ミニ小説 たんぽぽちゃん
ある日のこと、女の子は道端に咲く黄色い花を見つけました。
女の子はその花の名前も知らなかったけれど、その日以来、毎日水をやりに来てはニコニコとその花を眺めていました。
そんなある日、女の子がいつものように花のところに行くと、黄色い花は真っ白な綿毛に変わっていました。
女の子が驚いていると、
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強い風が吹き、綿毛のついた種たちはあちらこちらに飛ばされていきました。
女の子はまだそんなタンポポの仕組みも、いつか花は枯れることすら知らずに、ただ黄色いお花が消えてしまったことが悲しくてわんわん泣きました。
タンポポの種たちは、それぞれの場所にたどり着き、そこに根を生やします。
その数はちょうど100個。
彼らはあの女の子に「たんぽぽちゃん」と名前を付けて、誰一人たんぽぽちゃんのことを忘れませんでした。
次の春が訪れて100輪のタンポポの花が咲き、またそれぞれが100個の種となって飛んでいきましたが、それでも誰一人、あのたんぽぽちゃんのことを忘れることはありませんでした。