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48.私は女王のヒミツを知っちゃいました‼︎



 「もう戦う必要はないと思って、私達はこの村の子ども達には魔法を教えなかった。五年間も豊作が続いたのは、そのお陰だって、後になってからわかったの。


 王国の再起をかけて子ども達にも魔法の鍛錬をさせていたら…… きっとこの土地は一年も持たなかったはずよ。魔法を使って身体から失われた魔力はどんどん大地から吸収されて…… 土地はあっという間に枯れ果てて、私達は生き延びることはできなかった」


 アシリさんはカウンターの奥に飾られたミモザの花で作られたリースを見ながら、呟くように言いました。


 「私達がこの島で生きていくためには、吸い取ってしまった魔力を大地に還す必要がある……」


 「吸い取って還す…… そんなことができるんですか?」


 「ええ、強力な魔法を使うことで放出される魔力を捕まえるの」


 「すごい技術じゃないですか!」


 「でも、魔法を使うことに慣れてしまった大人だと、魔力を消費したそばから大地から吸収して回復してしまうから意味がなかったの。だけど……


 魔法をまだ覚えていない子どもなら──


 大地から魔力を吸収する魔孔がまだ開き切っていないから、失った魔力を大地から吸収して回復するためには、かなりの時間がが必要よ。


 そして、魔法を教えなかった子ども達は、生まれてから一度も魔法を使った事がないはず…… 子ども達の身体の中には、10年以上も溜め込んだ豊富な魔力が貯まっているんじゃないかって考えたの。


 だけど、子どもには魔法を教えていないし、身体に溜め込んだ魔力のほとんどを消費する魔法なんてもちろん使えない…… だから、錬金具を使って『接続』して、錬金具が子どもの身体を使って高位魔法を詠唱する──」


 「もしかして、あの女王が座る椅子あった仕掛けって……?」


 「そう。あの椅子は私が作った、身体から魔力を吸い取る巨大なアランビック。吸い取った魔力は丘の上の噴水から地下水へ流れて、そして…… この島の土全体に魔力を行き渡らせる──それが砂のように痩せた土に命を与えるの。それが葡萄の木を蘇らせ、果実を実らせ、稲穂を黄金色に輝かせているのよ」



 そんな…… 女の子の身体を魔力の容れ物みたいに使って大丈夫なの?



 最高級のワインも、信じられないくらい豊かな畑もすべて、毎年捧げられる女の子の魔力の力だったなんて…… ワイングラスに注がれたワインが少女の生き血のように見えて、背筋に寒気が走りました。



 「確かに、子ども達には負担がかかるけど…… 村が生き残るにはこれしかなかったの」


 「女王に選ばれた女の子は…… 儀式の後どうなってしまうんですか……?」


 「しばらくの間立つこともできなくなるけれど、だいたい1ヶ月もすれば元通り元気になるみたい。でも子ども達には大きな負担であることは間違いないから……


 本当に…… 子ども達にそんな事まで背負わせなきゃならないのが辛かった……


 やっとあの子達を自由にしてあげられる…… 本当にありがとう。この村を見つけてくれて」



 そう言ってアシリさんは涙を流しました。






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