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[The magic bibles]  作者: マポリー
第一章
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第三話「謎の部屋」

「……何か異論、又は質問がある奴は?」


 俺は一通り作戦を言い終えると、静かに聞いた。


 と、レオンがおずおずと手を挙げる。


「なんだ?」


「武器と衝撃弾は……どうやって調達するの?」


「衝撃弾は、実行前日の夜にでも、あの衛兵から取ろう」


 そう言って、鉄格子の外にいる衛兵を顎でしゃくった。


「武器は、無くても大丈夫だ。しかしあったほうがいいだろう。まぁそこまで重要じゃない。他は?」


 誰も口を開けようとはしない。


「……ないな。ならゆっくり休もう、明日の為に……」


 数分後には、僕の声がいびきに変わっていた。






 ゆっくりと目を開ける。


 上半身を起こすと、鉄格子の付いた窓に目を向けた。


 暗い。まだ夜らしい。


 俺はもう一度寝る為、上半身を倒そうとした。と、その時、


 ――君には力がある――


「え?」


 耳を貫くように声が聞こえた。しかしうるさい訳ではない。


 ――君のような逸材を失うのは悔しい。こちらへ来い――


 と、目線の先にある壁が揺らいだ。


 俺は、ぎょっとして目を見開く。


「俺が……なんだって?」


 しんとしている。


 俺は空耳かと思い、もう一度寝ようとした。と、その時


「うっ……」


 頭を痛みが貫いた。壁の揺らぎを見つめる。


「強制って訳か……」


 俺は寝起きで重い体をゆっくり立たせると、揺らいでいる壁の前に立った。


 ――手をかざせ――


 さっき聞いたのと同じ声。俺は言われた通り手をかざす。


 揺らぎが徐々に激しくなっていき……止まった。と、その瞬間に壁の揺らいでいた部分が無くなった。


「え?」


 またしても目を見開く。有り得ないことばかりだ。寝起きの心臓には悪すぎる。


 ――入れ――


 入るには十分なくらいの大きさ。


 俺は壁の中に足を踏み入れた。


 中の壁はコンクリートではなく、土。洞窟みたいだ。


 ――進め――


 俺は、100m程先に見える扉へ向けて、ゆっくりと歩を進めた。






 扉の前に立った。ここだけ、天井が今までの二倍程高い。


 目の前にあるのは、いかにも重そうな、木の門。


 俺は扉の右の取っ手を両手で持ち、少し押してみる……


 開かない。


 今度は、全体重をかけて押す。


 扉はギィィ……という音をたてながら、ゆっくりと開いた。


 扉の間に出来た隙間に体を滑り込ませ、中に入る。


 と、俺は驚愕した。そこにあったのは……


 ――武器。それも軽く200は越えていそうな数。


 その武器は、ドーム場の形をした部屋の周りに、並べられていた。


 ……これは夢だろうか?さっきから、起こっていることに現実味がない。


 少し頬を引っ張ってみる。痛い。


 もっと強く引っ張ってみる。


「痛っ!」


 ……自分でやっておいて、『痛っ!』って……


 いや、そんなことはどうでもいい。一番大事なのは、ここが存在しているのが、現実だということだ。


 俺は、脱獄する時、スムーズに武器を取れるよう、扉を開け放っておくことにした。






 俺は左のドアを開け放つと、取っ手から手を離した。


「さぁ、寝よう……」


 俺は欠伸をしながら振り返り、足を進めていく。


 ……これは現実なんだ。ならどうやってこの部屋が存在していた?ここは他の牢屋があるはずだ。


 それに、何故武器があった?誰かがあの謎の部屋に置いていったのか?それとも昔から、あそこにあったのか?


 ……とりあえず明日の夜にでもこの話をしないとな……


 そんなことを考えている内に、いつの間にか出口まで来ていた。


 ゆっくりと、洞窟から出る。


 振り返ると、もうそこに壁の穴は無かった。

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