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001 アマイロ雑貨店の鈴は鳴る
リーン
澄み切った鈴の音色が小さな店内に響き渡る。
それは客の到来を告げ。
そして少女は笑顔を見せる。
森の中に小さな村がある。
鮮やかな緑色の葉に彩られ、森の中をたいして整理されていない小道が走る。
見渡す限りの木々の中、まるで外界と切り離されたかのようにその村はあった。
村の名はローグ。
森に囲まれた小さな村で、いずれの家もアルデネの木が使われ美しい木目が目を引く。
そんな村の大通りの一角に、同じく木目の美しい一軒の店がある。
決して大きくはない、その小さな店。
アマイロ雑貨店。
ドアのノブには“OPEN”と書かれたプレートがかかっている。
木目の美しいドアが開き、そそぐ真っ直ぐな陽光が店内に伸びる。
白と黒のコントラストに浮かぶ一つの人影。
ドアにつけられた小さな鈴が澄み切った音色を響かせる。
カウンターの奥から一人の少女がパタパタと足早に駆け。
笑顔と共に透き通った声が響く。
「いらっしゃいませ」