~第4幕~
翌日、部室で私は私に好意を寄せる真部君の告白を受け、私も彼に異性として好意を抱いてしまった事を綾世に話した。返事は即答だ。
「バッカじゃないの!?」
彼女の怒りは大きく私達の耳に突き刺さった。
「そりゃあ、恋愛禁止なんかはしないよ? 誰が誰を好きになるかなんて自由と思うし? でもここは部活の場所よ! アンタたちがイチャイチャするのを我慢して見てられると思う!? 思わないでしょ!?」
「わかっているよ……だから私が退部しても……」
「アンタが去っただけで解決すると思うの!? そこの男も退部しなさいよ! それから分かっているわね? あの望遠鏡は寄付された物である事を」
「そりゃああんまりだよ、先輩……」
「どっちの先輩かハッキリ言え!!」
埒があかない。私は溜息を吐いて告げることにした。
「わかった。私も朔君も退部する事にする。恋愛なんてしちゃってごめんなさい」
「嘘でしょ……サチ……」
「もう、友達でなくてもいいよ。さようなら」
私の天文部ライフはわずか2カ月で終わった。そしてこの出来事をキッカケに綾世は学校に来なくもなった。どうやら天文部が再び廃部になったと風の便りで聞くことも。私はかけがいのないものを失ったのかもしれない。後悔の念が押し寄せては引き、それはときに大きな波のようにも感じられた――
私は不安定になりそうな自分を奮い立たせるように彼との恋に酔いしれていく。そんな中で私は新しい自分を生んでいるようだった。
歳下の彼氏が出来たということで私はイケてる女子だとクラスの人気者になり、クラスのみんなと喋るようになった。これまでの私はどこにもいなくなっていた。
朔君とは仙台にある遊べる場所という場所で遊んだ。手を繋ぎながら、うみの杜水族館、八木動物園、仙台城や瑞鳳殿を巡りまわったものだった。
ケーキは何でも甘美。味わって消化されて溶けていく。
恋もそんなものだと思っていた。そう信じていた――