予想外の出来事
きのせい
いや、そんな筈はない
確かにいま、神崎さんとキスを、した
「か、んざき…さん」
「いけない子なんかじゃないよ来宮は」
「でも…」
「現に俺はそう思って居るよ来宮はいい子だ」
まっすぐな眼差しでそんな事言われてしまったらもうどんどん照れてしまう
神崎さんずるいよ
そんな風に言われたら誰だって期待してしまうよ
いいんですか?
「またまた、神崎さん他の子にも言ってるんじゃないですか?モテるんだから」
「俺は少なくとも軽い気持ちでキスなんてしたりしない」
やっぱりさっきのは夢ではなかった
私神崎さんとキスしたんだ
しかも軽い気持ちでなんかしないって…
「じゃあ、神崎さんがキスをするのはど、どういう意味が…あるんですか」
神崎さんが酒を一口
そしてゆっくり顔をあげる
「俺は来宮が”ただの後輩”って思えなくなってきてるって事かな」
「そんな、まさか…神崎さんが」
「俺は来宮が言う様にモテていたとしても一人の男は一人の女しか愛せない…つまりそれが、来宮だとしたら」
「い、いきなり言われても…」
混乱する気持ちが優先しているが
その感情の中に嬉しいという感情もあるのも事実
でもいつもそうやってすぐ付き合って失敗してきた
だから今度こそは同じ目に遭いたくないし
もし本当に神崎さんが好きと言ってくれているならば
「今は、神崎さんのその気持ちに答えは出せなくても…」
「構わない。いきなり言われて驚いているだろうしな」
「…わかりました」
私、来宮凛は高身長で更に容姿端麗の仕事完璧マンに告白されてしまいました
これから、どうすればいいの?
------------------
二人で焼肉に行ったのがもう夢みたいだ
でも夢ではない
私の連絡先に神崎さんが入っている
勿論、仕事用の電話番号ではない
「なんか…顔合わせるの恥ずかしいな」
そう思いながら制服に着替えて鏡でチェック
神崎さんとのキスを思い出すだけで顔が少し赤くなる
「これ思い出してれば暫くの間チークいらないんじゃないか…私」
自分の気持ちを紛らわせようと独り言
そして切り替えて仕事へ
「おはようございまーす!」
「来宮さんおはようございます」
「あ、おはよう森田君」
「おはようございます来宮さん。出張の話聞きました?」
「おはよう山ちゃん。出張って…どこに?」
「ホテル研修らしいです。今回代表で来宮さんだって話してました」
「え!?マジですか…聞いてないよもう」
いつも決めるのはいいが一旦私に話通してくれたっていじゃんと上司に思いながら疑問に思った
まさか…私一人で行かせられるんでしょうか
それなら凄いめんどくさ…いや、不安です
「爆睡して列車乗り過ごしたら洒落になんないよ」
「それなら大丈夫だ」
振り向くとそこには副長がいた
そしてやはり私が行くみたいで出張の紙を渡された
「今回行くのは来宮だけじゃないから寝過ごしは心配するな」
「本当ですか?誰が一緒なんでしょうか…」
一瞬喜んだけど考えてみれば嫌な人と一緒だったら最悪だ
そんな不安を抱えつつ副長に先度聞いてみた
すると
「神崎を一緒に行かせるから心配するな」
あいつがいれば心配ないだろうという副長
ですが私一瞬にして先日の出来事をフラッシュバックし固まる
でもその一瞬の感情の中に
”よかった”
と思った私もいたりもした