1話 夢見る少年と剣と魔法
その少年はある貴族の妾の子として生まれた。
だが、その子は貴族にすぐに捨てられてしまった。
妾が正妻よりも先に子を産んだ。それをきっかけに、正妻の座を狙った。
それが貴族の怒りを買い、妾は切り捨てられた。
生まれたばかりの子は結果的に孤児院に拾われることとなった。
少年は孤児院で成長した。
周りには戦争で孤児になった子達がいた。
だから自分も戦争孤児だと思っていた。
孤児院では色々な勉強があった。
将来、子供たちが困らないように国から支援があったのだ。
まず、話せるようになった子供は文字を書けるように勉強する。
少年もまた、文字の練習をする。
「よし、かけた」
少年ーールードは、にこっと笑った。
「おっ、ルード君できたか」
「はい、先生、僕もみんなと剣ふりたい」
「そうかぁ、今日の分はできたからみんなのところに行っておいで」
「やったー」
少年は剣を振るのが好きだった。
そのために勉強を頑張っていた。
「みんな〜、今日もきたよ〜」
「おぉ、ルード」
「今日も剣を振るのかい」
「うん、僕、将来は剣士になるんだ」
少年は夢見ていた。
戦場で一騎当千するような剣士を。
「ルード、いつも言ってるだろ、戦場に出るのは騎士で剣士は冒険者だって」
「えっ、でも、戦場でたくさんの敵を倒した剣士だっているよー」
「それは昔の話だ。剣士は騎士の中で剣を使っていた人のことを言っていたんだ」
「そうなの?じゃあ僕は騎士になる」
ルードは孤児院で剣を教えているザリと話す。
「ルードは魔法使いにはならないのかい」
孤児院で魔法を教えているローレンが聞く。
「魔法の適性は5歳になったらわかるんでしょ?」
「そうだね。ルードはまだ4歳だったね」
「うん、だからね、まだわからないの」
「じゃあ、ルードは適性があったら魔法使いにはなるかい?」
「僕は騎士になるから魔法使いにはならないよ」
「ルード、騎士には魔法騎士と呼ばれる部隊があるよ」
「魔法騎士って何?」
ルードはローレンに聞いた。
「魔法騎士はね、そのまんまの意味で、魔法が使える騎士だよ」
「剣も使えるの?」
「使える人もいるよ」
ルードが今までで一番と言っていいほど笑顔になる。
「じゃあ僕、魔法騎士になる」
「魔法の適性は5歳にならないとわからないぞ」
ザリが口を挟む。
「わかってるよザリ、魔法の適性があったらの話だよ」
ルードはザリに言い返す。
「そうかそうか、悪かったなルード。剣を振りにきたんだろ、ほらよ」
ザリはルードに木剣を渡す。
「よし、今日もよろしくね。ザリ」
そうして今日もルードはザリと打ち合う。
そんな日々が続き、ルードはついに5歳になった。
「今日は魔法適性を調べるんだよね、先生」
「そうですよルード君。ローレン君のところに行ってきなさい」
「はい、先生」
ルードはローレンのところへ向かった。
「ローレン、魔法の適性調べて〜」
「おぉ、ルードやっときたか」
そうしてルードの魔法の適性を調べる。
「ねぇ、どう、適性ある」
ルードはローレンに何回も聞いた。
「魔法の適性を調べるのは時間がかかるんだ。もう少し待ってくれ」
ローレンはルードに聞かれる度に言った。
「よし、調べ終わったぞ」
「ほんと!やっと終わった〜」
時間にして約10分。だが、ずっと楽しみに待っていたルードにはもっと長く感じていた。
「で、どうだったの。ねぇねぇ、ローレンはやく教えて」
「そんな急かすなよルード。君の魔法の適性はあったよ」
「あったの、やったー」
ルードは喜んで飛び回った。
「ルード、話は終わってないぞ」
「えっ、まだあるの?」
「ルード、魔法についてはどこまで知ってる?」
「全く知らな〜い」
「じゃあ、魔法について教えてやる」
それからローレンの長い話が始まった。
「まず魔法とは火、水、風、土、雷、光、闇の7属性あるんだ」
「へぇー」
ルードは適当な相槌を打つ。
「魔法に適性がある人にはそれぞれ各属性にも適性がある。逆に適性がない属性は使うことができない」
「えー、使えないのー」
ルードは不貞腐れたように言う。
「そうだ、だから魔法の適性があったら次は属性の適性を調べる」
「まだやるのー」
「あっ、もう調べたぞ」
「えっ、僕の属性の適性は何?ねぇ、何?」
ルードは目に輝きを取り戻して聞く。
「ルードの属性は火だ」
「火が適正なんだね。ちなみにローレンは?」
「私か?私は水と風だ」
「えっ、二つあるの?ずる〜い」
「属性の適性は今のところ最大六つらしい」
「へぇー、そうなんだー」
ルードは興味を無くしたのか、てきとうな返事になった。
「そしてその6つの属性を使えていたのが世界を危険に晒した魔人と世界を救った聖人様だ」
「あー、あのお伽噺ね」
「違うぞ。あれはお伽話ではなく、本当に昔にあった戦いなんだぞ」
それからもローレンの話は続いた。
ルードはローレンが自分を見ずに話しているのに気がつきその場を後にした。