十人目 空原海さま
なろうの文豪、空原海さまの紹介です。
空原海さまとの出会いは、たらこのエッセイの「距離感バグ」でした。
たらこが人との距離感で苦労したお話をまとめた作品なんですが、空原海様はこの作品に共感して暖かいコメントを残して下さいました。
似たような悩みを抱える作家として興味を持ち、相互ユーザーになっていただいた感じですね。
人との適切な距離感を保つのが難しいと常々感じているたらこですが、こうして共感していただけて心強く感じたのを今でも覚えています。
自分だけじゃないって分かった時の安心感ってすごいですよ。
とまぁ、そんな感じで交流がスタートしたわけですが、空原海様の作風は独特というか、文学性がとても高いんですね。
今回は読みごたえのあるオサレな作品をいくつか紹介させていただきたいと思います。
〇 ちっぽけな町の神様が消えた n0891hi
あの愛猫家奴隷乙氏がレビューしたので気になって読んでみたんですが……しゅごいです。
出だし数行でどんなノリの小説か分かるのですが、ビビッと来た人は間違いなく気に入ると思います。
アメリカの小さな田舎町を舞台にした作品なんですけど、一人の女性が複数の男性と関係を持ち、さらには禁断の恋にまで発展して……と、かなり大人な内容の小説です。
これね……雰囲気だけで面白いんですよ。
文章を読んでいるだけで上質な時間に浸れるというか、こういった文学性の高い作品をなろうに投稿している人がいるのかと知ってびっくりしました。
好きな人はめっちゃ好きなタイプの作品ですね。
海外文学とか好きな人は楽しめると思います。
〇 あるいは n4027hi
これもすごい。
開幕から空原節全開。
延々と一人の女性のモノローグが書き綴られる作品なのですが、私には何もない、何もないとずっと嘆いているんですね。
陰鬱とした雰囲気のなか語られる彼女の悔恨と失意。
自分を置いて向こう側へと旅立った彼女のこと。
ひとつひとつのセンテンスが美しく整えられており、波のように押し寄せる独白を心地よく読み流せる。
これぞまさに文学っ! と言った風に思いながら読ませていただきました。
いや……本当にすごいですよ、空原海さま。
こういった作品が書けるのは間違いなく才能だと思います。
なろう系なんて言う類の作品群がウェブ小説界を席巻して長いことが立ちますが、その裏ではひっそりと名作を書いている作家さんが多くいらっしゃるはずなんですね。
空原海さまは隠れた名作を書く作家さまの一人で、もっと多くの人に作品を読んで欲しいと思うたらこなのであります。
数々の名作を投稿している空原海さまですが、数多くの感想を残すことでも有名。
作品を深く読み込んで、感じた想いをありのまま表現するその感想は、読んでてとても心が温まると言うか、正直ニヤニヤが止まりません。
たらこも空原海さまからよく感想を頂戴するのですが、いつも励みになっております。
読者様から贈られる作品に対する熱い思いって、創作活動において最高のスパイスになるので、空原海さまから感想を頂けると創作意欲が掻き立てられるのです。
感想って、なかなか書けなかったりしますよね。
自分が思っていることを素直に形にできないというか。
空原海さまのように感じたことをありのまま飾らずに文章にして、感想を残せるってすごいと思うのです。
最後にお勧めの作品を紹介させていただきますね。
〇ダフネはアポロンに恋をした n0879hg
空原海さまの完結長編作品です。
主人公の女性がホストの男性と恋に落ちる物語なのですが……やっぱり空原節がいいですね。
こちらの作品は先ほど紹介した2作よりも読みやすいです。
純粋な主人公と、そんな彼女に惹かれてベタぼれするホストの男。
二人の恋路を素直に応援したいなと思える恋愛ストーリー。
こちらはシリーズものなんですけど、その軸となる作品なんです。
関連作品として「THE CRAP オブ・ザ・くず、バイ・ザ・くず、フォー・ザ・くず n3600hk」「ハルシュタットの青い傘 n4999hj」「シュヴィップボーゲンを覚えてる n7722hj」があるんですけど、シリーズにはまったら全作通して読みたくなる名作ぞろいですので、時間がある時に腰を据えてゆっくりとお読みいただきたいです。
〇少年サーファーの夢 n9856hi
こちらはラジオ大賞の参加作品ですね。
他の作品は手を出しづらいと思われた方は、是非この作品をお読みいただきたいと思います。
この作品ねぇ……空原海さまの作品の中で一番好きなんですよ。
短編って短い文の中にどれだけドラマを詰め込めるかが肝なんですけど、こちらは完璧と言ってもいい作品です。
それでいてね……描写が良いんですよ。
純粋に「希望」を描こうとしたらキラキラした表現になるじゃないですか。
でもこの小説は違う。
「希望」や「意志の強さ」をあえて曇った表現で書いているのです。
これぞまさに文学。
空原海ワールドに触れるのに丁度良い作品ですので、是非お読みいただきたいと思います。




