第二話「脱獄計画」
と、いきなり、図太い声が部屋に響いた。
「さぁ労働の時間だ!全員起きてるか?」
見た目からすると、どうも見張りの衛兵らしい。
俺は部屋を見渡した。
俺以外の四人はいつの間にか、起きていたらしい。上半身だけ起こした状態で座っていた。
老人も、あぐらをかいて、座っている。
「全員起きてるな?よし、出ろ」
そう言って、衛兵が鉄格子のドアを開けた。
ゆっくりと、垂れ下がった縄に手をかける。
これを引っ張れだと?馬鹿げている!
頭の中を、そんなフレーズがよぎった。
何せその縄は、百キログラム近くありそうな岩をたった一本で縛っているのだ。
なんとか引っ張って上げようとするが、もちろん、こんな大人も上げれなそうな岩を、子供一人で上げれる訳がない。
俺は、引っ張っているのを装いながら、周りを見て、暇を潰した。
カンカン、と低い鐘の音が響く。
「今日の労働はお終いだ!しっかり休め。明日の為に……」
見張り台に乗った衛兵が、声を上げる。
待ちわびた言葉。俺は言葉が聞こえると同時に、縄から手を離した。
真夜中……
俺は、他の四人と老人に囲まれて、座っていた。
友達の一人、ラックが静かに口を開く。
「なんだ?こんな夜中に……」
「まぁ静かに聞いてくれ」
そう言ってラックを促す。
俺は静かに続けた。
「今、俺達は帝国に捕まり、牢獄にいる。そして酷い労働……いや、拷問をさせられた。お前達は耐えれるか?」
「ううん、僕は耐えられない」
そう言って、友達のレオンが口を開く。
「そうだろう?だから俺達は動き出すんだ……」
と、遮るような声が聞こえた。
「ちょっと、それってどういうこと?簡潔に話して」
友達のアリスだ。
「まぁ待てよ。ここからが本題なんだから」
そう言って、アリスを促す。
「俺達は自分達で未来を掴むんだ。だからする……」
皆が唾を飲み込む音が聞こえた。
「脱獄だ」