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19.私は……このままだとロボに改造されちゃう流れですか?



 「ロッペさん、喉渇かないかニャ?」


 「そうですね、どこか給湯室があるのでしたらお茶でも沸かしましょうか? そもそもお茶っ葉があれば、ですけど……」


 給湯室のありかを探そうとするわたしを制するように、猫侍さんは手をイヤイヤと横に振って、


 「あそこに一体、突っ立ってるロボがいるでしょ?」と奥の方を指差します。


 今まで気付かなかったのですが、隅の方に働かずにぼーっと突っ立ってる奴が一体あります。壊れたオートゴーレムが放置されたんでしょうか……?


 「あれはね、自動販売機なのニャ」


 「自動販売機?」


 発電用だけでなく、物販をしているものまであるなんて。


 「何を売ってるんですか?」と尋ねると、猫侍さんは、


 「ジュースだニャ」と答えました。


 ジュース……


 こんなとこで誰がジュースを飲むんですか…… 使われることもなく、ただ命じられるがまま、ここにずっと立たされてるなんて…… この中には確かに人の魂が入っているんでしょう?


 「あれ、ボクが作ったんだニャン……」


 「え?」


 思いもよらない猫侍さんの言葉に、首の後ろあたりから寒気が一気に身体中を走り抜けました。 


 「冗談ですよね……」


 猫侍さんの真っ黒な目が大きく開いていて、口元に少しだけ笑みを浮かべたように見えるその顔が…… なんだかとっても怖いんですけど……


 「この発電所には、オートゴーレムに関するとても詳しい資料がたくさん残してあってニャ。ボク自身がロボになるために、こうやって中に入れる機会にしっかり重要な情報を集めておかないといけないのニャよ。長く居ると喉が渇くから、自動販売機があると便利ニャ?」


 そう言うと、猫侍さんはその哀れな自動販売機からジュースを取り出すと、わたしの方へ持って歩いてやってきます。


 「人の心を残したままオートゴーレムを創り出すのはそれほど難しい技術じゃないニャ。だけど、魔法で行動を制御する制御プログラムを書いて、それをコアに定着させるのは結構難しいのニャ……」


 この人…… 前に来たときは一体誰にここに連れてきてもらったんだろう……


 あの自動販売機の目から流れてるように見えるのは、もしかして…… あなたの涙なんですか……?


 自分がオートゴーレム化するための実験台として、この発電所に導いた市民が使われていたら…… 自分の魂をコアに捧げることも厭わない人なら、他人を同じような目に合わせることにも躊躇などしないのでは……


 「ここで自動発電するプログラムを書いた人はすごいニャ…… 今のボクにできるのは自動でジュースを出してくれる自動販売機くらいニャ。……あ、そうだニャ…… 毎日狩りで肩が凝るから、マッサージしてくれるロボもいると助かるニャね。今度はそれにチャレンジしてみようかニャ……」



 ちょ、ちょっと‼︎


 コーヒークッキー屋の次はマッサージロボなんて、想定外すぎる‼︎


 これは命をかけて戦わなければならない、正念場がきちゃった! このマッドサイエンティスト猫侍と命を掛けて戦わないとロボにされてしまう! しかもマッサージロボにッ……‼︎


 「ひ…… 人の命を自分の都合で弄んで! 自分がなりたいんだったら、勝手にロボにでもなんでもなればいいですよ‼︎ で、でもね‼︎ 他人の命を勝手に弄っちゃダメです、絶対‼︎‼︎」


 突然大声で怒りをあらわにしたわたしを見て、猫侍さんはとてもビックリして目を見開いてしばらく動けないようでした。逃げ出すなら今! かもしれませんが、恐怖と興奮で手足がブルブル震えてしまって、わたしも動けません……(ヒィィ)


 「そうだね…… このロボ、壊れちゃってて…… 部屋の真ん中で死んだように倒れてたんだよ。それ見てると可哀想になっちゃって…… また動けるようにしてあげたいって思って勝手に自動販売機なんかにしちゃって…… 壊れたオモチャじゃないのにね……」


 猫侍さん……?


 「ボクが間違ってたよ。嫌な気分にさせてごめんね、ロッペさん。ぜんぜん気づかなかったんだ。本当にごめん……」


 猫侍さんはしっぽを下げてしゅん、としてしまいました。


 誰かを実験台にしたわけじゃなくて、壊れてたオートゴーレムのプログラムを書き換えたんですか…… まぁ、わたしを改造するのでなければ、何でも好きにやって貰えば良いんですけどね…… いやぁ、怖かったぁ……


 「壊れて倒れてるのをそのままにはできませんよね…… 猫侍さんはここで、この子が発電作業に復帰できるように研究を続ければいいんじゃないですか? わたしもできる限りご協力しますから。ロボになって、空を飛ぶのが猫侍さんの夢なんですよね?」


 そう言うと、猫侍さんは「ありがとう!ありがとう!」と、とっても喜んでくれました。猫侍さんは尻尾がよく動く人です……


 とりあえず、自動販売機のロボはそのまま自動販売機のまま、今の場所で待っててもらうことにしました。せめて飲み物くらいないとね…… こんな場所に長時間なんて、いられるもんじゃありません。


 アンタもマッサージ機に改造されるより、ジュースの自販機の方がまだマシでしょ?




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