を周って決着の着いた試合。

 ヒーローインタビューと観客の歓声、そして嬉しそうな川崎選手の声がここまで響いてくる。そして

 その声を聞くたびに…僕は自分が嫌になってくる。

 ラストゲームさえも活躍できなかった。


 3打数1安打1盗塁死



 今年の成績 打率.256 5本 40打点 21盗塁


 正直に言おう。()()()()()()()()だった。


 1番として何もやれてない…優勝チームの一番とは思え

 ないほどに。


「どうしたラストチキノ。ボーッとして。」


 枡田選手に声をかけられる。打率3割得点圏3割を叩き出したフェニックス不動の6番。……僕な

 んかと大違いだ。


「いえ、なんでもないです」少し強がって答える。


 どこか納得しないような顔で去っていく枡田選手。



 数分はたっただろうか。ようやく自分の中での反省も終わりケータイを開きTwittingを開く。

 なぜここで開いたのかわからない。開かなければその事を知らずに済んだのに…。


 そこで見た光景は一生忘れないものとなった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 #ラスチキノ・グネズドはゴミ

 #良い加減にしろ

 打席に立っては三振。守ってはエラーとかやる気あんのかなあいつ。

 最強打線に不純物が混じっている件についてw

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 …………

 そこから先はあまり覚えてはいない。電源を消す、外に出る、空を見る。外は夜で春の月の明か

 りのせいで全く星は見えない。

 近くのベンチに座る。まだヘドロのように黒くドロドロとしたものが胸の内に残っている。

 近くの花壇脇にはムスカリの花が咲いている。確か花言葉は失望、絶望と…あと一個あったはず

 だが思い出せない。


「どちらにせよ今の自分にぴったりな花言葉だな……」そう独り言を呟く。





「……ぅした。どうした!大丈夫か⁉︎顔真っ青だったぞお前⁉︎なんかあったのか⁉︎」凄く焦った声で話

 しかけてくる人。よく見ると川崎選手だった。


「…いえ、なんでもn」


「なんでもなくないだろその顔で、言ってみ。」


「……というかヒーローインタビューはどうしたんですか。」


「今の時間見てみ、10時すぎだぞ。終わっているに決まってんだろ」


(……自分の最後に見た時間は9時だった気がするが…いつのまにかそんな時間が経っていた

 のか。)


 言う事を少し躊躇ったが先輩の圧に負けポツリと話す。


「……Twitting見ましたか?」


 そこから自分に何が起こったかをありのままに話した。誹謗中傷のこと。スランプのこと。

 返ってきた返事は自分の想像とは違ったものだった。


「そんなこと普通じゃないの?自分もそうだったし。あの時は自分もTwittingで結構

言われてたし。」

 

その後は色々先輩特有の話が始まったが。自分が覚えていることはこの一文だけだった。



「周りからの評価なんぞ気にすんな。ただ自分も気にしているならその時は自分を見直せ。」


「…ありがとうございます。」

 その時は何も感じなかった、がこの言葉が後に影響を与える。


 数日後 SBLSシリーズ開幕日。対戦相手は4番でもあるPMももち選手兼任監督率いる圧倒的な

 打線を誇る「近畿シャイニードリームズ」

 〜初戦〜

 1打席目


「フェザーランド選手の投球に一つもかすらなかった。…完敗だ。」


「どうもスランプから抜け出せてないみたいですね〜」3割60本の中核サードステージさんに声を

 かけられる。


「ええ…まだ少し。サードステージさんは?」


「今日は打てそうな気がするけどどうかなぁ。あ、もしかしたら何かに役立つかもしれないから、あんずの打席を見たらどう?もしかしたら何か役に立つかもしれないよ」


「…ありがとうございます。そうします。」



 その時サードステージさんがなぜあんずさんを薦めたかは自分の中で分からなかった。

 あんず選手は圧倒的な成長で8番セカンドに座った期待のホープな存在である。


(…あったな…じぶんもそう言われている時が…懐かしい)


 6回あんずさんからの打席。


(そういや見とけって言われたな)


 あんずさんらしい粘り強くそして甘い球を逃さずレフトに運ぶ。

 正直に言おう、一目見た時に分かった。自分に何が足りなかったのか。


 感覚的だったのでうまく説明こそできない。説明するなら()()()()()だろうか。


 川崎さんの言動とこのプレーの点と点が繋がったような気がした。


 斎藤さんが三振に倒れ、迎えた自分の打席。相手は同じくフェザーランド投手


(自分らしく…自分らしく。)


 それ以外に考えていなかった。無心に振ったバットはボールを捉え…三遊間を抜ける。

 ただのヒット。だが自分らしさを貫いて出たヒットは自分の中でそれ以上のものがあった。


 結果としては4打数1安打。たったの1安打、されど1安打、そんな感じのものだった。

 


SBLSは2戦目はフェニックスが取り、3、4戦目はドリームズが取る。5戦目。接戦の末フェニックスが取る。


 そして運命の6戦目。フェニックスが勝つためには勝ちしかない状況を迎える…。

 

〜最終戦〜

 最終戦は乱打戦だった。泉さんのホームランに始まり。4回に2-2のスコアボード。


 自分も2打数2安打1得点と活躍している。


 そして忘れられない4回の攻撃が始まる。


 川崎さんが三振した時、3番頼む……静かに…さんに声をかけられる。


「今日、調子いいな…」


「今日というか今シリーズは調子良いです。」


 3回に自分をホームに返してくれた頼む……静かに…さん。3割60本トリオの先陣を切る選手であ

 る。


「…ボーッとするなよ。今チャンスだぞ」


「あっ、すみません」

 どれだけ自分は考えていたのかいつの間にか2アウト1、2塁だった。


(…これ自分の打席がターニングポイントになるだろうなぁ…)


 そう思っていた矢先、斎藤さんのヒット性の打球がレフトに行く。


 誰もが少年時代一度は思うだろう。「大舞台での満塁で自分が打席に入る」それが現実のものと

 なった瞬間だった。


 打席に入る際、歓声が沸く。その声に緊張し手汗がにじむ。しかしどこかに楽しむような余裕が

 あった、この緊張の中。


「まぁ、なんとかなるだろう。」どこか他人事のように思えるその考えはシーズン中には無かった

 ものだ。


 そこから先は覚えていない、いや覚えていないと言えば嘘になる。

 正確に言えば一つのシーンだけ覚えている。



「内角高めの少し抜けたストレート。最中見える()()()()()()()()()()()


「自分の打った打球はその光に沿って、放物線を描く……。」

駄文ですが。読んでくださった方ありがとうございました。

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