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22 解説担当カドちゃん ⑶

 プリンタから、さらに紙が出てきた。


「次は決闘の申し込み書の確認なのですよ。既に紺音ちゃんには見せてあるのです。なので彩香氏が確認すればOKなのです」


 どの時点で、カドちゃんや紺音がこの事態の概要を知ったんだろう。

 そんな疑問はあるけど、とりあえず渡された紙を見てみる。


 決闘申し込みなんて、なんだか血判状みたいなイメージだけど、この学校ではあくまで事務的な書類。

 決闘を申し込む側と受ける側の名前、決闘の理由、決闘の種類……ほとんどの項目は、選択肢に○をつけるだけで済むようになっている。


 しかしここでの常識って、世間一般の常識からは完全に外れてる。

 だから当然、疑問点はいろいろ出てくるのだ。


「この決闘形式の、『全て有り』って、魔法も武器もなんでもありってことでいいの?」


「それ以外、神の顕現を降臨させても、なんなら神本体を呼び寄せて叩かせてもOKなのですよ。つまりはなんでもありなのです。ただこの学園島で行われる決闘では、死者は出ないようになっているのです。最悪の場合でも、神の力に関する知識や能力が失われるだけなのです。相手の身体を焼き尽くすような攻撃をかけても、この学園島内での決闘でなら問題ないのです」


 何だか……


「ご都合主義だけど、便利だし気が楽だね」


「実際は魔法と言うより技術なのです。宇宙的知識を使えば、人間の身体の完全再生など訳ないのです。完全に死んでも身体を完全再生させ、死ぬ直前の思考や意識を移してやればいいだけなのです。そうして再生した人間がどこまで元の人間なのか、なんて哲学的疑問は無視なのです」


 思ったより簡単な方法だった様だ。

 もちろん地球の今の科学じゃ無理だろうけど。

 

 正直、哲学的とか倫理的とかな疑問がわんさか出てきてしまう。

 しかしカドちゃんによると、それで死んだとか、殺したとか、そういう突っ込みは無視しろってことか。

 納得できるかどうかは別として、とりあえず理解したし、了解した。

 それでは次の質問だ。


「決闘期間に強制なんてあるんだね」


「審判であり事実証明がついているので、こちらの意見を押し通せるのですよ。この辺は生徒会規則で定められているのです。無視すると特例コース生徒としての特権と、自身の持つ神の力を剥奪されるので、逆らえないのです。七日は入学式なので、それまでには第二生徒会の会長副会長を変えておきたいのです。だから明日、六日の朝一番に指定したのです」


 第二生徒会の会長と副会長を入れ替えるってことか。

 でも、ちょっと待ってほしい。


「第二生徒会の今の会長と副会長を変えた場合、もっと危ない人に変わったりしないよね?」


「今のもう一人の副会長、春場渡澄香先輩は穏健派なのです。控えめな人なのであまり表に出ないのですが、力そのものは日布野並かそれ以上に使えるのです。だから心配はいらないのです」


 そこは問題ない様だ。


「この決闘場指定に書いてある、中高等部特設決闘場って何処?」


「中高等部の第三グラウンドには、直径二百(メートル)の円形魔法陣が描いてあるのですよ。普段は見えないし機能も停止しているのですが、決闘や封じ込めで使う際は起動するのです。ここなら逃げ隠れ不可能なのです。特例コースをはじめ能力持ちなら観戦可能なので、妙な真似も出来ないのです」


 観戦されるのはちょっと気になるけど、不正防止のためなら仕方ないのかも。

 あと気になるのは、決闘を申し込む側と受ける側の名前。


 向こう側が第二生徒会の日布野会長、吉森副会長、『グリュ=ヴォの戦士』所属の高梁男力というのは分かる。

 そしてこちらが私、紺音、カドちゃんこと勝門(かど)緋摩(ひすり)


 カドちゃん、見た目は強そうには見えないけど、大丈夫かな。

 こっそり学内SNSでランキングを確認してみる。

 カドちゃん、二十五位。私より上だ。

 でも今回の敵である日布野進はランキング三位、吉森莉澄は六位、高梁男力は三十七位。


「ランキング的には向こうの方がずっと強いけど、大丈夫かな?」


「ランキングはあくまで参考なのです。それに紺音ちゃんが本気を出せば、よほどの相手でない限りは楽勝なのです。ただ今回はせっかくですから彩香氏メインで戦おうと思うのです。私と紺音ちゃんはぎりぎりまでサポートに徹するので、何も気にせず思い切りよくやっていいのです」


 本当にそれで大丈夫なのだろうか。

 紺音の方を見てみる。

 目が合うと、紺音は頷いてくれた。

 どうやら問題ないと判断している様だ。


「あの二人はやり過ぎたのです。それにあの性格では、卒業したら間違いなく面倒な事案を起こすのです。だからここで徹底的に叩いて、神の力を奪うのが正解なのです。その為には決闘で存在抹消くらいに叩く必要があるのです」


 なかなか強烈な表現が出てきた。


「存在抹消くらいに叩いていいの?」


「その通りなのです」


 カドちゃんはうんうんと頷きながら、説明を続ける。


「彩香氏の能力で言えば、神を倒せる最大の火力で焼き尽くす位はやった方がいいのです。日布野も吉森も神の化身なので、それくらいやらないと神力を失わないのです。あと高梁は化身ではなく、N'tss-Kaamblの信奉者なのです。いまのところは旧神の印を使って魔法陣を描いたり、一時的に敵から神の力を排除したりとサポートに徹しているのですが、あれは本来の戦い方ではないのです。なので日布野や吉森以上に注意した方がいいのです。

 ということで、そろそろ此処にサインをするのです。サインをしたら、第一生徒会室へ届けに行くのです」


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