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非日常は突然やってくる

「俺の魔法が見たいのか?」

アルフの予想外のお願いに、ついつい聞き返してしまう。別段駄目というわけではないし、嫌だということもない。ただただ単純に、そんなお願いをしてくるとは思っていなかっただけだ。

アルフは「うん!」と元気よく答えた。俺には断る理由もない。見せてあげるのが正しい対応なんだろうが……、

「見たいならいいけど、少し危ないから離れた所でな」

1番の心配点は当然安全面である。五乗魔法をコントロールできるとはいっても、発生する力はとてつもなく大きい。油断していると吹き飛ばされて怪我をする、なんてこともよくある。親しくしてくれている近所の子なら、なおさら傷つけたくはない。

「わかった!」

アルフの返事はハッキリしたものだ。やはり育ちの良さが出ている。よほどひねくれていなければ、この子のお願いを無下にすることは無いだろう。

「よし、それじゃあ外に出ようか。家の中だと危ないからな」

そう言いながら俺は立ち上がり、庭へと続く窓の扉を開けた。

庭に出ると真正面に見える西日が半分ほど建物の裏に隠れていた。1つ大きな魔法を見せたら帰らせよう。そう思っていた所に、ちょうどお隣さんと顔があった。

「あらカノン君、アルフと遊んでくれてるの?」

穏やかで、優しい雰囲気が滲み出てくる声である。何年も近所付き合いしているが、アルフ絡みでも怒った所は見たことがない。

「はい。母に家で待っていてくれと言われていたみたいで、おとなしく待っていてくれていましたので」

「お母さん!カノンお兄ちゃんが、魔法見せてくれるって!」

あらそうなの、とお隣さんも上機嫌のようだ。それから少しだけ雑談を挟んで、俺はアルフに少し離れるように言う。

「…よし、やるぞ」

宣言し、意識を指先に集中させる。それとほぼ同時に、ぽうっ、と人差し指の指先に橙色の球体が浮かび上がる。それは間を置かず中指、薬指、小指の指先にも浮かび上がり、最後に親指の先にも浮かび上がった。

「そらっ」

普段は声を出すことはしないが、アルフが見ている手前、何かをする、ということはわからせておいた方がいいだろう。掛け声とともに指を動かして、指先の球体を1箇所にまとめる。まとまった球体は熱量を加速度的に高めていくが、それを外からコントロールし、手のひらに収まる程度の大きさに留めた。

「うわあ……、熱さがここまで伝わってくるよ!さすがカノンお兄ちゃん!」

純粋な賞賛が気持ちいい。お隣さんも「すごいわねえ」と言いたげな表情をしていて、負の感情を持ち合わせていないように見える。

「さて、そろそろ……?」

魔法を解除しようとした時、違和感に気付いた。

……出力が、異常とも言える速度で落ちている。

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