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第1章 その1

使い込んだレコードバッグから、お気に入りの一枚を取り出す。LP、EP。7インチ、12インチ。名前くらいはみんな、聞いたことあるよね。

レコードをターンテーブル(レコードプレイヤー)に乗せ、使いたい曲の箇所に針を合わせて、ヘッドフォンで音量・音質をチェックする。

準備ができたら再生ボタンをポン!

たちまちフロアが大音量で埋め尽くされる。

すぐに2曲目の準備。

CDはCDプレイヤーに放り込めば、頭出しはアナログ(レコード)よりずっと簡単。その分「味わいに欠ける」なんて言う人もいるけど。

ターンテーブルやCDプレイヤーは左右に1対ずつ。その間を繋いで、音のバランスを取ったり2つの曲を混ぜ合わせたりする機械がDJミキサー。

ミキサーにはいろいろな機能がついていて、特にDJミキサーの特徴ともいえるのが「クロスフェイダー」。左右の音量を切り替える、横にスライドするスイッチ。今は1曲目の音だけが流れるように端に寄せてある。

最初の曲ををフロアに流しておいて、2曲目はヘッドフォンでモニターして音のチェック。

1曲目が終わった瞬間に2曲目をスタート、同時にクロスフェイダーを一気に2曲目側へ寄せてフルヴォリュームで発射する。今日も決まった!

3曲目はフェイドアウトからのフェイドイン(徐々に入れ替える)。クロスフェイダーは真ん中へ。両方のヴォリュームをゆっくり入れ替える。自然な音の繋ぎに全神経を集中して。

2つの音を、切り替え、重ね合わせ、繋ぐ。それがアタシたちDJがやっていること。

でも、ただ曲を繋いでいるだけがDJじゃない。

フロアを盛り上げるのがDJの役目。そこには、プレイするDJの心がハッキリと映し出される。

マジメな人は選曲もマジメ。おちゃらけたプレイをするDJは性格もおちゃらけてることが多い。カッコつけ君はやっぱりカッコつけた曲ばっかりだし、神経質なDJが回す音は何となく神経質に聞こえる。

素敵なDJはミキサーの使い方が上手なだけじゃない。

人として素敵なら、DJとしても素敵。

2つの音を繋ぐのがDJなら、素敵なDJはハートのバランスも上手に繋ぐことができる。

少なくとも、アタシはそう思っている。


下北沢。

かつて東京サブカルチャーの本拠地だったこの街も、小田急の下北沢駅が地下に潜ってしまった頃から他の繁華街とそう変わらなくなってきちゃった。

どこにでもある同じブランド、同じショップに同じファストフード。歩いてるやつらの顔つきまで同じ。

それでも、ちょっと裏通りに入ればまだまだ下北も捨てたもんじゃない。アンダーグラウンドな香りのするオリジナル・ブランドやセレクト・ショップ、古着屋、素敵なカフェにバー、ライヴハウス、劇場、そしてクラブががんばっている。

「クラブ」っていっても、十人いれば十人が違うイメージを持ってると思う。

アタシたちがいうところの「クラブ」…たまり場はロック。

その「ロック」っていう言葉も、同じように人によってだいぶ意味合いが違う。

ビートルズがロックだって人もいれば、永ちゃんがロックだって人もいる。「スピッツこそロック」って人もいるし、「ロックといえばワンオク!」って子もいる。

正直、その辺をアタシたちはあまり気にしてない。ジャンルを明確に区切っている店やイヴェントもあるけど、大抵は「ロック」という言葉をキーワードにして、パンクだったりロックンロール、ロカビリー、サイコビリー、オールディーズ、メタル、ハードコア、メロコア、UKロック、ラウドロック、ポップス、果ては歌謡曲まで何でも自由に回している。

DJにはDJの「ロックの空気」ってものが存在する。その空気が読み取れれば、あとは好きにやるだけ。それをアタシたちは「センス」と呼んでいる。


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