第6話 転生でなく転移!ドジっ子女神よりスキル授かれず?
ある女神が異世界旅行より帰還した。
荒れ地に無造作に置かれた大岩がこの地のビーナス・ドラゴンフライの拠り所である。
狩りがあったのか、お供えに猫の牙が一つ置いてあった。本当は美味しいお饅頭とか祈ったりお願いされたり敬われたりしたいのだけどもなかなか伝えるすべがない。
久々に我がボールド族を眺めていると、相変わらず小ぶりな禿山が広がっているが、一段と高い禿山が一つ目を引いた。その男はあの異世界の住人たちほどではないが、ボールド族の中では頭一つ出ている。
ん?あいつは?目が合った?
ずんずん大男が近づいてくるっ
「え?え?。。。あの、、ワタシのこと見えてたりします?」
「はい!!」キラキラした瞳で見つめてくるみすぼらしいかっこをした薄毛の大男。異世界へ転移中で近づいてきたと思ったらいきなり池に落ちて溺れたおじさん…
「・・・わたしのことわかります?」
「はい。妖精さんですか?。。もしかしてここの女神様?」
「いや、守り神的なものではあるのですが、ごめんなさい。あなたをこの世界に飛ばしたのワタシですっ探したんですよすごく。でもどこに飛ばしたのかわからなくてっ」
「不遇な俺をこの世界に転生させてくれた女神さまですか?」無駄にキラキラしていますね。
「いや、まあそんなものなんだけど。あなた。。」
「トンボです!この世界では『トンボ』です!」
「トンボは、シンデナイヨ」
「え?シンデナイ?俺は異世界転生したのじゃないのですか?」
「異世界は異世界なんだろうけど・・・」
ドジっ子守り神ドラゴンフライはことの顛末を説明した。
異世界に旅行に行ったら、転移の途中で襲ってきたおじさんが、突然池に落ちて溺れて死にそうになって慌てて助けようとしたら間違えてこの世界に飛ばしてしまった。しかも服が残ってたからきっと真っ裸で飛ばしてしまったんだよなきっと。おじさんが禿げてたからついこの地をイメージしてしまったんだと思う。
____________________________________________
俺は死んでいなかったようだ。
転生でないだと?
どうりでまだ膝も痛いし禿げてるし足もくさいしおじさんだし…
でも瘦せたから断食道場にダイエット合宿に行っていたと思えばよいかな。なぜだかサチの顔が浮かぶ。
「じゃあ元の世界に戻してくれるんですか?」この世のものとは思えぬほど神々しく綺麗な女神に俺は問いかけた。背後には七色のオーラも見える。
「なんかワタシあまりパワーが残ってなくて無理かも。旅行行ったりトンボをこっちに送ったりで使い切っちゃったから当分休まなきゃ。アタシ末っ子だし」
「え」女神に末っ子・ドジっ子要素いらないんだけどっ
「あ、パワーがないのはボールド族がレイクばかり敬ってワタシを祈ってくれないからね。アタシを祈ったことのないトンボのせいでもある」指を俺の顔に向けて指す女神。
「いやいや困るんだけど」
「でもごめんなさいのしるしに。冬眠前の残りのパワーで3つスキル授けてあげる」
「(きたーっ。もうこれはファンタジーの世界です。これは人生最大のチャンスで、最重要の選択だ。慎重にしなければ。えっと、異世界の言語理解能力は、どうやらすでに転生?転移か、で得ているらしい。ので。まず絶対に「育毛」、そして膝も痛いし肝臓も悪い、メタボだし、つまりは健康、若さ!と、冗談はさておき…)」
「はーい、魔法?。。。魔法とかできるの?」手を挙げ先生に叶えられるスキルについて質問する俺。
「あ、育毛と健康と若さで3つ。もう叶えちゃいました。もう限界」
「え?」「え?」
「ドジっ子やん」さすが女神、しかも見た目若い美女。ドジっ子。ビーナス・ドラゴンフライ。
「あははは。心配なんで、たまには様子を見に来ますね。おやすみなさい」
「…うそでしょ」
「あ、お供え物は食べ物がいい。あともっと祈ってほしいってみんなに伝えといて」
ビーナス・ドラゴンフライは御神岩に入っていった。
その一部始終を陰で見ている姿がある。
俺についてきたアオと、それを抱きかかえたサチだった。




