表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

恋人を救う戦士

恋人を奪われた戦士の前に立ちふさがるヤヤの真意とは?

「霧が深いね」

 良美は、そういってロンドンのホテルの窓から外を見る。

「霧の都って言われているくらいだからね。それよりも、情報が正しければここにもイートコが現れたって事なんだけどな」

 較が、資料を確認していると、ドアがノックされた。

「この気配って……」

 較がドアを開けるとイートコが立っていた。

「お久しぶりです。ちょっとよろしいですか?」

「また分身だね。話くらいは、聞いてあげるよ」

 較は、イートコを中に入れた。

「すいませんが、本題から入らせてもらいます。今回の件は、関わらないで頂けませんか?」

「随分とストレートだね。何があるって言うの?」

 較の質問にイートコが辛そうに言う。

「彼には、時間が無いんです。もって一週間、死ぬ前に最愛の恋人と会わせてあげたいのです」

 それを聞いた較が言う。

「詰まり、その人間が、ここで貴方が接触した人間だって事だね」

 イートコが頷く。

「彼は、多くの事を知っている訳では、ありません。私がここに来たと言う事で彼のことは、無視してください」

 較が真剣な顔で言う。

「約束は、出来ないよ」

 イートコがため息を吐いて告げる。

「私の本体は、今、スペインに居ます。その情報で十分でしょ」

 較は、真っ直ぐにその顔を見て言う。

「嘘じゃないみたいね。解った、スペインへの調査は、始めるよ」

 安堵の息を吐くイートコ。

「それでは、失礼します」

 消えていくイートコ。

 較は、いくつかの電話をした後、スペインへの移動する準備を始める。

「慌しいね。そうだ、あたし、イギリスのお土産買ってくる」

 良美が部屋を出てくる。

「あんまり無駄遣いしてるとまた、おばさんに怒られるよ!」

 較の注意に良美が笑顔で答える。

「大丈夫、無駄使いは、しないから!」

 その笑顔が信じられない較であったが、色々と忙しい為に、イギリスの八刃の分家にガードを任せることにした。



 安い土産を探して、ガラの悪い場所まで来る良美。

「うーん、このハンカチって絶対にパチモノだよね? イギリスのパチモノって事でお土産になるかな?」

 そんな良美の後ろを場所に不釣合いな高級なワンピースを着た少女が、走っていく。

「待ちやがれ!」(英語)

 その後をガラの悪い男が追いすがる。

「誰か助けて!」(英語)

 少女は、助けを呼ぶが、町の人々は、反応しない。

 遂に少女が行き止まりに追い詰められる。

「安心しな、殺しは、しないからよ」(英語)

「なあ、やっていいだろ? 一度初物を味わって見たかったんだよ」(英語)

「駄目に決まってるだろ。こういうのは、初物のままじゃなきゃ高く売れないんだからよ」(英語)

 そんな男達の好き勝手な言葉に、少女は、恐怖し、震えていた。

「どうみても、人攫いだね。その子を置いて、どっかにいきなよ」

 日本語が通じない人攫いたちが首を傾げるが、直ぐに気にしなくなる。

「何を言っているか解らないが、この日本人も捕まえて売れば良いな」(英語)

 無造作に近づく男に腹に正拳つきを決める良美。

「はいはい、何を言っているか解らないけど、忠告をきくつもりは、無いみたいだね」

「ガキが、よくもやりやがったな!」(英語)

 ナイフを取り出し構えるが、そんなのでいまさら動揺する良美では、無い。

 襲い掛かってくる男のナイフを蹴り上げ、そのまま踵落しを脳天に食らわせる。

「まだやる?」

 日本語は、理解できなくても男達を逃げ出させるには、十分な迫力があった。

「ありがとうございます」(英語)

 少女の言葉に良美が頬をかく。

「感謝されてるんだよね?」

 こうして良美は、一人の少女と出会ってしまった。

 それがこの後の展開を大きく変えることになるとも知らず。



 一人の戦士が居た。

 英国の王族が所有するエリート集団の一人である。

 主の命令に従い、多くの任務をこなしてきた男だったが、不治の病に掛かっていた。

 余命いくばくも無い男の脳裏にあったのは、主人の命令で別れさせられた恋人との事。

 泣きながら、貴族の下へ連れて行かれた恋人。

 男は、己の最後の命と引き換えに、恋人を救い出す道を選んだ。

 男の名は、ジェームズ=ダラン。

 組織を裏切り、かつての仲間からの追撃を逃れながらもジェームズは、恋人を奪った貴族の下に向かっていた。

「もう直ぐ俺は、死ぬ。だが、俺と付き合ってたばかりに貴族に無理やり囲われたあいつだけには、幸せな人生を送らせるんだ!」(ここから暫く英語です)

 鬼気迫る物を感じさせながらジェームズは、歩みを止めない。

 その前に、一人の少女が立ちふさがる。

「残念だけど、ここまでだよ」

 ジェームズは、拳銃を構えてその娘を見て、驚く。

「ホワイトハンドオブフィニッシュ! 何で貴様がここに!」

 有名すぎる少女、較が告げる。

「貴方に恋人の居場所を教えたイートコって奴の事を聞きだす必要があるんだよ」

「今は、そんな無駄な時間が無いんだ!」

 拳銃を連射するが、較には、ダメージは、無い。

 舌打ちして、ナイフを抜いて、一気に接近する。

「邪魔をするなら殺す!」

 鬼気が籠められたナイフを較が半身をさらしてかわす。

「甘い!」

 ジェームズは、肘に仕込んだ仕込みナイフを展開させて較を狙う。

「そうでもないよ」

 較は、気を籠めた手刀で受け止めるとそのまま、常人なら即死の肘うちを叩き込む。

 大量の血を吐いて倒れそうになるジェームズだったが、踏みとどまった。

「こんな所で止まるわけには、行かないのだ!」

 この状況でさらに鋭い突きを放つジェームズ。

 較の腹に一筋の血が流れる。

『オーディーン』

 較の手刀がジェームズの腕を切り落とす。

「まだだ!」

 ジェームズは、残った手でナイフをもって斬りかかる。

 較は、避けなかった。

 避けるまでも無かったのだ。

 ジェームズのナイフは、較を大きくそれて、そのまま倒れる。

『フェニックスウイング』

 較は、切り落とした腕を炎で止血する。

「この様な事をして下さる必要は、無かったのですよ?」

 様子を見守っていたイートコの分身の言葉に較が言う。

「知らなくてもいい事実って有るみたいだよ」

「そうですね。彼が寿命を全うするまで、私が預かります」

 イートコがジェームズを抱き上げて、去っていく。

 そして較は、昨日良美が助けた少女の母親に結果報告をする。

「死ぬ前に会わなくて本当に良かったのですね?」

 少女の母親、ジェームズの恋人だった女性、エリナ=セーズが頷く。

「お互いに、それが幸せなんです」

「お母様!」

 幸せそうに顔で娘を優しく抱きしめるエリナであった。



 ロンドン空港。

「結局さ、幸せって何なんだろうね?」(こっからは、日本語)

 良美の言葉に較が肩をすくめる。

「まさか、恋人と引き離されて、無理やり付き合った貴族が良い人で、心から愛し合ってしまっている上、子供まで生んで、幸せな家庭を作っていたなんて、あの人も思わなかっただろうね」

 良美が眉を寄せる。

「その人は、知らないまま、悔しさの中、病気で死ぬんだよね?」

 較が頷きロビーから遠くの空を見る。

「自分の恋人が、他人と幸せな家庭を作っているって知って絶望の中死ぬのとどっちがましかなんてあちきには、解らない。ただ、今回は、エリナさんの会いたくないって願いに力を貸しただけ」

 そこにイートスが現れた。

「今回のことは、私の失敗でした。恋人を求める彼の心しか見ずに居場所を伝えてしまったのですから」

 そんなイートコの顔を見て較が言う。

「なんとなく、あんたの企みが見えてきた気がするよ」

 イートコは、その言葉に答えずに消えていく。

「やっぱり、あいつの善行には、裏があるって事?」

 良美の問い掛けに較が頷く。

「多分ね。でも、微妙に違和感があるのも確かだね」

 そして、較達は、イートコを捕まえる為にスペインに向かうのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ