2話 夢見る少年の熱き心
自分に魔法の適性があるとわかったルードは先生のところへ戻っていく。
「せんせーい、僕、魔法適性ありました」
ルードは先生が見えてすぐに大声で話す。
「おー、それは良かったですね。属性の適性はどうでした?」
先生の質問にルードは答える。
「僕の属性の適性はなんと火でした」
「おー、ルード君の熱い心がその火を作るんですね」
ルードは先生のその発言に首を傾げる。
「どう言う意味ですか?」
「私はその人の心のあり方が属性に現れると考えてます。だから、ルード君の夢に対しての熱い心が火という力になったと思っています」
先生の言葉を聞いて、ルードの顔に自然と笑みがこぼれた。
「僕、絶対に夢の魔法騎士になります」
「はい、応援していますよ」
そうしてルードは先生との会話を終え、ザリの元へと走っていった。
ルードは外の稽古場に来た。
「ザリ〜、僕、魔法騎士になる〜」
ルードはザリを見つけて、叫ぶ。
「おぉ〜、ルード。魔法適性あったのか?」
「うん、属性の適性は火だったよ〜」
少し離れた距離から互いに近づきながら2人は大きな声で話した。
走りながらザリに近づいたルードはそのままの勢いで飛びついた。
「おぉ、そんなに嬉しかったか」
「嬉しかったー。あと、止まれなかった」
「ハハハッ、そっか、止まれなかったか〜」
ザリがそう言って2人で笑った。
そんな時にローレンの声が聞こえた。
「おい、ルード。勝手にどっかにいくな」
ルードが今まで聞いたことのないほどの大きな声で叫んでいた。
ローレンがルードに向かって走っていく。
ルードは逃げようとザリから降りようとする。
「ルードどこにいくんだ」
ザリがそう言ってルードを離さない。
「ザリ〜、離して〜」
ルードはそう言いながら暴れる。
だが、ザリがルードを離すことはなかった。
そうしているうちにローレンが来た。
ルードが諦めた時、ローレンが勢いよくこけた。
「ハハハッ、やっぱり」
ザリが大笑いをした。
「ローレンは、いつも思いっきり走るとこけるんだよ」
ザリは笑い続けた。
「おい、ザリ」
ローレンがザリを睨む。
ザリはルードをゆっくりと降ろし、覚悟を決めた表情をした。
次の瞬間、ローレンの水魔法でザリが吹っ飛んでいった。
ローレンがルードを見る。
「ごめんなさい、話の途中でいなくなって」
ルードは涙目になりながら謝る。
「ふっ、今度からはしないようにな」
ローレンは微笑みながら言う。
「はい…」
ルードは肩をすぼめるようにして、か細く返事をした。
ここまでの間、ローレンはずっと転けたままの状態でいた。
それを見て、笑いながらザリが戻ってくる。
「ハハハッ、まだ寝っ転がったまんまじゃねーか」
そしてまた、ザリはローレンの水魔法で吹っ飛んでいった。
ローレンは立って、ルードの頭を撫でる。
「あんな、バカにはなるなよ」
そう言ってローレンは孤児院の中へと入っていった。
吹っ飛ばされたザリが帰って来た。
「ルード、魔法の強さがわかったか?」
ザリがルードに問いかける。
「うん、魔法ってザリを簡単に吹っ飛ばすぐらい強いんだね」
「まぁ、間違ってはないが…」
ザリは少し困りながら返した。
「ルード、魔法だけでも強いが剣も鍛えような」
「わかってるよザリ、僕は魔法騎士になるんだから」
「そうだルード、最強の剣士の話をしよう」
ザリは突然言った。
「最強の剣士の話?それよりも僕は特訓したい」
ルードは近くに置いてある木剣を取りに行く。
「ルード、その剣士は魔法を斬るって話だぞ」
ルードはその言葉を聞いて、ザリの元へ戻る。
「そんなことできるの?聞かせてその話」
「ローレンみたいに話は長くはないから、すぐ終わるから、途中でどっかに行くなよ」
ルードが頷くのを見て、ザリは話を始める。
「昔、戦場で魔法使いに囲まれた剣士達がいた。そのうちの1人が敵の魔法を斬りながらその囲いを突破したんだ。そして自分たちの国に勝利を捧げたんだ」
ザリの話はすぐに終わった。
「どうやって魔法を斬るの?」
ルードは聞いた。
「わからねー。俺もできねーからな」
「そうなのー、じゃあ僕は魔法を斬れるように特訓する」
ルードは再び木剣のところへと走っていく。
「おっ、じゃあ俺もその特訓に付き合ってやる」
そうして2人は木剣で夜まで打ち合った。
次の日、ルードは起きて先生のところへと来た。
「ルード君、おはようございます」
「先生、おはよう」
挨拶をして、孤児院のみんなと食事をする。
「ルード君お話があります」
先生がルードの隣に座って言う。
「なんですか?先生」
「ルード君の勉強についてです」
そうして、先生は話し始める。
「ルード君はこれから午前中はローレン君から魔法を学び、午後はザリ君と剣術の特訓をしてください。そして寝る前に少しでいいので算術の勉強をするようにしてください」
ルードは不満そうに先生を見る。
「ルード君、君は優秀です。私は君ができると思っています。あっ、でも、無理はしないように3日ごとに1日休んでくださいね」
ルードは少しの間を置いて答える。
「先生、僕は剣と魔法だけがいいです」
先生は微笑みながら返す。
「ルード君、算術は将来的に役に立ちます。歴史や文学はやらなくてもいいので算術だけはやってください」
ルードは不満がまだ残っていたが、信頼している先生の言葉を信じてそうすることにした。