0 意味不明な時間
どこぞでついこの前まで書いていたお話を、ある転換をした上で書き直しました。
出来事は同じですが、転換のせいで違う話と化しています。
元のお話を知っている方は、ご了承を……
この風呂は私の家のものよりも広い。
浴槽も充分に足を伸ばせる広さがある。
のんびり入って疲れをとるには、悪くない場所だ。
本来なら。
しかし現実は、のんびりゆったり疲れを取るという状況からは程遠い。
理由は、私の正面やや右の浴槽内空間を占拠している、彼女のせいだ。
灰夜紺音さん、自己紹介によると15歳。
私より大きめの胸が、水面わずか下から見え隠れしている。
体型も基本的に細いくせに凹凸がしっかりあって羨ましい。
私の凹凸もくびれもさみしい、よく言えばスマートな形状と大違いだ。
しかし何で私は女子2人で、向かい合わせで風呂に入っているのだろう。
これが共同浴場というのならまだわかる。
男子ならムフフなシチュエーションかもしれないし、百合ならば美味しい状況かもしれない。
しかし私は女子だし百合趣向もない。少なくとも今のところは。
だから余計に、状況が訳わからなかったりする。
なお会話はない。
灰夜さんは必要以上には口を開かない性格のようだし、私もあまり話す方ではないから。
それでも会話がないせいで気まずいとか、雰囲気が悪くなっているという事は多分ない。
少なくとも灰夜さんは全然気にしていない様子だ。
ただ会話も気を遣おうと考える必要もないということは、前に見えていて感じるものから意識を外せないということでもある。
つまり気になりすぎて、わけがわからない。
灰夜さんも百合的エロ趣向は無さそうだし。
そういう視線で私を見ている様子が無いから。
こういう状況になった原因を、時系列順に整理してみよう。
まずは私の基本データから。
名前は伊座薙彩香。2009年4月18日生の15歳。
出身地は埼玉県で、今朝実家を出てこの学校に来たところ。
ここまでは、問題は全く無い。
さて、次は何故この学校に来たかについて。
時系列順に整理すると、私が中学生になった頃がきっと始まりだと思う。
あの頃から私は何故か……