4.私はフローズンカクテルを頂きました!
わたしは彼女の事を『リューさん』と呼ぶことにしました。それは彼女が竜戦士の英雄だったから。
どうしてもあなたの名前が覚えられない、と彼女に伝えると、彼女は「それはきっとそういうものだから、気にしないでください」と言いました。
幼い頃、田舎で毎日のように遊んでくれた、あの名前も知らない英雄の事をふと思い出しました。
わたしがママに怒られて泣いている時。
お気に入りの釣竿が折れてしまって泣いている時。
近所のやんちゃ坊主にいじめられて泣いている時……
彼はとっても甘いクッキーを作ってくれました。わたしはそれが大好きでした……
わたしは、あの英雄の名前をちゃんと聞いておけばよかったと、なぜかその時、思ったんです。
お酒をこぼしてしまったから、と彼女はその場で何か作り始めました。彼女が作ったのは、フローズンカクテル。超高級なカクテルで、もちろん飲んだ事など一度もありません。
お店にいるというのに、こうやって英雄は自分で作っちゃいます。お店にいる時くらい、注文すればいいのに。とわたしは思うのですが……
彼女が作った、淡いピンク色のフローズンカクテル。
グラスを鼻に近づけて、目を閉じてその香りを愉しみます……
ミルクとバナナと、ほんのりイチジクの香り。
口をつけると、上品なフルーツの甘味が口の中に広がっていきました。
そして、シャーベットのひんやりした喉越しが心地良い……
匠の調理師しか作れない最高級品です。
「美味しかったですか?」
「ええ…… 最ッ高!」
「よかったぁ!」
お酒も料理も、美味しいものを食べた時ってすごく幸せな気持ちになります。そして、自分が作ったものを喜んでくれた時も。たった1杯のカクテルだったけど、わたし達はこの瞬間に仲良くなれました。
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