第11話 恐竜の子供
ずっと一人だった。
ボクが生まれてほどなくして、ある日を境に空が暗くなり、寒くなり、エサがなくなり、だれも子供を産んで育てることなんて考えもおきない、ただただ静かに耐える、そんな状況だった。それでも強い個体は生き残っていたけど、みんなじきに老いが訪れ死んでいった。一人だけ残されたボクはすごく怖くなり、まだ暖かかった湖底から熱い水のでる湖の底でしばらく眠ることとしたんだ。
どれくらい時間がたったのかはわからない、何かにふいに小突かれて起きてみると、小さなイモリが無邪気にボクを食べようとしていた。ボクはおかしくなって再び世界に飛びだした。
久しぶりにみる世界は、日差しで明るく空気は温かくなっていた。色とりどりの植物は生い茂り、野獣も鳥も魚も虫たちも活気に満ち溢れていた。
僕の心は踊った。そして家族を探し世界中を回り世界を知った。
どのくらい探し回ったのだろうか、世界の隅々まで知ることができたが、家族、家族の痕跡さえも見つけることができなかった。
もう家族はいない。周りにいるのは話も分からぬ小さな生き物たち。
寂しかった。なぜボクだけ生き残っているのだろうか。
暖かい湖に帰ると、またイモリが無邪気に口に入らないボクを食べようとしていた。
そのときしばらくこの無礼なイモリと一緒にいようとおもったんだ。
イモリが突然七色に光り話し始めて友だちになったのは、それから長い時間が過ぎてからのことだった。
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ボクはあのときと同じく、眠ることにした。ここは光り輝き賑やかなレイクとは相反し、静かに深い闇に包まれていた。何もない。そう醜いいじめもない。
ふとおもう。ボクの子供たちは相変わらず面白い冒険をしているのだろうか。危険を顧みず喧嘩したり、悪いことしたり、仲直りしたり、ズルしたり、逃げ回ったり、あの子たちはさいこーに面白い。またレイクに戻ったら…ドラゴンフライは元気にしているだろうか。ちゃんとドラゴンフライになれたかな?イモリにあいたいな…ずっとそんなことをおもいながら数千年数万年ただひたすら鎮座している。時間は無限にあるのだから。
「神よ。我らにさらなる力を与えよ」
静かにふてくされて寝ていたボクの耳を汚す彼らもボクと同じ言葉を話すカワイイ子供だ。
弱肉強食の彼らの考えは好きだ。でも力を与えよってそんな力はボクにはないですよ。ボクの一番の力は、ただボクの周りにいる人を長生きにするだけ。そして寂しいボクの話し相手にずーとなるの。まあみんなしばらくすると好き勝手にどこかにいっちゃうんだけどっ。
その点ドラゴンフライはいつまでも進化しないで可愛かったな。すぐ死んじゃうけど弱いのに健気にずっと切れずに命をつないでいく様は奇跡におもえた。あの子たちはレイクを出されても命をつないでいけているのだろうか。
「我が闇の神よ。我らに力を」
魔法陣の中に悪魔の子が生贄として座らされている。そして後ろから心臓を一突き!痛そうっ
ボクの方が彼らの住処にお邪魔した形だからしかたないのかもしれない。彼らの住処よりだいぶ奥地で寝ていたつもりだったのにオーラがもれていたのかもしれず、最近悪魔の勇者たちはボクをみつけてしまった。そして覇者になるべく彼らは力を求めている。生贄とかされてもなにもできないんだけどなっ
かつてのレイクの長寿種がそうであったように、魔法陣なんてしなくてもボクの影響を受けて洞窟の奥深くで悪魔の力は増大するばかりだというのに。
ボクがここに鎮座している限り、悪魔は、ボクのほかの子供たちを滅ぼし、レイクを制し、世界の覇権をとることになるだろう。




