表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/27

何着ても可愛く見える美少女ってやっぱすげえわ

シリアスさんはお帰りになられました。

これからは、日常を楽しんでください(にっこり

「って! なんで宿屋なんですかーい!」


 開口一番、僕は大声をあげていた。


「何でっていわれても、私ここの宿屋の店主だし」


 何いってるの? と言う風に答える宿屋の人。


 場面は変わって、外から宿屋に入った少年たちは、食堂と思わしき場所で寛いでいた。


 4人用の食事にありつける場所に腰掛けるのは、少年と少女。


 少年は、腰掛けていた椅子からおもっきり立ち上がって食堂の奥、キッチンにいる店主にツッコンでいた。


「まぁまぁ、落ち着け少年。焦っていてはチャンスは逃してしまうぞ」


「そのチャンスを逃しかねないんです」


 奥のほうから店主は鍋を両手で支えて持ってきていた。


 マフラーは身に纏っていたが、手袋を外しており、白い三角巾とエプロンを身に纏っており、先ほどまで見ていた歴戦の冒険者の風格がなくなっていた。


「お食事にマフラーを身につけるのはマナー違反ですよ」


「ああ、ごめんね。このマフラー外せないんだよね」


「呪われた装備なんですね。申し訳ございません。事情を知らずに難癖をつけてしまいまして」


「いやいや、良いよ。そういうの慣れてるから。宿屋なんだし、気軽にさ」


 宿屋と少女が世間話をするかのように普通に会話をしていた。


「いやいやいや……あのさ」


 少年が会話に入ろうとするも、そんなのお構い無しに女性たちは話を続けていた。


「それよりもさ、コート着ながらだと食べ辛くないかい? よかったらだけど、服着てく?」


「良いのでしょうか?」


「良いのよ。あんたらはもうここの従業員だし、適した服装ってのが相応しいわ」


「それ、もう確定なんですね」


「宿屋の神様が言ってるのよ。あんたらを逃すなと」


「ははは……」


「それじゃ、服貸したげるからこっちにいらっしゃい。ああ、それとそこの坊や」


「何でしょうか?」


 少年は無視されたことに気にしてるのか、多少不貞腐れたかのような態度で返した。


 それに対して、女性は何ともないような口調で伝えた。


「坊やが何をしようが、勝手だけど、これだけは言っとく。今はココにいるべきよ。なんせ、私にすら解けない不思議な呪いに掛かってるんだから」


「へ?」


「それじゃ行きましょうねー。あ、覗いちゃ駄目よ?」


「覗きませんよ!」


 店主はからかいながらも少女を連れてその場からいなくなった。


「はぁ、なんなんすかね。本当に……」


 少年は上を向いて、時間を潰そうとした。




「おーい、姉御~」


 しばらく上を向いていたら、誰かが食堂に足を踏み入れていた。


 赤髪で緑瞳の瞳をしていて、何日も洗ってないのか、汚れたボロボロの緑色のズボンに、黒色の半袖が特徴的な、何処からか不良のようなイメージが付きやすい男性だった。


 眼と眼が合う。


 男性と少年はお互いに声を発しないまま沈黙が流れた。


「な、何か御用でしょうか?」


 少年は空気に耐え切れず、ありさわりの無いことを聞いた。


「いや、ねえけど。おめえさんもしかして……ってことはまさか、あいつがいるのか?」


 男性はあわあわと慌てだした。


 そして、おもむろにごほんと咳き込んだ。


「そっかぁ、姉御がいないなら仕方ないな。うん。出直そう。じゃな」


 男性はそういうと、まるで何かから逃げるように、その場から走って出て行った。


「な、なんなんだよ本当に」


「今、誰か。来なかった?」


 少年が再び上を向こうとするも、宿屋の人の声が部屋に入った。


「あれ、着替えおわったんすか」


「ええ、それもばっちりね。何着ても似合うんだから」


「はぇー」


「あなた、興味なさそうよねそうねって。いつまでそこにいるのよ」


 店主はそういうと、入り口付近のところに顔をやった。


 そこには、銀髪の少女が中に入ろうとはせずに、顔だけを覗かせていた。


「や、やっぱり他の服じゃ駄目ですか? こ、こんなスカートを履いて、殿方の前に出るの、凄く恥ずかしいです」


「ええ、良いじゃないの。そういうのは若いうちじゃなきゃ着れないわ。それに、それしか服無いんだから我慢して頂戴」


「嘘ですわ! 絶対に、嘘ですわ!」


「もー仕方ないなー」


 そういうと、宿屋の店主が少女の下まで歩いていくと、腕をおもむろに引っ張った。


「きゃあ!」


 そこから、映し出される光景は、少年の眼には凄く輝いて見えた。


 黒と白が合い重なって際立つ服装。スカートは極端に短く、下手に動いたらパンツが見えてしまうのではないのだろうか? と心配するくらいに短かった。変わりに、黒く長い靴下を履いており、足の部分はそれで露出を抑えていた。黒いコート越しでは分からなかったが以外に、胸があるように見える。そういう服のデザインだろうか? 上着は胸元を少し開けていた。袖は肩の部分までしかなく、代わりに、白く長い手袋をはめており、それで腕の部分の露出を押さえていた。


 想像を絶するような美少女がそこに立っていた。思わず少年は固まったまま動けずにいた。


 「や、やっぱりこの服装じゃ駄目ですよ。破廉恥すぎです」


 少女は、顔を真っ赤にしては再び食堂の入り口付近まで行って、こちらに顔しか出さない位置にまで戻った。


 「駄目じゃないだろ? なぁ、少年」


 宿屋の人は何かをからかう顔をしながら、少年の方に顔を向けた。凄くにこやかな顔だった。少年は思わず、右手に拳を作るもプルプル震えて我慢した。


 「そ、うですね」


 少年は、少女に向き直るも、まじまじと顔を見つめた。


 「な、なんですか? やっぱり、破廉恥すぎますよね」


 「いや、まぁそうだけど……」


 「うわーん。面と向かって言われたぁ」


 キャラ崩壊してません? 少年はそう苦笑しながらも、どきどきしながら少女を見つめていた。


 「いや、うん。こういうときなんていったら分からないけどさ。間違いなく凄く似合ってるよ」


 「え」


 少女は、そう言葉だけを呟くと、再び顔を赤くした。


 「それはそれで凄く恥ずかしいよぉ」


 少女はそういうと、顔を伏せた。


 「な、何でー!」


 「あーはいはい。これ以上はお腹いっぱいになっちゃうから昼にしましょうね」


 「「あなたのせいですよね!?」」


 少年と少女の声が宿屋の中で響いた。

次回、ようやく自己紹介かな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ