第18話
「もしかして…みんな、知らなかったんだ」
確認するように、トゥルースが一同へ投げかける。
「名前くらいは聞いたことあったけど、顔までは…」
ロイスは、指先で頬を擦った。
「おめぇ、よく知ってたなぁ」
「前に伝記とか読みあさってた時にね…たまたま肖像を見かけたんだ」
ガイが感心すると、トゥルースは説明を加える。
「女神は一体何を…」
独り言のように、ヴァルが呟いた。
「不思議な夢と夜空、同じもの見た複数の人たちとの出逢い…どんな意味があるんでしょうか」
深刻な様子で、サラは考え込む。
「ボクも、何かの暗示じゃないかって思ってるんだ」
トゥルースが、固く拳を握った。
眉間にしわを寄せたロイスとガイは、黙りこくっている。
「今の段階では、まだ何も断定できん…情報を仕入れるしかないな」
「そうですね」
立ち上がるヴァルの姿を見送り、サラが賛同する。
「あのっ…」
顔を上げ、トゥルースは唇を噛み締めた。
一同の視線が、トゥルースへと注がれる。
「…ボクを、仲間に入れてください!!」
明瞭な声で、トゥルースは申し出た。
「事情があって、素顔は見せられないけど…役に立てるように頑張るからっ」
ニット帽を手で触れると、トゥルースが項を垂れる―――
「もちろん、大歓迎だよっ」
沈黙を破り、ロイスが弾む口調で言う。
「…まあ、訳アリなのはオレらも似たようなもんだしなっ」
にかっと笑い、ガイがロイスの肩に腕を預ける。
「いいよね??ヴァル」
「何故俺に聞く」
突拍子もなくロイスに振り向かれ、ヴァルは不服そうな表情へ変わった。
「おめぇが一番やっかいだからだよ。…オレが一緒に行くっつった時、散々嫌そうな顔したじゃねぇか」
皮肉めいて、ガイが指摘する。
「…それはお前に問題があったからだ」
目線を逸らし、ヴァルは反論した。
「そりゃあ、最初は言い過ぎだったけどよぉ…てかアレは、おめぇらが驚かしたせいだろっ」
弁解したガイが、ロイスとヴァルを交互に指差した。
「でかいのは図体だけか…」
ヴァルは、わざとらしい程の大きな溜息をつく。
「なんだとコラァ!!」
「あーもー!!やめなって!!」
ガイがヴァルに掴みかかりそうになり、ロイスは慌てて二人の間に割り込んだ。
「どきやがれっ!!」
「やだーっ!!」
押しのけようとするガイを、ロイスが抱え込む形で止める。
その後ろで、ヴァルは平静としていた。
「てめぇ!!涼しい顔してんじゃねぇ!!」
「お前が暑苦しいだけだろ」
ロイスを挟み、ガイとヴァルが睨み合う。
一方サラとトゥルースは、もめる三人からぽつりと取り残されていた。
「…ボク、どうなるの??」
困り果てたトゥルースが、サラへ救いを求める。
「すみません…よろしくお願いします」
サラは詫びを入れてから、丁寧に一礼した。
やがて、トゥルースの口元がほころぶ―――