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裏が見えると、モテても嬉しくない

俺の名前は、『カノン=バッドドッグ』。

とある国立の魔法学園に通う普通の男子生徒だ。

……いや、嘘だ。

巷では、『世界最強の魔法使い』とかと言われている。他にも『化け物』だとか『人を超えた存在』だとか、あまり嬉しくないあだ名?で呼ばれることもあるが、それはまあいいだろう。

そんな俺だが、今しがた、非常にめんどくさい状況に置かれている。それが……

「わ、私と付き合ってください!」

目の前にいる、女子生徒から公衆の面前で告白を受けている。

「一目見た時からずっと好きでした……。どうか、よろしくお願いします!」

16になり、この学園に入学してから半年、告白を受けるのはこれで5度目だ。特に今月に入ってからは3度目。昔ご近所様の息子(5歳)に

「この人、目で人を殺しそう」

と言われた俺のどこがいいのか。そんな自問自答、とうに答えは出ている。ついでにこの告白の返事についてもだ。

「断る」

実に簡潔、実に的確、実に無慈悲。そんな俺の言葉に、目の前の女子生徒も「え?」と言わんばかりの顔をしている。断られるかもしれないとは思ってたけど、即答されるの?と思ってそうな顔でもあるな。

「……え……?」

本当に言うのか。

「え…、即答……?」

そっちも言うのか。わかりやすい。わかりやすいからこそ、この告白に恋愛的な理由がないことも直ぐに見抜いてしまう。

「そもそも、一目見た時っていうのも嘘だろう?入学式の時に『バッドドッグとか馬鹿犬ってことじゃーん』とデカい声で言ってるのも聞こえてたんだぞ?」

どんな子だろうと、どんな教師だろうと、親と同じ姓を馬鹿にすることは許さないぞ。

「あ、あれは…その…」

そこで返答に困ると言うことは、肯定と捉えてもいいということだろう。

「もし仮にあれを肯定的な意味であんたが言っていたとしても、受け取る側は名前を侮辱されたようにしか思えないからな。分かったら俺は帰らせてもらう」

周りで「可哀想」とか聞こえてくるが、気にする必要はない。同調しないと何をされるか分からない状態で言ったのであれば考える余地はあるが、こいつの場合は自ら率先して言ってのけたからな。自業自得だ。

それに、告白してきた本当の理由も既に知っている。こいつは、俺の強さを盾に学園内でいい思いをしたいだけだ。

そんな奴と付き合って、俺に益はない。むしろマイナスイメージがつくだけだ。

今月告白してきたのは、全員が全員そういう考えしか持ってない。

男子生徒からは「モテて羨ましいな」と言われるが、あんなのにモテても嬉しくない。

……と言うより、モテてすらいないだろうに。「強い奴を盾にするための告白」なんて、ただ利用しようとしているだけだろ。それを『モテる』という言葉で片付けてはいけないだろうに。

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