表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/59

第45話

「『オヤジ』って…」

ロイスは、ガイとドニの顔を見比べる。

しかしそれ以上、ガイが口を開くことはなかった。

「…生きていたとはな」

人が変わったように、ドニは冷ややかな態度を示す。

「町長…っ」

アストンが、悲痛の面持ちでドニの背を見つめた。

傍らのナヒロは、じっと状況を観察している。


「…行くぞ、アストン」

沈黙を破り、ドニがガイから視線を退けて歩き始めた。

「は、はい…っ」

アストンは一同に向かって辞儀をすると、慌ててドニを追いかける。

「ガイ…」

言葉を失った仲間を、ロイスが見遣る。

ガイは俯きがちに顔を歪め、奥歯を噛み締めた。



「ってことは…ガイ、町長の息子なの?!」

宿へと戻てきたロイスたちの話を聞いて、トゥルースが身を乗り出す。

「ええ。はっきりとはおっしゃってませんでしたが、様子を見るかぎり…」

こくりと頷きつつ、サラは答えた。

「間違いないと思う。ドニさんの付き人みたいなヒトも、ガイのこと知ってたみたいだったし」

ロイスが、詳細を付け加える。

「こんな広い町で出くわすとは…運がなかったな」

平静を保ったままのヴァルは、ため息をついた。

「ヴァルは…知ってましたでしょう??」

確信的な口ぶりで、ナヒロが問う。

ぴくりと、一瞬だけヴァルの眉は動いた。

「ガイが雪国に詳しいこと、ヴァルなら一番に気付いたはずですわ。しかし追及するどころか、フォローをしていましたわ。それはつまり、事実を知り隠そうとした…ということですわね??」

ナヒロが、淀みなく論じてみせる。

答えを求めるように、ロイス・サラ・トゥルースの三人はヴァルへ視線を移した。

「ああ。俺は…知っていた」

ようやく、ヴァルが重く言葉を発する。

「…ガイさん、私たちには言いたくなかったのでしょうか」

眉を垂れるサラは、寂しげに呟いた。

その時、勢いづいて部屋の扉が開く―――

「ガイっ」

ロイスは身体を跳ねるほど、驚いていた。

扉を開けたガイが、颯爽と室内へやってくる。

その表情は険しく、一同は思わず息を詰めた。


「バレちまったもんはしょーがねぇし、やっぱ隠すのも性分じゃねぇ…だから、おめぇらに全部話すっ」

生き生きとした顔に変わり、ガイが宣言する。

そして自らの拳で胸を打ち、決意を表した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ