表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/72

第30話 ユアンの手柄

「さっきは助かったわ。ああ言ってくれなかったらあの警備兵たち、本当にあの娘を投獄しかねなかったし!」


 自室に戻り、侍女達のお小言が終わってからやっとひと息ついたところでユアンに話しかけると、


「お前こそ。階段から転げ落ちて打ち所が悪かったら死んでいたかもしれないぞ? なのに、あの娘を庇うんだな」


「大丈夫よ、受け身取れただろうし!」


「そういう問題ではないのだが」


 あなたこそ、先には私を殺そうとしたくせになにを言うか、と思ったが口には出さなかった。


「あっ、そういえばまだお礼を言っていなかったわ」


 ヴィクトリアはユアンの前に立ち、彼の顔を見上げた。


「階段から落ちそうになったとき、支えてくれてありがとう」


「……受け身、取れたんだろ?」


「死ぬことはなかっただろうけれど、足を挫いて怪我をするくらいはあったかもしれないし。そうなったらもう、彼女を庇うこともできなかったかもしれないし」


「自分よりも、相手の心配なんだな」


「ええ、そうね。そうならなきゃいけないって今回の一件で分かったわ。私は悪口言われただけなのに、相手は王城に出入り禁止の上に投獄されるだなんて。王女って結構堅苦しいものなのね。周囲も気を遣うはずよ」


 あーあ、と言いつつ椅子に座り、脚を思いっきり伸ばした。

 それにしても、あの娘には悪いことをしてしまった。急に叩いたりして、さぞやびっくりしたことだろう、泣いていたし。きっと今まで親にもぶたれたことはなかったのだろう。

 そんな娘に悪いと思う気持ちはあっても、懲らしめようなんて気持ちはまるでない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ