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エインシェントボールド・サーガ  作者: いしいちゃん


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7/10

第7話 旅立ちの前に

女神の加護により育毛に成功し若返った俺は…ボールド族にどうしても戻れなかった。

いまの俺をみて彼らは今まで通り接してくれるのだろうか。何より彼らと生きると覚悟を決めたのに俺が一番初めに願ったのが育毛とは自分が恥ずかしい。

魔法とか武器とかチートスキルとか、あるのかわからないけどボールド族に貢献する願いがあったはずだ。まだ俺は過去にとらわれているのだろうか。きっと彼らは髪も若さもその純朴さから素直にうらやましがり、自分のことのように喜んでくれるのかもしれない。自分の問題なのはわかる。そして…


『龍の麓に集いしもの虹色の羽を得て空を制する』

ボールド族に残る伝承の一つ。

ここにボールド族が立ち上がるきっかけになるのではないかと考えている。どのくらい昔から伝えられてきたのか、まだ文字のない、年号の概念のない原始時代では定かではない。サチから言わせると昔はもっと長い伝承だったけどボールド族の小さい脳みそのせいで、ここまで短くなってしまったという説も。

これはボールド族が空を制する長寿種?になれる可能性があるということではないだろうか。

トンボの女神が守護するというのも頷ける。あのトンボの女神のようにボールド族は七色の羽をもち空を制するのだろうか?そのとき不遇の醜い猿人ボールド族は、レイクを出し抜き、空の王になれる。

俺の手でボールド族をレイクの呪縛から解放したとき、俺は一族、仲間として彼らにちゃんと向き合うことができる気がする。


なにか大きな力を得てボールド族に帰る、そのために1か月後に俺はボールド族を離れることにした。1か月後にしたのは、サチが嫁のが1か月後だから。それもある。

イケメンに変貌した俺は他のボールド族と顔は合わせられないので、夜に月明りを頼りにアオとテントをでて、ボールド族に残していく新しい3つの道具の原料を採取して回った。

俺は、まず長距離移動が可能になる草履を創ろうと考えている。常時食べ物が確保できる湖での漁が禁止されているボールド族は度々飢えにさらされると聞いた。草履は広域なキノコや果実の採集活動に大きな利をもたらし、飢えるリスクを減らすのではないか。また敵わぬ相手が襲ってきたとき逃げる力も一族には大事に思えた。(勇敢で責任感の強いボールド族がレイクを見捨てて逃げるとは考えにくいが…)

そしてこの前の『投石』作戦は付け焼き刃で失敗だったが、今回は『石斧』と『木盾』を作る。野獣相手ならば、木盾で受け石斧を振り下ろす、木槍で体当たりを繰り返するよりは、狩りも効率もやられるリスクも少なくなると思う。

テントにこもる俺とアオの世話はサチがしてくれた。振られた男は気にしていないそぶりをするしかない。サチには草履と石斧、木盾の作り方、使い方も伝えた。サチは興味深く聞いてくれて良い生徒だ。(かわいらしい目を真っすぐこちらにっ可愛すぎるっ)。これなら俺とアオが出て行った後、3つの道具はサチからボールド族に伝わってくれるだろう。


旅たつ夜。つまりはサチがレイクに嫁ぐ(奪われる)前日。

残していく3つの道具も揃い悔いはない。使い方はサチがボールド族に伝えてくれるだろう。

明日嫁ぐのに忙しいな。1日で作り方までは教えられないだろう。小悪党だな俺は。そんな自分にいままで気づかなかった。

俺は想う。

(花嫁かっさらう映画『卒業』の音楽が脳内でリピート)

(俺には無理だなぁ)

そんなときサチがテントに訪れた。サチは毎日俺のテントにきて食事やアオの世話など行ってくれていた。

「いままでありがとう」そんな言葉が自然に出た。

「ちょっといい」テントの外に連れ出された。サチはさっそく草履を履いてくれており、木盾も石斧も装備していた。

「なに」夜の散歩でもして最後のお別れでもしようということかな。

「じゃあ行こうか?」シラコ顔のサチ。

「ああ」

「行くんじゃないの?エルフに会いに」

「うん…え?」

「アタシも行く。ボールド族の運命を変える」

「え…いいの?」

「いいのって?なにが?」

「…」

「意気地がないね。あたしの旦那様は」

サチの顔は真っ暗でみえないけど満面の笑みだったらいいな。


でもなんか忘れてる気が。あ、サチ連れちゃったら道具の使い方わからず無駄に…

「トンボ」大声を背に受け振り向くと長老ボスとボーイ隊、その後ろには一族が集まっていた。

「トンボは、巨体の盾かつシャーマン、ふたつ名のものとしてボールドの女神より、髪と若さ、膝・目の治癒を授かった。神から髪を授かった伝説のボールド族だ!」

(かみ)から(かみ)って)

「ボオーっ!」

ボスの煽りを受け皆がこぶしを振り上げていた。皆満面の笑みで非常に楽しそうだ。

「そして給仕長サチ!は…んーん、なんかで死んだ!」

「ボゥオオオーーッ!」

俺のときより3倍以上盛り上がるボールド族の男たちっ

「あらら。どういうこと?」ん?皆知ってるの?俺は笑顔で問う。

「ボールド族に隠し事なんてないっていったよね」

手のひらで踊りましたねこれは。

「ちなみに石斧の使い方は?」

「とっくに訓練始めているよ」


皆に見送られながら旅立つ勇者一行…風。最高の旅たちの夜だった。

まずは森の主エルフに会いに行こうと思う。

エルフに守られた樹上がボールド族含めた猿人の起源であり、ボールド族にとっては命の母といった慕情がある。

長寿のエルフならば、なぜ龍の麓であるレイクでレイクやボールド族が『空を制するもの』になれなかったのか、知っているかもしてない。

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