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第43話 叔父さまとの対面1

「……どうかしたのかしら?」


 意味ありげな視線を向けていることに気付いたのか、ローズ王妃は優しく聞いてくる。


「あ! いえ! あの方がヒューバート殿たちのお父さんなのですよね、とか、思っていました」


「ええ、そうね。そしてリアの叔父様でもあられる方ね」


「なんだか、パパとは似ても似つかないような」


 そうして再びギャレット国務大臣をじろじろ見てしまう。黒々とした髭を持ち、骨張った顔をして、背高くて胸板が張った、堂々たる人物だった。その鋭い目つきから国王よりも年上に見えることもあって、彼の方こそ、と考えてしまったのは王女として失格だろう。


 よく知らないけれど、パパにだって国王としてすごいところがあるはずだ、多分。

 そう思いながら、つい惚れ惚れと彼を見てしまう。これは……なかなか自分に手を出さない夫にしびれを切らせて、過ちを犯してしまう相手としてこれほどの人はいないというふうに見えた。


「ああ、デュラン公爵が見えられたわ。彼は……」


 ローズ王妃は他の貴族について語り出すが、ヴィクトリアはついついギャレット国務大臣を目で追ってしまった。

 そう、彼はついつい目で追ってしまうような、そんな魅力に溢れた人だった。


 ノーラの美貌は母譲りなのかと思ったが、これは恐らく父譲りなのだろう。特に涼しげな目の辺りはそっくりである。もしかして父を見て、父に憧れて、男装をしているのではないだろうかと疑りたくなるくらいだ。

 が、どこか冷たい目をしているのが気になる。


 ヴィクトリアが急に王城へ来ることになり、自分の子供達に譲られるはずだった王位がそんな庶民の間で育った王女に与えられると知って、さぞや心穏やかではなかっただろうと推察する。

 彼くらいの人物だったら……見た目からいかにもデキそう、というくらいしか分からないが、兄よりも自分の方が国王に相応しい、と思ったかもしれない。


(彼……ならば動機があるわよね? つまり、私を暗殺するだけの。しかも、ユアンを雇うだけのお金なんてどうにでもなるでしょうし……)


 そうして、ヴィクトリアがあんまりギャレット国務大臣を見ているから、彼がこちらへと視線を向けて、バッチリ目が合ってしまった。

 ぎゃ、殺される、と咄嗟に思ってしまい、慌てて目を逸らした。

 すると、視線の端にこちらへとやって来るギャレットの姿が分かった。これはいけない、早く逃げなければと思うが逃げ場などない。

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