何のために呼び出されたのか
「……確かめる、なんて偉そうなこと言って、ごめんなさい……。貴方さえ良かったら……」
「合格ならそれでいい。起きた結果は覆らないからな。それに、こうなった以上、出来る限りのことはするつもりだ」
「……本当に、いいの……?」
自分から言っておいて心配症だな。
「そもそも、俺はこの世界について知らないことだらけだ。当面は元の世界に戻れそうにもないし、こっちにも慣れておかないといけないだろ」
俺を呼び出すために使った魔導書と魔法陣は、修復が不可能な程にボロボロになっている。戻るためには、新しい魔導書を得るか、自力で戻るための魔法を習得する必要があるだろうが、どちらも容易な道ではなさそうだ。
「……ところでユウイ、ひとついいか?」
「……何?」
危ない危ない。短時間で色々あったせいで、肝心なことを忘れかけていた。
「俺を呼び出した理由って、結局なんなんだ?」
「……あっ」
あっ、てなんだよ。お前が忘れてどうする。ぺちん、と頭を軽く叩くと、ユウイは「うう……」と頭を押さえた。どうみても同い年には見えない。
「……魔道学校に入学するのに、一緒に来て欲しい……」
魔道学校……。魔法学園と同じようなものか。
「……入学する条件に、2人1組で、という条件があるの……。……私には一緒に行ってくれる友だちがいなくて……」
だから異世界の誰かを、ということか。理由はわからなくもないが、行動が斜め上じゃないか、それ。
「……友だちはいるよ?でも、皆魔法が使えないの……」
若干蛇足気味な情報だが、まあ関係ない。用意できる答えは1つしかないからな。
「……答えは『イエス』だ。この世界について知るのにも、元の世界に帰る方法を探すのにも、それが1番手っ取り早い」
それに、現状知り合いと呼べる相手がユウイしかいないのもあるが。何も知らない状態で世界を歩き回るのは危険すぎる。
……ただ、今の説明を聞いて、どうしても不可解なことがある。
「……しかし、入学条件が2人1組とか、ずいぶんと変わってるな、その学校」
「……パーティを組めないような人間に、入学する資格無し……だって」
理屈はわかる。わかるがそれを条件に組み込む必要があるか……?考えても仕方ないか。
色々思考を巡らせていると、ユウイは静かに立ち上がった。
「……それじゃあ、私の家、案内するね……」
そう言いながら手を差し伸べる。その手には何故か懐かしさを感じる。……ああ、そう言えば同年代の人に、最後にこうやって手を差し伸べられたのはいつだったか。
「ああ。よろしく頼む。ユウイ=アイスアーデル」
「……こちらこそ、よろしく。カノン=バッドドッグ」
手を取り、立ち上がる。立ち上がる時に非常に安心感があったが、きっと一人ぼっちを回避出来たからだろう。
未だに先は見えないが、とりあえず前には進めそうだ。