や、どや? どこかのお茶会の広場かな?
今回は、短くてすみません。
次回、色々と長くなりそうです
「さてと、それじゃー面接しましょうね~」
あの後、無事に食事を済ませた少年たち。今は、食事の後にコーヒーが入ったマグカップが三つほど机に置かれている。
そのコーヒーを白いお皿に乗せて、優雅に飲み始める宿屋の店主。
服装は、白いエプロンと三角巾と言う、家庭的な服装のはずなのに、その動作には一般人のような雰囲気はなく、場そのものが、まるで、暇つぶしに貴族のお嬢様が世間話にお茶会を開いてるような雰囲気が場を支配していた。
「ん」
その要員を作ってるであろう、少年の隣に座っている銀髪の少女も目の前の女性と同じような飲み方をしていた。その動作には迷いは無く、手馴れている様子だった。
(や、どや? 貴族のお茶会か何かなんじゃ?)
「面接って……あの、本当に宿屋なんですか? 何か、どこかのご令嬢とかだったりしますか?」
少年は差し出されたコーヒーに一口もつけずに聞いた。
「さてね? あと、差し出されたものは口に付けるべきよ。これ、お茶会の常識よ」
「は、はぁ」
お茶会って言っちゃてるよ。と心の中で突っ込みをする少年は、差し出されたマグカップを遠慮なく右手で掴んでは口をつけては、飲んでいった。
「礼儀よろしくない」
隣からジド眼で少年を非難する少女。
「いいじゃない、男っぽくて。ますます気に入ったよあんた」
「それで?」
「ん? ああ、そうね。ここは普通の宿屋よ。そして、私はこの宿屋の店主で、ケアラミって名前なの。よろしくね」
宿屋の店主、ケアラミは少年が言いたいことを汲み取っては、少年の初めの疑問に答えた。
「さてと、あなた達の名前を聞こうかしら?」
「ああ、そうだね。僕の名前は、エミルさ。冒険者をやっていて、職業は盗賊っす」
「エミル君ね、よろしく。そんで、そっちの彼女は?」
「……ツクモ。それが、私の名前」
「そっちの少年ならまだしも、ツクモちゃんには、セカンドネームとか無いのかい?」
「無い」
「ふぅん……。まぁいいわ。それじゃあ、自己紹介も終わったことだし、エミル君とツクモちゃんには、立派な宿屋の従業員になってもらうためにも、早速働いてもらおうかしら」
いつの間に飲み終えたのか、ケアラミさんが飲んでいたマグカップが空になっていた。
「……よろしくお願いします」
ツクモも飲み終えたのか、空のマグカップがテーブルに置かれていた。
「ぼ、僕はまだ認めた訳じゃ」
「まぁまぁ、硬いこと言わずにさ。今日一日だけでもやってくんない? ほら、助けたお礼的な奴でさ」
「そうは、言われましても……」
「エミル君は、外から来たんだよね? 今日ココで働いてくれるというなら、宿代全部なくして上げるよ? 勿論、正式に働いてくれるなら、宿代は愚か、三食賄い付きで週休2日に、給料だって約束するわ」
「ぐ、ぐぬぬ……。わ、分かりました。一日だけ。今日、一日だけ様子見ます」
(負けたわけじゃない。負けたわけじゃないんだ。今、手持ちのお金があまり心もとないのと、冒険者としての依頼をやりくりしてもお金はそこまで貯まらない。ここで、働いたほうが効率的に動けるからと言う理由であって、断じて欲に負けたわけじゃないんだ)
「言質は取ったわ。それじゃ、働いてもらいましょうねー。まず初めに、部屋の掃除をお願いね。箒と雑巾に、ゴミ袋とかはツクモちゃんに聞いてね。事前に教えたから」
「わ、分かりました」
エミルは腑に落ちないのか、曖昧で無難な返事を返した。
(それにしても、ツクモさんは、もう承諾してたんですね……。無理やり入れさせられたのに)
エミルは横目でツクモを見た。
黒コートではなく、ちゃんとした服装を着ている銀髪の少女。
物静かそうな雰囲気を身に纏った美少女。高嶺の花とは、彼女のことを指すんだろうなとエミルはまじまじと見ながら思っていた。
「な、何ですか……それより、行きますわ。私はあなたと違って、正式にここで働くんですから。遊ぶ訳には行かないんです」
(そう、これは遊びじゃないの。これも生きるためなの。クロに再び会うためにも、私はちゃんと生きなきゃいけない……大丈夫大丈夫。クロは死んでない。私と言うお荷物がなくなったんだから。きっと生きている)
ツクモは、内心で右手に握りこぶしを作り、心を何かに覆うように身を固めた。
(ツクモちゃんに、エミル君ね……)
場面は変わり、食堂で、夕食の仕込をしているケアラミ。
「それにしても、おっそいわねぇ……何かあったのかしら?」
とある一人の男性を思い浮かべながら、ケアラミは、特に心配したようなそぶり無く、ただただ遅いことに疑問を感じて呟いた。
たぶん、明日投稿できそうに無いです。すみません