可愛い
「お疲れ様でしたー!」
珍しく?無事に締切完了した来宮
後は着替えて化粧直して…
今日ちゃんとした服着ててよかった
変な適当なパーカーとかじゃなくて
まさか神崎さんとご飯だなんて
元々よく話していたし仲は良いけれど
少し私もドキドキしてしまうではないか
「…よし」
着替えてファンデーションも大丈夫
口紅もちゃんと塗って…あ、まつげも上げとこう
そのまま退社して駅前で待ち合わせ
神崎さんも定時にあがれたかな?
どことなくソワソワしてしまう
「来宮ー」
声が聞こえた方を向くと神崎さんが来てくれた
「お疲れ様です」
「ああ、お疲れ」
「無事に終われました私」
「今日そんなにフロント混まなかったしな」
「それが救いでしたね」
そんな事話しながら駅から歩い10分くらいで飲み屋街につく
「俺のお気に入りの焼肉屋でいい?」
「いいですよ!神崎さんの舌を信じますから」
「ほう…ならば評価してもらおうかな」
そう言いながら神崎さん行きつけの焼肉屋さんへ
「いっらしゃませー!」
「お疲れ様、大将」
「お!相馬さん彼女連れてどうしたんだい」
「会社の後輩だよ後輩」
店主がほんとか?と笑いながら奥のボックス席へ案内してくれた
「ほんとによく来るんですね」
「ああ、なんか此処の雰囲気も好きでさ」
「わかります。落ち着きますね」
「そうそう、そしてまた肉が上手いんだよ」
そう言いながらメニュー表を手渡してくれた
「明日休みなんだから飲もうぜ来宮」
「そうですね…そうしましょうか」
神崎さんはビール、来宮はモスコミュールを注文し
運ばれてきてそのまま乾杯した
「今日誘っていただいてありがとうございます」
「いや全然。俺も今日飲みたい気分だったしあんなしょんぼりした来宮みたらかわいそうになっちゃって」
「え、そんなしょんぼりしてました?」
「してたしてた」
「そうです、か」
私って案外弱いのかな
好きになってたつもりの男にこんな気持ちになったり
私だって利用してたのかもしれないけど
相手は片手間で会えるような相手だと私を思っていたんだろうな
「来宮」
「は、はい!?」
「来宮は彼氏いるのか?」
「いるように見えます?いませんよこんな子に」
「そうなのか?」
私は結構こじらせ女子だと思う
「私、ダメンズハンターていうか…寂しい女なんだと思います」
「ダメンズハンターなのか」
「元カレが大好きで…その気持ちを打ち消したくて寂しさを紛らわしたくていろんな人と付き合いました。好きになったつもりになってたんですよね私。それで元カレに注いでた愛を違う人に注ぐことで打ち消されるかななんて思ったりして…」
「俺も人の事いえないから来宮の方が全然いいよ」
「そう言って貰えるとまだ救われますね」
「それに来宮可愛いじゃん」
え、いま
可愛いって言ってくれた
一気に耳まで紅潮してしまったが
幸い暖色系の明かりで少し暗い店内はそれを隠してくれた