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第33話

翌朝―――

「おっきろーっ」

ロイスは、身を丸めてブランケットを被るガイに飛び乗った。

「うぐっ…」

ガイが身体をよじり、うめき声を上げる。

「ガイって、寝起き悪かったっけ??」

布団をたたみながら、トゥルースはガイへ視線を投げた。

呆れ果てた面持ちで、ヴァルがため息をつく。

そこへ、出入口のカーテンからサラが顔を出した。

「おはようございます」

「おはよーっ」

サラの挨拶に、すぐさまロイスは反応する。

「朝食の用意ができたそうですよ」

ガイに跨がるロイスをちらちらと見つつ、サラが一同に知らせた。

「はーいっ」

「ロイス、放っておけ」

トゥルースは一目散に出入口へ向かい、ヴァルも一瞥をくれるだけである。

「俺たち、ご飯行くからね」

諦めたロイスが、ガイへ一言置いて立ち去った。



約二時間後、旅仕度を終えた一行は船着き場を目指して歩いていた。

「ナヒロさん、あの後お会いできませんでしたね」

残念そうに、サラが眉を垂れる。

「ガイがちゃんと起きてくれれば、バタバタしなかったのにっ」

トゥルースはむくれると、ガイの左腕に拳を当てた。

―――サユキには別れを告げたものの、ナヒロは朝食後会えず仕舞いになってしまったのである。

「悪かったって」

「でもさ、サユキばーちゃん『またすぐ会える』って言ってしっ」

立場のないガイに、ロイスが救いを出した。

すると、ガイは突然立ち止まる。

「どーしたの??」

その行動に、トゥルースが小首を傾げた。

「…ありえねぇって!!」

前置きもなく、ガイは急に走り出す。

「あっ、ちょっと…待ってよっ」

ロイスが慌てた様子で、後を追いかけた。


船との距離が縮まると、その姿は徐々に大きくなる。

出航を間近に控え、船着き場には忙しく動き回る乗員たちがいた。

ガイに従い、ロイスは一気に船上へ乗り込む。

それから、ガイの視線を辿った―――

そこには、後髪を襟元で切りそろえた、栗毛の少女がいる。

「…ナヒロ??」

ロイスは、少女の背中に呼びかけた。

答えるように振り向き、少女――ナヒロが微笑む。

「なんで??」

トゥルースは、サラとヴァルを伴って乗船してきた。

「実はワタクシ…昨日お話しした以外にも、預言を賜っておりまして…『汝運命を共にすべきは、同じ夢を見る者たち』と」

ナヒロが、言葉をかみ締めるように明かす。

「…それって」

「俺らと同じ、エルスによる夢を見た…というわけか」

ロイスの疑問へ答える形で、ヴァルは推察する。

ナヒロが、ゆっくりと頷いた。

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