見覚えのある世界で
ここでやっとプロローグに突入します。
ミーシャ(美加理)の前世の記憶が戻ったので、ある意味主役交代。ここからは完全な美加理として動きます
私、天音美加理!
元19歳の大学2年生!今は多分23歳ぐらいかな!
そんな私は、前世で彼氏だった水瀬真佑に浮気されて、怒って掴み掛かろうとしたら転んで頭を打って怪我しちゃったの!もぉ〜!真佑のやつ許さないんだから〜!!
それで私は死んだと思ったら、ずーーっと眠ってたみたい。その長い眠りから目が覚めたと思ったら、乙女ゲーム『花園の天使』の世界にいて、私はゲームの主人公"ミーシャ・グレイス"に転生していたの!
大好きな乙女ゲームの主人公になれた上に、アレキサンドラ・サッピールスっていうめちゃくちゃ格好良いイケメンの王様の愛人になってたなんて……本っっっっ当に終わった!!!
だって私あの乙女ゲーム自体は好きなんだけど、主人公になりたいなんて全く願ったこともないし、既にリナリアっていう優しくて美人な王妃様がいる国王アレキサンドラの愛人なんて、この先良いこと絶対ないよ!!
なんでこんなことになっちゃったの!?ていうか、今までの私はこの身体で何してたの!?
この状況、絶対詰んでるよ!!!
誰でも良いからちゃんと教えて〜〜!!!
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……という冗談はさておき、今の自分は乙女ゲーム『花園の天使』の主人公ミーシャ・グレイスであることを知り、アレキサンドラの愛人になったという事実を突きつけられて、現在鏡の前で絶望している最中だ。
今後起こりうる面倒を回避するため、この後自分はどうすれば良いのか。
そう思いながら悩んでいると、可愛らしいが作中では特に同性から素朴か地味扱いされる姿がまた目に入った。先ほどまでは、瞳は本当にブルーグレーで、髪はブルネットと言えるこげ茶色なのかと、ただ観察する程度だった。
だが、今度は何故か不快な気分を覚え始めた。
共感しやすく、応援したくなるとされるヒロインのはずなのに、髪色のせいで"アレ"を彷彿とさせられるのだ。思い出すだけで無性に腹が立ってくる。
ベッドの傍にあった赤い組紐が気になって、試しに"アレ"を再現した。
髪を組紐で二つ縛りにして、おさげのようにした途端、腹立たしさの原因がすべて分かり、解いた組紐を乱暴に叩きつけた。
(…真佑が浮気した女に似てんのマジで何なんだよ!!!!)
あの女の姿は、前世の私が頑張って理想の自分をなんとか作り上げていることへの嫌味としか思えない。それでいて、私の大嫌いな幼少期の髪型そっくりだったのも気に食わない。
今の私の姿は、前世の亜紗美と色々共通点が多く、死ぬ前の私とは真逆のタイプだ。
私はどちらかというと、ミーシャや亜紗美のような。清楚系みたいな格好とは無縁なタイプだった。二人が白いふわふわのワンピースなら、私は黒を基調としたスタイルでミニ丈のスカートを穿いた。二人が元の良さを引き出すナチュラルメイクなら、私は隙のない低彩度メイクを施していた。
色々性格を擬態してきた私だが、こういうファッションだけは譲れなかったし、どうしてもそういう清楚系になりたくはなかった。
誰かに舐められたり、侮られないようにしたかったから。
それなのに、転生したと思いきやこんな清楚系みたいなタイプになっていて、私は最悪の気分だ。
アレキサンドラもアレキサンドラだ。
結局男はこういう守ってあげたくなる感じの女が好きなのかと、不快な気持ちになる。
(……それにしても…こうなるまでの記憶全然残ってないっぽいんだよなぁ…)
転生モノなら、大抵の場合は身体の持ち主の記憶の一個くらいは分かるはずなのに、どうして何も思い出せないのだろう。
ミーシャがよりによってアレキサンドラとそういう関係になってしまった理由を知りたいのに。
《それはアンタがこの身体に憑依した時に記憶喪失になったからだよ。ちなみにそうなったのは今から4年前ぐらい》
脳内に何か流れ込んで来たが、今の私は頭がおかしいということで何も聞こえなかったことにしよう。
《聞こえないフリしたって無駄だよ。あたしは"天音美加理"の全てを知ってるよ。アンタの中の一切穢れが無い人格と、今の人格も何もかもね》
「やっぱり幻聴じゃなかった!!ってか私の名前知ってんの!?ていうか結局名前は!?」
《んーー…じゃあミカエラで》
「じゃあって!!適当すぎでしょ!!」
脳内に話しかけてくるこの適当な感じの奴は、私の頭の中の考えを読んだ挙句、元の名前まで知っていた。
とりあえずミカエラと名乗る女は、いわゆる神の声とかそういう認識で良いのだろうか。
「いや、そんなことより…私が転生したのだいぶ前ってこと?」
《その通り。アンタは転生前に頭を怪我したせいで記憶が全部なくなったの。それで、その身体の持ち主である本物のミーシャ・グレイスの記憶まで消えたんだよ》
今までの記憶を失った状態で転生したせいで、乗っ取られる前のミーシャ・グレイス本人の記憶までなくなったことまでは分かった。
それよりも転生した後から自分がどうやって生きてたかの方が知りたい。
《なら、アンタが転生した後の話を私が教えてあげる。時間たっぷりで話すから覚悟しなよ》
寝不足を覚悟で、私はミカエラとやらの話を聞くことにした。
絶対、嫌な予感しかしないが。
序盤ちょっとふざけました。次回からはちゃんといつも通りです




