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第49話

「ロイス、お前はガイと屋敷へ行け」

ヴァルは、焦れる表情のガイを見遣って指示した。

「わかった」

「じゃあボクが東側、ヴァルが西側の襲撃地点の捜索をするってことでいいかな??」

頷くロイスの隣で、トゥルースが次なる提案をあげる。

「ああ。それとサラは、」

「俺が守るよ」

ヴァルが言う前に、すかさずロイスは発言した。

「で、でも私…」

サラが戸惑いつつ、ロイスの面持ちをさぐる。

「こんだけ派手にやってくれた連中だし、どこにいても危ないよ??だったら、ロイスの傍にいた方がいいよ」

肩をすくめ、トゥルースは口をへの字に歪めた。

「大丈夫。一緒に行こう」

強い意思を瞳に宿したロイスが、サラの方へ片手を伸ばす。

「…ええ」

導かれるかのように、サラはロイスの手をとった。



その頃―――


「随分と、不粋なことをなさる方がいるようですね」

ぽっかりと抜けた天井から、ナヒロが空を見据えた。

「これは一体…」

口髭の紳士――ドニは、破壊された家屋よりも、防壁となった紅蓮の光を凝視している。

「町長!!」

そこへ、スーツ姿の青年――アストンが急ぎやってきた。

「お怪我はございませんか?!」

「私はこの通り無事だ…彼女のおかげでね」

狼狽しているアストンへ、ドニは肩をすくめて返答する。

「今この建物全体の内側を、結界で守っています。ご安心を」

ナヒロの手の甲の紋章が、静かに煌めいていた。

「アストン。屋敷から出ぬよう、皆に伝えてくれ」

ドニはナヒロの言葉を受け取ると、アストンへ命令した。

はっと我に返ったアストンが、早々に部屋を出て行く。

「さて…問題はこれからですわね」

険しい目つきに変わり、ナヒロは再び天を望んだ―――その視界へ、宙に浮かぶ人影を写して。


「貴様…魔族だな」

漆黒のマントを纏った赤毛の女が、ナヒロを見下ろして言った。

「だとすれば、何だというのです??破壊が許されるとおっしゃるのですか??」

丁寧な口調で、ナヒロは厳しく追及する。

赤毛の女は無言のまま、瞼を伏せた。

「貴方は…ディノナバを襲った方ではありませんか??」

ナヒロが問いかけると、赤毛の女は目をぱっと開ける。

「以前ワタクシの仲間が、魔族を捜す赤髪の女性と遭遇したと言っておりましたので…まさかと思いましてね」

驚きを表す女にはさして構わず、ナヒロは続けた。

「一般人を巻き込みたくないとの考えをお持ちだったと聞いておりましたが…状況が変わった、というところでしょうか」

憂えたようなナヒロの瞳が、再び赤毛の女へ向けられる。


風は粉雪を含みはじめて、赤毛の女――アルジェの髪と黒衣を揺らし流れていった。

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