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まさかの文学賞受賞

作者: 玲於奈
掲載日:2012/01/08

えらそうな話ですが、著者の妄想ですので軽く読んでください。


「洋、ノミネートされたわよ」

「おお」

あえて、ぶっきらぼうに答えるが、携帯を持つ手が震えた。

っていうか。

なんで内の担当より先に知ってのよ。

っていうか。知らせんだよ。

と、一人でぼやく。

つっこむものはいない。


さすがに驚異の情報網。Y日新聞学芸部。

先ほどの電話の主。

妻 静香とは、売れない作家と編集担当という

お決まりのパターン。


そういや選考会は、築地、新代楽。

Y日から近いなあ。午前の日だまりのベランダでそんなことを考える。


「もしもし聞いてんの?

 あなた、今回で3回目だからとれるわよ」

なおも何かいいたげな静香を

「はいはい」

で切り。前回もそのプレッシャーに悩まされた。


某ドラマ「武者浪人はバーにいる」のような銀座のバー。

そこで、担当編集と待った。

発表後にテレビで会見があるので、バーにいながら

酒も飲めず。結果は不合格。

その後は、新宿ゴールデン街で大残念会。

安い酒で、次の日は2日酔いどころか、3日酔い。

あの苦々しい日々。

異様な酒の匂いが昨日のことのように思い出される。


ノミネートされるだけでもうれしいが、

前回、前々回ともども

何だったんだという感じ。

このまま私は埋もれるのだろうか。

文学界から消えて無くなるのか。

評もでたがおざなりな感じ。

これで「何が3回目だからとれるわよだ」

いらいらしながらも、妻の声が何度も頭に響く。


振り返れば、大学のサークル投稿からはじまり。

それでも、芽が出ず。

Y大は、マスコミ関係に多くの人脈があるといいながら

それもかすりもせず。

就職も同じく以下同文。

後で聞けば、恐ろしいほど多くの強者が

みんなマスコミ志望で、

結局は同大学での熾烈な競争。

さすがに強い者が勝つ。

弱肉強食の世界。

やむをえず、しがない小さな文芸社で営業とあいなった。


ところが運命とは恐るべく。

そのしがないサラリーマン時代を書いた。

「あさっての銀座の空」が

新人作家の登竜門。

吉田文学賞を受賞。


「洋さん、こちらもお願いします」

「うちはエッセイで」と

あれよあれよと各種店頭に並び始めた。

さらには最近、担当のいれじえで

与太麻呂とまわるグルメツアーまで駆りだされる始末。


こんなにテレビに出演し、

かえって文壇の反感をかっている阿呆。

まさに、おだてられたら木に登ってしまった。

そして、たぶん突然干されたりするんだろうなと

テレビ業界をうすうす感じている毎日。

そんな自分に後悔。


しかしながらテレビは恐ろしいもので、おどけた道化を与太麻呂と演じながら。

著書は大好評。あなおそるべし。

売れれば勝ち。と開き直り、最近はもうどうでもよくなってやや商業主義に走りながらも。

本当によくぞここまできたものだ。


思い返せば、

「おまえのは小説じゃない。だめだめ」

「あんた、まだ続けてるの。国に帰んな」

あるところは、刑事ドラマか

「国の両親泣いてんぞ。帰って安心させてやりな」

と落とし泣きかこの台詞。

思わず、カツ丼がでるかと思ってしまった。

そんなこんなのつらい日々が改めて走馬燈のようによみがえる。


突然。

「先生、先生」

誰かが呼ぶ声が。

ああここだったか。

マスターが呼ぶ声がする。

電話をとる。

「小泉 洋先生。おめでとうございます。直本賞受賞です」


いろいろあったけど、人生もすてたもんじゃない。


私の作品を選んで、読んでいただき本当にありがとうございます。

さらには、後書きまでお読みいただき感謝です。


勝手ながら、もしさしつかえなければ、丘陵のさき 世界の先

変わったところで、セールスレディ宮沢朋子 

読んで頂けたらありがたいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] すごく面白かったです。読んでいてほんと、とてもテンポよく読めましたしうまくまとまっていて。この小説すごく好きですw
[良い点] ストーリー構成がよかったと思います^^ [一言] とても楽しく読ませていただきました! 「大学のサークル投稿から始まり。」からのところがすごく好きです。 題名のところから意表を疲れたんです…
2012/01/09 16:43 退会済み
管理
[良い点] 投稿をかさねるごとに、どんどん文章が上達していきますね。すばらしいです。継続は力なりと良くいいますが、まさにその通りですね。 [一言]  この作品の主人公、小泉洋くんはどことなく大泉洋さん…
2012/01/08 15:50 退会済み
管理
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