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題名のない龍奏曲  作者: 鵜飼もみぢ
第一楽章
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プロローグ 導くもの

 ――人間は害悪!劣等種!下等生物!この世からその存在全てを消し去ってしまいたい程だ。自らの力を過信し、脆く、容易く崩れる世界で平和ボケしている。お前にはこの世界を変えることができる。我らの苦しみを奴らに知らしめてやれ―――


 昔からそう教えられ、生きてきた。周りからすればそれは、常識の様なものになっている。

 自らの住処を、財宝を、命を奪いに来る人間は敵以外の何物でもなかった。いつか滅ぼすと皆心に誓っている。

 私はそんな中、〈漆刻〉の継承者として沢山の者から慕われてきた。皆、口をそろえて同じ様なことを言う。


 ――やっと奴らに復讐を果たすことができる…

 ここ――〈幽天〉の者は、〈朱天〉のように血生臭い争いを欲していない。〈陽天〉のように全種族の平和を願ってもいない。〈変天〉のように常識をひっくり返し阿鼻叫喚の地獄を作ることも考えていない。

 〈漆刻〉をもたらし、人間に自らの怠慢さ、愚かさを知らしめる。無差別な虐殺をすればいいものではない。世界の正しい均衡を求めている。それを皆、私に望んでいる。


 ――『デスポワール』の血統は我らの誇りだな!

 『デスポワール』の名を持つのは私だけではない。聡明さと皆を導く才能で、混乱の渦中にあった〈幽天〉を救い、長となった私の姉も、真っ直ぐな意志で自分の道を進み、一人歩んでいった孤高の兄も同じ、一人では保つことが出来なかった穢れなき偉大なる血統だ。


 ――お前の両親も誇りに思っているだろうな…

 我が父、壊滅寸前の〈幽天〉を救い、数多の苦難を打ち払った、漆黒の英雄。父から受け継いだ志は、父の魂を継ぐことと同じ。我が母、先々代〈幽天〉の長であった祖父の力と知恵を私に継承してくださった、寛大な慈母。母から受け継いだ力は、母の魂を継ぐことと同じ。父様と母様の願った全てを成し遂げてみせましょう――



「全ては、天の与えし我が龍の力の導く、新たな世界のために――」

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